誰もが安心して暮らせるまちへ 釜石市社会福祉大会で誓い新た 子どもらも関心高く
第45回釜石市社会福祉大会は11月21日、釜石市大町の市民ホールTETTOで開かれた。市社会福祉協議会、市共同募金委員会、市民生児童委員協議会が主催した。福祉功労者と小中高生の福祉作文コンクール、幼児の福祉絵画コンクールの入賞者計29人を表彰。生活課題解決への取り組みを進め、「地域共生社会」の実現を目指す大会宣言を採択し、住民同士の支え合いによる住みよいまちづくりへ誓いを新たにした。
関係者約80人が参加。東野武美大会長(市社会福祉協議会会長)は4月に施行された孤独・孤立対策推進法に触れ、「コロナ禍で孤立、孤独の問題が一層顕在化した。今後、単身(高齢)世帯の増加が見込まれ、問題の深刻化が懸念される。住民が自ら望む地域で生きがいや希望を持ち、安心して生活できるよう重層的支援に努める」と話した。
社会福祉事業功労者として介護職員や福祉施設職員、民生委員児童委員ら14人、共同募金運動功労者として行政連絡員1人を表彰。小佐野地区で民生委員児童委員を務めてきた佐藤國治さんが受賞者を代表し、東野大会長から表彰状を受け取り、謝辞を述べた。
同大会の取り組みとして長年続けられる「福祉作文コンクール」には本年度、小中高6校から39点が寄せられた。釜石中1年の菊池すずさんの作品「すべての人の幸せに向けて」が最優秀賞を受賞。他に優秀賞2点、佳作4点が選ばれた。表彰後、菊池さんが作文を朗読した。
菊池さんは小学生の時に知的障害児をからかう上級生を止められなかった経験から、福祉への関心が芽生えた。自分にできることを探そうと、障害者が働く福祉作業所を見学。理解を深めたことで、将来、当事者の役に立ちたいと思うようになったといい、自らの福祉に対する考えを作文につづった。発表後、菊池さんは「障害への偏見はまだまだある。多くの人が福祉について知り、興味を持つことでそうしたものもなくなっていくと思う」と話し、「すべての人が幸せに生活できるように行動する」という福祉の理念の広がりに期待した。
年長児を対象とした福祉絵画コンクールには11施設から148点の応募があった。「ぼくの、わたしのだいすきなひと」をテーマにした作品は、家族や友だちの姿が伸び伸びと表情豊かに描かれる。金賞は正福寺幼稚園の琴畑成太君の作品「だいすきなおともだちとおにごっこ」が受賞した。他に銀賞2点、銅賞4点が選ばれ、入賞者全員に大会で記念品が贈られた。福祉絵画の全応募作品と福祉作文の入賞作品は12月15日から18日まで市民ホールTETTOギャラリーで展示される予定。
最後は地域の現状を踏まえた大会宣言を採択。▽住み慣れた地域で生活ができるよう、互いを思いやり支え合うコミュニティーづくり▽防災意識を高め、震災を風化させることなく被災者を支援。住民同士がつながり支え合う地域づくり▽高齢者の生きがいと健康づくり。障害者が安心して社会参加できるまちづくり▽福祉教育の推進と児童健全育成に向けた取り組み▽福祉人材の確保、福祉サービスの質の向上―に努めることを確認した。
大会運営にあたった市社協の佐々木理香さんは「子どもたちが福祉に対しての考えを持ち続けて成長していけば、釜石の未来も明るいものになっていくと思う。どんな人でもつらい時はある。その時に明るく乗り越えられる底力みたいなものも育まれれば」と願った。