2年連続日本一のゴミ排出量少なさ!「日野市」のプライド
今週のゲストは、“番組準レギュラー”の地図研究家で鉄道好きの今尾恵介さん。前半は日野市在住の今尾さんと一緒に「多摩ニュース」。ゴミ排出量の少なさが2年連続日本一に「日野市」のプライドが見えました。後半は、今尾さんの最新刊から“廃線”の魅力について。今回もディープな世界をお届け!
2年連続日本一のゴミ排出量少なさ!「日野市」のプライド
多摩ニュース①「多摩都市モノレール」の延伸決定
土屋:今週さっそくゲストのご紹介です。横浜市出身で現在は「日野市」在住の多摩人、地図研究家の今尾恵介さんです!
今尾さん:よろしくお願いします。
土屋:改めてですが、今尾さんのプロフィールの紹介をつる子さんからお願いします!
つる子:はい。今尾さんは1959年、横浜市生まれ、「日野市」在住。出版社勤務を経てフリーとなり、地図や鉄道関連の執筆を続けていらっしゃいます。この番組では主に、多摩の地名や地形、鉄道のご意見番として知識的な面で支えていただいております。最新刊はPHP研究所から販売中の「ぶらり鉄道廃線跡を歩く」です!
土屋:今尾さんには準レギュラーとして番組に来ていただいていますが、常に本を出版されていますね! 年にどれくらい出されているんですか?
今尾さん:年に3、4冊ですかね、最近は。
つる子:すごい!
土屋:今日は鉄道の“廃線”について伺うのですが・・・その前に! こちらにちょっとお付き合いいただきましょう! 「多摩ニュース」!
つる子:東京の多摩地域を南北に走る「多摩都市モノレール」の延伸が決まりました。国土交通省は今年5月、「多摩都市モノレール」と東京都が連携して準備を進めている延伸計画の申請について軌道法に基づいて事業化を認めました。
土屋:今尾さんに前回来ていただいた時にもこの話をしましたが、多摩にとってこの「多摩都市モノレール」の延伸決定はいかがですか?
今尾さん:特に「武蔵村山市」はこれまで東京都の市の中で唯一、鉄道が無かったので「武蔵村山市民」にとっては待望の鉄道となることだと思います。
土屋:延伸の完成が2030年代中頃と言われていて、これは鉄道好きの人にはそんな後になるんですか!?と言われるんですけど、鉄道好きの今尾さんはいかがですか?
今尾さん:延伸が決まって10年前後ということですよね。早い方ではないですか。
つる子:ほう~、早い方なんですね!
土屋:10年ということは土地の買収などの目処が立っているということなんですよね?
今尾さん:そうですね。モノレールは道路の上に作るので土地の買収はいらないので。だいぶ早いですよ。
つる子:なるほど!
今尾さん:北海道新幹線なんて難航してますから。
つる子:そうですよね、それを思えば。確かに。
土屋:都営の鉄道の延伸でいうと、多摩は関係ありませんが大江戸線が光が丘から4キロ延伸案というのもありますけど、こちらも悲願ですよね?
今尾さん:そうですね。私は若い頃、春日町という所に5年間住んでいたんですよ。最寄りの銭湯が3つもあったんです。わりと畑もあって、畑の向こうに“としまえんのフライングパイレーツ”が揺れているという。
つる子:(笑)。
土屋:ということは、これは都営だから延伸計画としては大泉学園町で終わってますが、そのまま埼玉県の東所沢の方まで伸びた方が良いのでは!?という要望もありそうですね?
今尾さん:そうですね。でも、そういうことをやっているとキリがないですね。延伸の工事費は1600億円ですからね。東所沢まで行ったら5000億円くらいかかるんじゃないかな。
多摩ニュース②「日野市」がゴミ排出量の少なさで2年連続日本一!
土屋:そして、こちらの「多摩ニュース」!
つる子:「日野市」は2年連続で全国で一番ゴミが少ないことが明らかになりました。令和5年どの一般廃棄物排出処理場調査の結果が環境省から発表され、人口10万人以上50万人未満の市町村で「日野市」1人1日当たりのゴミ排出量の少なさが令和4年度に続けて全国1位となりました。
土屋:連続なんだ!?
今尾さん:そうですよ~。
土屋:「日野市」在住の今尾さん、知ってました?
今尾さん:知ってました。昔は多摩でもゴミの多い町として知られランキングも低かったんですよ。それで「日野市」がゴミの有料化したんですよ。
つる子:そうなんですか!
今尾さん:前はダストボックスで捨て放題だったんですよ。緑のダストボックスに燃えるゴミ、オレンジは不燃ゴミ。
土屋:「府中市」にもありましたね。
今尾さん:「府中市」も今は無くなったそうですね。それでゴミ袋を買いますから、買うとゴミを一生懸命に詰めてゴミを少なくしようとするモチベーションが市民の間に広まって、1位になったんだと思います。
土屋:僕は実家が「国分寺市」でゴミ処理能力が少な過ぎて行政の指導があったみたいで。そこからゴミの分別を細かくしていって、10種類以上分別があって。実家に帰ると大変だという。
つる子:10種類以上はすごいですね!
土屋:「国分寺市」も有料のゴミ袋を作った気がする。
今尾さん:「国分寺市」と「小金井市」のゴミは「日野市」に来るんですよ。
土屋:そうだ!
今尾さん:「日野市」の「クリーンセンター」で燃やすので、なるべく少なくして欲しいということでご配慮いただいていると思いますよ。
土屋:「国分寺市」はいろんな所におんぶに抱っこだから、ゴミは「日野市」で警察は「小金井市」で。そんな中、人口10万人以上50万人未満の市町村のゴミ排出量のランキングで、1位は「日野市」で1人1日当たり585.6グラム。2位は静岡県掛川市、3位がなんと「東京・小金井市」で595.2グラム!
つる子:おお! 多摩から2つも!
今尾さん:それも誤差の範囲くらいですね。やっぱり「小金井市」が頑張ってくれているんですね。「小金井市」は前にゴミ焼却場があったんですよ。それが動かなくなって「日野市」に統合しようということになって。「日野市」は広大な河川敷がありますのでね。
土屋:ゴミ問題にとっては“ゴミの有料化”は、もしかしたら全国的にそうなっていくかもしれないですね。多摩地域が提示しているかもしれないですね。
今尾さん:やっぱり痛みを伴わないと人は動かないですよ。
土屋:素晴らしい。今尾さんに政治家になっていただいて・・・
今尾さん:(笑)。
土屋:今ご紹介したのは人口50万人未満の市町村のランキングですけど、50万人以上の市町村の1人1日当たりのゴミの排出量が少ないのは2年連続で「八王子市」が1位。
今尾さん:隣ですけど負けましたねー(笑)。
土屋:「八王子市」は段ボール箱での生ゴミを分解する“段ボールコンポスト”の普及とか、賞味期限が近づいた食品類の値段を下げて出品する“食品マッチングサービス”の取り組みとか。
今尾さん:やりますね!
つる子:(笑)。
土屋:「日野市民」はゴミの量ではプライドがある(笑)。
鉄道の“廃線”の魅力に迫る!
地図研究家・今尾さんの最新刊「ぶらり鉄道廃線跡を歩く」
土屋:さて現在、今尾さんは最新刊「ぶらり鉄道廃線跡を歩く」が発売中です。そもそも・・・つる子さんは“廃線鉄”ってわかっていますか?
つる子:漢字から想像すると・・・使わなくなった路線ということですか?
土屋:そうですね。これは古地図や地図好きの今尾さんからしたら“廃線”なんて、最高ですよね!?
今尾さん:・・・まあ、そうですね(笑)。やっぱりここに昔鉄道があって、いろんな物や人を運んでいたというのを想像するおもしろさがあって。今は薮だったり駐車場だったりするわけですよ。それが、昔は線路があって電車が走っていたという想像するところがおもしろいですよね。
土屋:“廃線跡”に興味を持ったのはいつくらいですか?
今尾さん:一番最初に認識したのは北陸線。私は祖母の実家が福井だったので、直江津経由、長岡から普通列車で米原行きがあったので、それで直江津から糸魚川の間の日本海側にあった頸城トンネルという新しくできたトンネルがあって。それは長いんですけど、古い線が海辺に残っているんですよ。
土屋:へえ!
今尾さん:トンネルがいくつもあって、それが煉瓦積みのトンネルで。それが道路として使われているんですけど、トンネルの上の方が蒸気機関車の煙で黒くなっているんですよ。昔、ここが日本の大幹線で、ここでいろんな列車が走ってみたいなことを感じて、そこで降りたくなったんですよ。でも降りるわけにはいかなくて。それが最初ですかね。
つる子:へえ。
土屋:鉄道は増えているというより減っている方が多いんで。廃線跡がどれくらいあるんですか?
今尾さん:どれくらいだろう・・・例えば日本で“~本線”みたいな廃線は北海道にいっぱいありますけど。あとは工場への専用線、引き込み線などもいっぱいあるので、それを含めると1000キロ以上と相当な距離だと思います。
土屋:なんなら、線路もそのまま残っているパターンもあったりして。そこがまたノスタルジックで。
今尾さん:線路が残っていると“廃線”のランクが高い感じなんですよ(笑)。
つる子:廃線ランク、いいですね(笑)。
土屋:駅まで残っていたりね。
つる子:それはすごい!
土屋:なんなら沖縄に“廃線跡”の駅の柱が残っていたり。
今尾さん:そうですね。沖縄の県営の鉄道=“軽便”と呼ばれていたんですけど、そういうのが若干ですけど残っていますね。
土屋:今尾さんは、こっちが何を言っても全部返ってくる(笑)。この情報だけはオレだけかなと思って話したら、全然返ってきましたね(笑)。
今尾さん:嘉手納に行っていたのは、地形図にも1回も書かれずにおしまいになっちゃったので古地図で辿れないんですよ。
つる子:ああ。
土屋:戦争があって泣く泣くってことになって。沖縄はめっちゃ鉄道の町だったんですよね?
今尾さん:そうですね。路面電車もあったんですよ。那覇から首里を結ぶ路面電車もあって。
土屋:ちょっと・・・僕が持っていない情報まで(笑)。最近沖縄に取材に行ったから強いと思ったけど(笑)。そんな廃線跡に興味を持った今尾さん、廃線の魅力はどんなところですか?
今尾さん:やっぱり、“ここに昔汽車が走っていた”みたいなものを想像しながら道を歩く、線路跡を歩くというのも面白いんですけどその線路もいろんな形に使われているんですよ。生活道路として使われているところもあるし、ただの藪になっているところや駐車場になっていたり。あとは、廃線跡に細長く家がいっぱい建っているとかね。
土屋:ああ! 急に土地が空いたからということだ!
今尾さん:空中写真で見ると、家の屋根の並びが線路の並びになっているんですよ、他と角度が違って。
土屋:うわ、かっこいい!
つる子:廃線って奥が深いんですね。
土屋:廃線を語る人は、ちょっとめんどくさいくらい長いです(笑)。ゴールが無いんですよ、歴史が深過ぎて。
今尾さん:そうですね、語る人は多いですよね。
土屋:僕の周りには、廃線だけを回るためだけに離婚した人がいます! 家族を取るか廃線を取るかで、廃線を取ったんですよ!
今尾さん:廃線と結婚しちゃったみたいなもんですね(笑)。
つる子:すごいなぁ(笑)。
多摩の廃線=東京都水道局の「小河内線」
土屋:多摩にも廃線があるということで、色々と教えていただきたいんですが、ひとつめは?
今尾さん:東京都水道局の「小河内線」というのがありまして。「多摩川」に「小河内ダム」がありますけど、あのダムを作るために作った線路なんですよ。
つる子:へえ! ダムを作るために!?
今尾さん:ダムを作るためにセメントや砂利や鉄筋などいろんなものを運ぶために作ったんですよ。
土屋:黒部ダムと一緒ですね。
今尾さん:そうですね、あとは大井川鐵道井川線とかもダム建設のためですよね。今の「奥多摩駅」・・・昔は“氷川駅”と言ってたんですけど、「奥多摩駅」からダムの建設現場まで6.7キロくらいを結んでいたんですよ。将来はちゃんとした鉄道として使うように・・・「青梅線」は戦前からある電車なので、架線が張れるようにトンネルの断面積の上が少し高くなっていたりするんですよ。
土屋:つる子さん、架線というのは“電線”のことね。
つる子:あっ、川のことかと思っちゃいました!
土屋:少し大きくするなど、そういうことをしていたんですか!
今尾さん:だから運搬専用線にしては立派なんですよ。
土屋:それは何のために・・・?
今尾さん:「奥多摩」までなのか、もうちょっと奥の丹波山村まで行くつもりだったのかはわからないんですけど。ダムを作るために鉄道を作りましたけど、そのあと、これを西武鉄道が買うんですよ。橋桁のペンキの塗り直しもしているんですよ。塗り直しの年月日がプレートに書いてあるので。その時は西武鉄道はここに西武線を走らせて・・・もしかしたらレッドアローみたいなのが「奥多摩」の「小河内ダム」まで行くというのがあったかもしれない。
土屋:おお! あれ、でも「青梅線」は国鉄じゃないですか?
今尾さん:そう。国鉄なんですけど、これは都市伝説みたいなんですけど・・・「拝島」から「奥多摩」までの国鉄を西武鉄道が買って、西武新宿線から全部直通させるという・・・
土屋:なるほど!!! なんで今、オレが興奮しているかというと、「拝島駅」というのが、西武線とJRが重なる所なんですよ。ああ~
今尾さん:そうなんですよ。そのために西武線を「拝島駅」まで繋げたというのがあって。でも、西武鉄道は大手の私鉄の中で社史が無いので、本当のところは・・・。
土屋:“廃線跡”だから、「奥多摩駅」から先が廃線跡になっているんですか?
今尾さん:なっています。で、正式に廃止にしていなかったので、ずっとレールが残ったままだったんですよ。なので、廃線のグレードとしては高いんですよ。
つる子:(笑)。
今尾さん:レールがあると、みんな線路を歩いてみたくなるんですよ。
土屋:映画「スタンド・バイ・ミー」みたいな感じで。
つる子:わかります!
今尾さん:良い子は立ち入ってはいけませんけど、「小河内線」の跡も本当は立ち入り禁止なんですよ。
土屋:立ち入ることはできないけど、「奥多摩駅」から見ることはできるんですね。
今尾さん:できます。並行して「奥多摩むかし道」という遊歩道が走っているんですよ。昔の国道 411 号線の旧道なんですよ。そこを歩いていると、線路が間近でみられる所があるので。
土屋:そういうことは、最新刊「ぶらり鉄道廃線跡を歩く」の取材で歩いたりしたんですか?
今尾さん:そうですね。
土屋:ということで、時間いっぱいで今週はここまでです! 今週のゲストは、地図研究家の今尾恵介さんでした。来週もよろしくお願いします。
今尾さん:お願いします。
(TBSラジオ『東京042~多摩もりあげ宣言~』より抜粋)