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小林克也は日本最高峰のディスクジョッキー!スネークマンショーでの最新コントも発表

Re:minder

2024年02月26日 NHKドキュメンタリー「ドキュメント20min.最後の晩餐」放送日

人生の大事なことはすべて小林克也から学んだ


3月27日に御年83歳を迎える小林克也。1981年に放送がスタートした『ベストヒットUSA』は今年43周年を迎え、言わずもがな第1回から現在に至るまでVJは小林が担当している。いち早い情報と、時代の潮流を鋭角的に切り取った小林のセレクトで80年代の洋楽は若者のライフスタイルに浸透し、身近な存在になった。現在40代以上の音楽ファンなら、“人生の大事なことはすべて小林克也から学んだ” と言っても過言ではないだろう。

また、小林のライフワークとも言えるラジオDJでは、昨年放送開始30周年を迎え、“ファンフラ” の愛称で親しまれる『ファンキーフライデー』(NACK5)を現役続行中だ。こちらは毎週9時間ぶっ通しの生放送!放送時間も膨大なら、そこで提供される情報量も圧巻だ。日本最高峰のディスクジョッキー!そんな称号をつけられるのは小林以外にいない。

小林は今から54年前の1970年にラジオデビュー。幼少の頃から親しんだFEN(現:AFN )で英語の発音を徹底的に覚え、同時にウイットに富んだディスクジョッキーの在り方を学ぶ。英語力とリスナーに寄り添った巧みな表現力を活かし、『バブリング・ポップス』(ラジオ関東 / 現:ラジオ日本)を皮切りに瞬く間にラジオ界の寵児となる。

映画『アメリカン・グラフィティ』ではアメリカン・ディスクジョッキーの雄、ウルフマン・ジャックの吹き替えを演じるなど、アメリカンカルチャーを伝播した第一人者とも言える。70年代から80年代にかけて、音楽カルチャーを通じて日本とアメリカの距離がグッと近くなったのも小林の存在があってのことだろう。

小林克也を語る上で欠くことのできないスネークマンショー


昨年、雑誌『昭和50年男』(ヘリテージ刊)で小林にインタビューを試みた時、こんなエピソードで僕らを笑わせてくれた。

「アメリカでは、ディスクジョッキーがしゃべりを入れることを想定してイントロを4小節とか8小節作った時代がありました。(中略)これがイントロしゃべりなんです。スネークマンショーをやっていた時には、このイントロしゃべりをウルフマン・ジャックのモノマネをして英語のダミ声でやっていたわけです。だけど、英語だと冗談が言えない。だから 「Hey This is Snake man with heavy heavy King Dahmer!」なんて言うと “キンタマ” に聞こえるでしょ(笑)」

当意即妙で機転を効かせたしゃべりと流暢な英語から生まれるジョークは、一見下ネタであっても “克也流エンタテインメント” として昇華される。そう!スネークマンショーは小林を語る上で欠くことのできないエポックメイキングな存在であった。

スネークマンショーは、選曲家であり音楽プロデューサー、クラブカルチャーの先駆けとなる『ピテカントロプス・エレクトス』をオープンさせた桑原茂一と小林が共同でプロジェクトを始動させる。そして、1976年に俳優の伊武雅之(現:伊武雅刀)が参加。最先端の音楽を巧みに使ったラジカルなコントから醸し出されるシュールな笑いは時代の最前衛であった。

つまり小林は当時、全国放送のディスクジョッキーとして盤石なスタンスを築きながら、メインストリームの大衆性とはかけ離れたエッジを効かせた数々のコントを残した。ラジオ番組からスタートしたスネークマンショーは、オリコンチャート1位を記録したYMOのアルバム『増殖』にも参加し、80年代サブカルチャー・シーンの中核を担う。

タブーに挑戦したいけど、NHKでどうかな?


ⓒNHK

そんな小林が、「人生でやり残したことがある」と、老いと向き合うことをテーマに取り組んだのが、スネークマンショーの最新コントだった。パートナーとして小林が選んだのは、無論、盟友の伊武雅刀。82歳(当時)の小林と74歳の伊武が、「生きている間にもう1度、面白いことがしたい」とタッグを組み、短編映像を制作。この模様は2月26日にNHKで『ドキュメント20min.最後の晩餐』として放送された。

番組冒頭、小林は、「タブーに挑戦したいけど、NHKでどうかな?」と切り出す。そう、スネークマンショーの妙味は、ドラッグや下ネタなど、公共の電波に乗せていかがかな?と思わずにいられない過激なネタだ。「ふざけているけど本気」という小林は、伊武と綿密な打合せを何度も繰り返す。伊武もまた、「(スネークマンショーは)俺の人生の中でまさにニューウェイヴだった」と語る。そんな2人の本気度と熱量が画面から目一杯伝わってくる。

スネークマンショーのコントには音楽が何よりも重要


出来上がったコントは、敢えて台本はなし。小林の英語力と伊武の演技力を活かしたアドリブ勝負だった。関税職員に扮した小林に対し、謎の旅人を演じる伊武。空港のイミグレーションで、持ち物の中のハブ酒をチェックされ、ひと口飲むとハイテンションになった伊武が英語で下ネタを繰り返す。「Snake Liquor Your Wife Paradise!」と。どこまで本気かわからないシュールさと2人の熱量が絡み合い、唯一無二の笑いが生まれる。

ⓒNHK

これはもう、往年のスネークマンショーの持ちネタの中でも格別な「はい、菊池です」や「シンナーに気をつけろ」に匹敵する面白さ!いや、それ以上に笑いに笑った。そして、エンディングには、レナード・コーエンの「ハレルヤ」が流れる。「スネークマンショーのコントには音楽が何よりも重要」と小林が語るように、この「ハレルヤ」が流れる瞬間、ラジカルなコントは、一転して「人生とは…」という壮大なテーマに昇華する。

人生でやり残したことがこのコントであったなら、やはり小林克也は最高のエンターティナーであり、クリエイターだ。生涯を旅に捧げた江戸時代の俳人、松尾芭蕉の口癖は「予が風雅は夏炉冬扇のごとし」だった。つまり、「私の俳句は、夏の暖炉、冬の扇子と同じように世の中には必要のないものだ」ということだろう。芭蕉はこの “夏炉冬扇” に人生を賭けた。小林の言う「ふざけているけど本気」というのは、この “夏炉冬扇” に通じるスピリットだと僕は解釈している。他人にとってはどうでもいいことにどれだけの熱量を持てるかというのが人生の本質だと思うし、エンタテインメントの礎だ。

ラジオDJの第一人者として、アメリカンカルチャーの伝道師として華麗な経歴を持ちながら、現在も6本のレギュラーを抱え第一線で活躍を続けるレジェンドがどこまでも本気に、スネークマンショーのシュールなコントと向き合う。これほど素晴らしい人生があるだろうか。今も僕らは、小林克也から “人生の大事なこと” を学んでいるのだ。

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