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「一番大事にしている」リバウンドで劣勢に、天皇杯準決勝を前に改善できるか?ゲーム差は「3」に縮まった琉球ゴールデンキングス 

OKITIVE

ボールを運ぶ岸本隆一
リバウンド争いに絡むアレックス・カーク=1月29日、沖縄アリーナ(長嶺真輝撮影)

プロバスケットボールBリーグ西地区首位の琉球ゴールデンキングスは1月29日、ホームで同地区3位の大阪エヴェッサと対戦し、95ー97で惜敗した。通算成績は24勝9敗。この日、同地区2位の島根スサノオマジックは勝利したため、ゲーム差は「3」に縮まった。 ホームで悔しい敗戦を喫したものの、10点差を付けられた第4クオーター(Q)の残り約3分から猛追。残り45.6秒の土壇場で岸本隆一が3Pシュートを決めて逆転する場面もあった。 エースのヴィック・ローが体調不良で欠場し、高強度のプレーや素早い展開を武器とする大阪の遂行力が高かった点も鑑みれば、そこまで悲観するような黒星ではないだろう。 ただ、気になる点があるとすれば、桶谷大ヘッドコーチ(HC)が常々「自分たちが一番大事にしている」と言うリバウンドだ。 現在、キングスの平均リバウンド数は44.2本でリーグトップ。2位の三遠ネオフェニックスが40.5本という数字なことからも、いかに突出して多いかが分かる。ちなみに、大阪は7位の38.5本である。 しかし、この一戦ではリバウンド数で28本対43本と大きく上回られた。大阪戦を含め、これまでの33試合でキングスがリバウンド数で相手を下回ったのは4試合のみ。その内のもう一試合は、1月25日にあった東地区首位の宇都宮ブレックス戦であり、その時も29本対41本と差は大きかった。 この2試合でリバウンドが劣勢となった要因、改善のポイントは何なのだろうか。

大阪戦、第4QにOR連発され劣勢に

ルーズボール争いをするケヴェ・アルマ

大阪戦は序盤から競り合う展開となった。第2Qで若干抜け出したキングスが54ー48とリードして前半を折り返したが、第3Qで大阪が逆転。74ー75と拮抗したまま、このクオーターを終えた。 最終第4Qに入ると、徐々に点差を離され始める。最大の要因は、相手のオフェンスリバウンドだ。 ビッグマン同士との競り合いでボールを奪われてフリースローを与えたり、ディフェンスが収縮した状態で相手選手に飛び込みリバウンドを掴まれ、外に振られて3Pシュートを決められたりして、残り約3分で10点差まで引き離された。 その他、競り合いでこぼれたボールをガードが掴み損ねたり、早い段階でゴールに目が行き、相手の飛び込みリバウンドを防ぐボックスアウトがおろそかになったりする場面もあった。結果、このクオーターのリバウンド数はキングスが6本だったのに対し、大阪は16本。そのうち、7本がオフェンスリバウンドだった。

桶谷HC「言い訳はできない」

選手達とハイタッチする桶谷大HCら

試合後の総括で、桶谷HCは「負けたのは悔しいですが、今日は大阪がナイスゲームをしたと思っています。ヴィックはいない状態でケヴェがファウルトラブルをして、そん中で戦わないといけない中、選手達は本当に我慢をしながら戦ってたなと思います」と語り、ある程度の評価を示した。 一方、「ただ…」と前置きした上で、こう続けた。 「自分たちが一番強い部分のリバウンドで15本負けてるのは、問題になってくるかなと思います。宇都宮戦に関してはリバウンドを取りにくい戦術を使っていた部分がありましたが、今日の取られ方に関しては、言い訳ができません。局面、局面でいろんなことあるとは思いますが、全体として、自分たちが一番大事にしている部分で負けてしまったことは、目を向けた方がいいと思っています」 このコメントにあった「リバウンドが取りにくい戦術」に代表されるのが、スイッチディフェンスだ。スクリーンを使われた際にマークマンが入れ替わり、ビッグマンが相手のハンドラーについてゴールからより離れた位置に引っ張り出される場面が生まれやすいため、リバウンドが取りにくい、というわけだ。 大阪戦もスイッチをする場面こそあれど、ビッグマンはそこまで高い位置まで張り出して守っていた訳ではない。大阪は藤田弘輝HCが「オフェンスリバウンドに飛び込むことにはすごくプライドを持っている」と言うように、オフェンスリバウンドが平均13.3本でリーグ4位と強みにしていることもあるが、この試合では17本を奪われ、想定以上に取られた。 ディフェンスリバウンドでチームトップの平均7.2本を記録しているローが不在だったことによる影響も大きかっただろう。

過密日程も影響か…松脇「気持ちを切らさずに」

3Pシュートを放つ松脇圭志

他のスタッツと同様に、リバウンドの強さは選手たちの身長、エナジーの高さ、戦術など、様々な要素が絡むため、一概に「これが要因」と言うのは難しいが、若干リバウンドの支配力が低下している理由として、厳しい日程による疲労もあるのではないか。 1月はオールスターゲームの開催による2週間ほどのリーグ中断期間があったが、18、19の両日に千葉県であったオールスターにジャック・クーリー、岸本隆一、脇真大が参加し、22日には東アジアスーパーリーグ(EASL)のアウェー戦でフィリピンで試合をしている。中2日を挟み、25、26の両日にホームであった宇都宮との地区首位同士の激戦を経て、大阪戦を迎えた。 前半戦もEASLを含めて過密日程だったため、レギュラーシーズンの半分を折り返した今、インサイドを主戦場とするビッグマンを中心に蓄積疲労もあるだろう。アウェーは全て飛行機移動のキングスであれば、なおさらだ。 桶谷HCにそのあたりの認識を問うと、こう答えた。 「前の週の水曜日にフィリピンで試合があったりした中でのゲームなので、大変だし、正直疲れてると思います。ただ、ディフェンスリバウンドを一番取るヴィックがいない中で、選手たちのスイッチを入れられなかったのは僕自身の反省です。選手もきついとは思いますが、ゲームに勝つためには、要所要所でスイッチを入れられるようにしたいです」 キングスは今後、2月1、2の両日に中地区2位のアルバルク東京とアウェー戦を行い、2月5日の水曜日には同地区首位の三遠ネオフェニックスと沖縄アリーナで天皇杯準決勝を戦う。そして、2月8、9の両日には同地区4位のサンロッカーズ渋谷をホームに迎え、立て続けに強豪と対戦する。 松脇圭志は「移動も疲れますし、すごいタフではありますが、それは昨シーズンもやっていたことだし、やるしかない。弱音を吐かず、自分たちがやるべきことをやっていった方がいいと思っています。疲れても試合に出られるメンバーはいるので、自分のできる限りのことはやっていきたい。気持ちを切らさずにやることが大事だと思っています」と気を引き締める。

日本人選手の「ハッスル」もポイントに

ボールを運ぶ岸本隆一

キングスのリバウンドの支柱は、過去3度リバウンド王を獲得しているクーリーと身長211cmアレックス・カークだ。当然、この2人は他チームからも相当警戒されている。そこで、今後は日本人選手もどう空中戦に絡んでいくか、ということは一つのポイントだろう。 桶谷HCも「ビッグマンが(ゴールから離れたポジションに)引っ張られた時に、日本人選手のリバウンドの意識が少し低かったことは反省しています」と言った。 松脇も改善する必要性を感じている。 「宇都宮戦の時にスイッチを使っていて、『日本人選手がもっとハッスルしろ』と言われていたので、今日もそこの部分が重要だったと思います。相手がビッグマンだとハッスルしても厳しいところがあるので、自分でリバウンドを取る意識を持ちながらまわりにも助けてもらい、チームとしてやっていけたらなと思っています」 次節のA東京は平均40.0本でリバウンドランキング3位であり、昨シーズンのチャンピオンシップ(CS)クオーターファイナルではキングスに1勝2敗で敗れた。それらを念頭に、岸本は「リバウンドがキーになると思います」とした上で、「アルバルクは昨シーズン、うちに負けて終わっているので、そういう思いも感じながらのゲームになると思います。そこで受け身にならず、いつも以上にハードに、より賢くプレーする必要があると思っています」と意気込みを語った。 技術や戦略だけでなく、メンタル面も強く影響するとされるリバウンド。さらに白星を重ねていくためにも、チーム全体で高い意識を保ち、強い気持ちを持ってボールを掴みに行きたい。

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