Yahoo! JAPAN

白壁の町並みで謎解きと灯りを楽しむ 柳井市「シークレットミュージアム Yanai Yamaguchi」

山口さん

山口県柳井市。国の重要伝統的建造物群保存地区(伝建地区)に選定されている「白壁の町並み」に
新たな常設観光施設『シークレットミュージアム Yanai Yamaguchi』が誕生しました。

このプロジェクトを立ち上げたのは、「白壁の町並み」で商いを続ける店主たちを中心に構成された「有限会社白壁柳井」。
全国規模であかりをテーマに企画を展開する「株式会社オフィスミゴト(日本あかり博)」、そして柳井市と柳井市観光協会。
これらの団体が一体となって組織した「シークレットミュージアム実行委員会」が主催となり、見る・巡る・感じるを同時に楽しめる、新しい観光のかたちを実現しました。

このミュージアムの最大の特徴は、その名の通り「秘密」であること。


実際に展示場所のほとんどが非公開で、唯一明かされているのは受付を兼ねた文具店「木阪賞文堂 」のみです。
参加者はこの店舗を訪れ、番頭から「次の目的地」のヒントを得て町へと繰り出します。

この非公開という仕掛けは、訪れる人々にとって特別な「冒険」を意味します。

地図も看板も存在しない中で、唯一の手がかりは、受付で受け取る謎めいた冊子や店主の言葉。
何が待ち受けているのか、誰と出会うのか、すべてが明かされていないからこそ、物語の主人公としての一歩を踏み出す感覚が宿ります。

分散型ミュージアムと謎解きの融合

「シークレットミュージアム」の魅力は、まち全体を使った“分散型”の展示スタイルにあります。
白壁の町並みを舞台に、ゲストはまるで宝探しをするように、展示を探して歩くことになります。

ひとつの建物に収まる一般的な美術館とは異なり、このミュージアムでは「次はどこへ行くのか」すら分からないまま物語が進行します。
どの扉が開くのか、どの店の奥に作品が隠されているのか。それは訪れた人だけに与えられる“秘密”です。

そしてもう一つの軸となるのが、本格的な「謎解き体験」です。

これは一般的な謎解きとは一線を画す仕上がりで、謎解き専門の制作会社とミュージアムのキュレーターが協力して設計した、緻密な物語体験です。
仕掛けられた暗号や隠し扉、ストーリーテラーとして登場する番頭の台詞回しにいたるまで、すべてが一つの物語のピースとして構成されており、
参加者はまるで映画の主人公のように世界観に没入することができます。

体験プランには、「見学のみ」(所要時間約1時間)と「謎解き付き完全版」(同3時間)の2種類があり、自分の興味やスケジュールに応じて選べることができます。

どちらを選んでも町並みに散りばめられた展示の美しさと、非日常の空気感をたっぷり味わえる構成になっています。

謎解きは、単に頭を使うゲームではありません。

たとえば、とある場所では行き止まりと思える本棚を調べると動くことに気付くなど、現実と物語の境界線が溶けあった体験が設計されています。
演出に関わるキャストたちも重要な役割を担い、時にはゲストに試練を与えるなど物語を自分の足で進めていく実感があります。

全国から集結した“あかりのアート作品”

シークレットミュージアムの展示作品は、全国から選りすぐられたアーティストたちの手によるもので、
「祭り」「アート」「デザイン」「職人」の4つのジャンルが、「あかりの作品展示」として構成されています。

たとえば青森県からは、迫力満点の巨大な「青森ねぶた」が登場します。
実はこの「青森ねぶた」、山口県では今回が初の展示となるんです。

大阪府からは和室の四方と床がアクリルやプリズムの部屋の中心に添えられた光のメインオブジェ。

この多様なアートが集まる背景には、かつて柳井が「北前船」の寄港地として栄えた歴史があります。
北前船とは、江戸時代に大阪から北海道を結んだ商船で、日本全国からさまざまな文化や品々を柳井にもたらしました。
こうした史実を現代のアートに結びつけ、ミュージアムのストーリー性と展示の多様性を両立させている点も、このミュージアムのユニークさを支える大きな要素です。

こちらは、富山県の久保裕子氏が手掛けるガラス文鎮です。

今回展示されている作家陣には、「宇宙ガラス」の戸水賢志氏や、「草木の明かり」川村忠晴氏らが名を連ねており、
個々の作品が持つ物語や美意識も見応えの一因となっています。

柳井という町に、全国から選りすぐりのエキゾチックな品々が一堂に会します。

それぞれが異なる土地の空気をまといながらも、この町の風景に不思議と調和し、まるで昔からそこにあったかのように馴染んでいます。

ぜひ現地を訪れて、写真や言葉では伝えきれないその魅力を、あなた自身の目と感性で確かめてみてください。

まちの魅力を支える“日常と非日常”の交差点

白壁の町を舞台に繰り広げられるシークレットミュージアムのさらなる魅力は、観光と日常の風景が絶妙に交差していることです。

展示の途中で立ち寄る「佐川醤油店」は、200年の歴史を持つ老舗でありながら、来訪者をあたたかく迎え入れる観光拠点としても知られています。
醤油の香りがただよう蔵の空間に身を置くだけで、町の歴史を五感で感じることができます。

また、町の高台にある「みどりが丘図書館」は、シンプルながら開放感あふれる空間が魅力の人気施設です。
ミュージアムの導線上にあることで、文化とアート、そして知の空間がゆるやかにつながっていきます。

こうした地域施設が単なる脇役ではなく、ミュージアムの世界観に組み込まれている点は特筆すべきポイントです。
謎解きの途中でふと立ち寄ることで町の人と会話が生まれたり、想定外の発見があったりする。そんな“偶然の豊かさ”も、この体験の一部となっています。

ただの観光地ではない、柳井の新しい体験

『シークレットミュージアム Yanai Yamaguchi』 は、ただの観光地でも、展示を見るだけの美術館でもありません。
町を歩き、人と出会い、謎を解きながら、自分自身の物語を紡いでいく体験の場です。

江戸の歴史と現代のアート、静けさと冒険が交差する柳井の白壁の町並み。
あなたもその一部となって、この町の「秘密」を解き明かしてみてはいかがでしょうか。
ぜひ一度、柳井のまちへ足を運んでみてください。きっと、あなたにしか出会えない“何か”が待っています。

【関連記事】

おすすめの記事

新着記事

  1. 【ファミリア】阪急うめだ本店で人気ポップアップショップ「みらい百貨店」第4弾を開催

    anna(アンナ)
  2. 【フレッシュネスバーガー】アサヒ生ビール〈マルエフ〉が終日290円!「サマーリフレッシュフェア」は要チェック。

    東京バーゲンマニア
  3. 外出自粛生活でおこもり中、かわいいハンドメイドを堪能!

    たまひよONLINE
  4. 生き物や自然を翻訳する<インタープリテーション>という考え方 知識を伝えるよりもまず感じよう

    サカナト
  5. 現役女子高生・朝日奈ゆうゆ、清楚な白ワンピースで思いを語る! 「努力してきたものは自分を裏切らない」 <GIRLY MOON PROJECT>

    WWSチャンネル
  6. 久々に『実家の猫』と会った結果…愛に溢れた『感動の再会』が素敵すぎると40万再生「会えてよかったね泣」「ちゃんと覚えてるんだね」

    ねこちゃんホンポ
  7. キャー!ガチで恐ろしかった5つの体験談。義父が亡くなった日、義母がニヤリと笑っていた

    コクハク
  8. あれ、意外と楽しい? PTA役員をやってよかったこと6選。変な校則を改定、学校のマル秘情報もゲット

    コクハク
  9. 毎日「君しかいない」と囁く男の“裏の顔”。SNSに私が一切存在しないのはなぜ?

    コクハク
  10. 「二の腕カバー」しながらおしゃれも叶う!40歳からの垢抜け夏コーデ3選

    saita