世の中は香りでいっぱい。今も引きずる匂いつわりの影響
もうすぐ5歳になる女の子を育てるママライターの“ジュンコ”です。36歳で妊娠したときは、金融機関の窓口で接客の仕事をしていました。
私のつわりは匂いつわりで、すべての匂いに敏感になっていました。歯を食いしばって耐えた匂いつわりについて、お話します。
つわりはいつから始まる?
最初に体調の変化を感じたのは、まだ妊娠に気づく前にむし歯の治療を受けていたときでした。ある日、いつものように口を開けて治療を受けていると、急に吐き気をもよおしました。先生に何度も治療を中断してもらい、普段以上に時間のかかる治療となってしまいました。後から思えば、これが最初のつわりだったのかもしれません。
さらに数日後、日帰り旅行の帰りに新幹線へ乗ったときのことです。列車での移動が大好きな私ですが、その日は新幹線の揺れが気持ち悪くて仕方がありませんでした。こんなことは初めてで、まるで体全体が揺れているようです。飴を舐めて気分を紛らわせ、何とか到着まで我慢しました。
これらの症状が出たのはまだ妊娠に気がつく前で、まさかつわりだとは思いもよりませんでした。妊娠に気づいたのはこの後、生理が2週間以上遅れてからです。
匂いを避けたら通勤時間が6倍に!
以前から匂いに敏感な私でしたが、妊娠が確定するころには全ての匂いに吐き気を覚えるようになりました。化粧品や洗剤、カバンや洋服、人の汗など、世の中にはこんなにもたくさんの匂いがあったのかと思うほど、全ての匂いに敏感になってしまいました。
特に敏感になったのが食料品の匂いで、コンビニの前すら通ることができません。毎日の通勤経路を変え、コンビニや飲食店の前を避けて遠回りをするようになったので、駅から会社まで5分だった道のりが30分かかるようになりました。
匂いを避けて歩いてもしばらくすると吐き気をもよおすので、そのたびに持参している水筒の麦茶を飲んで吐き気を我慢。5メートル歩き、立ち止まって麦茶を飲むことを繰り返し、何とか会社まで到着。持ち歩いていた麦茶も決まった銘柄しか受けつけず、他の銘柄だと吐き気が出るという有様でした。
下を向くだけで襲ってくる吐き気とえづき
不思議なもので、会社に到着して自分の席に座ると少し吐き気が落ち着きます。しかし、顔を下に向けるとやっぱり吐き気が。体勢を変えると吐き気があることを発見した私。どうすれば吐き気を抑えることができるのか、いろいろと試してみました。
下を向く必要があるときは体ごとしゃがみます。また、体をねじっても気分が悪くなるので、自宅では常に回転椅子に座り、顔が正面を向いたまま家事や支度ができるように工夫していました。
一方、仕事で接客中は、歯を食いしばって吐き気を我慢する以外に方法がありません。来店するお客様が、食事を済ませた後ではないことを祈るしかありませんでした。普段は気にならなかったのですが、妊娠して匂いに敏感になっていた私。食事の後は、意外と料理の匂いが体に染みついているのだなと思いました。
妊娠39週に、体重2755g、身長48cmの元気な女の子を出産しました。つわりは妊娠7ヶ月まで続き、ひどい時期はえづきながら歯を食いしばって、吐きそうになるのを我慢して乗り越えました。そんな症状も妊娠8ヶ月になると、うそのように治まりました。
しかし、吐き気を我慢するために歯を食いしばる時期が長かったようで、それが癖になってしまったようです。産後に歯科医から奥歯がすり減っていることを指摘され、現在も歯科に通っています。
[ジュンコ*プロフィール]
夫と娘との3人暮らしの40代ママライターです。甲状腺ガンになり、甲状腺全摘の経験があります。治療と子育てと仕事を同時進行中。最近の目標は、娘の髪の編み込みが上手にできるようになることです。
※この記事は個人の体験記です。記事に掲載の画像はイメージです。