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話題の台湾ホラー『ガラ』日本上陸

台湾発のホラー映画『ガラ』が5月9日（金）より全国順次公開中。本国上映時には邪教の儀式や悪霊憑依などをベースにしたホラー演出で観客に強烈な恐怖を植え付けたという本作は、一体どんな物語なのか？

ライブ配信者の母メイビスの仕事につきあい、鬱蒼とした森にたたずむヴィラへとやって来たアーシュー。父の命日に旅行へ来たことをよく思っていなかった彼は反発し、1人だけ先にヴィラを後にする。しかし突然、家族に同行していたスタッフが、不可解な死を遂げる。家に帰ってきた母親の様子も、どこか、おかしい……。

アーシューの友人ティエンレンは、亡くなったスタッフから送られてきた気味の悪い映像を勝手にネットへアップロードし、その動画は大きな注目を集める。アーシューとティエンレンはその反響の大きさから、ネット上で探検隊を募集し、全ての始まりであるヴィラを調査・配信することに。

探検中、じつは施設建設時の“事故”で大勢の人が亡くなっており、それは邪教の儀式と関係があるらしいと知るアーシューたち。邪教とは、彼らを待ち受けるものとは――？

映像だけじゃない！“音”による恐怖演出

本国の公式アカウントではJホラーと同じように“鑑賞中の観客の反応”を紹介しているのだが、その多くが耳を塞いでいる。なぜ目を覆うのではなく、耳を……？ その理由は『ガラ（原題：嘎啦）』というタイトルにあった。

「嘎啦」は“歯ぎしり”の擬音としても使われるそうで、つまり歯ぎしり音を模した不快な音によって観客の不安を増幅させたのだ。そう考えると上映中に耳をふさぐことだけでなく、肉塊の中に不揃いの歯が並ぶ本作の不気味なビジュアルにも期待（恐怖？）が募るだろう。

本国の観客からは「あまりにも強烈な映像に耐えられず途中退場した」という声もあがっていて、単なるホラー演出ではなく、色んな意味で恐怖や不安、生理的嫌悪を煽る仕掛けが張り巡らされている模様。もちろん“邪教”とか“怪しい儀式”といったオカルト要素が好きな人もたまらないだろう。

アジア映画界における民間伝承～都市伝説ホラーのトレンド

邪教信仰、盲目的な信仰が人間をどのように支配し、恐怖を生み出すのか？ 集団の中でどのように恐怖が増幅され、やがて支配に至るのか？ それらを映像表現＝視覚だけでなく音響にも盛り込むことで、観客の心理的な不安を最大限に引き出した本作。監督のツェン・ダーヘンも「観客に心理的な恐怖を追体験させることを意識した」とコメントしており、映画の細部に至るまで恐怖を増幅させる演出を徹底したようだ。

本作のように歴史的背景と怪異をミックスしたストーリーは、近年のトレンドでもある。とくに台湾ホラーは東南アジア発の作品と呼応するように、民間伝承や伝統的文化～風俗習慣、都市伝説テーマの作品が次々ヒット。台湾・中国映画興行収入ランキングで初週1位、年間ベスト10入りの快挙が証明するように、本作は台湾ホラーの新境地を切り拓いた作品として高く評価されている。

『ガラ』は5月9日（金）よりシネマート新宿ほか全国順次公開中