Yahoo! JAPAN

【親でも難しい】小学校高学年「算数」を攻略! 「わり算」「割合」「速さ」のつまずきをなくすテクニック 〔元小学校教諭の教育評論家〕が伝授

コクリコ

【親でも難しい】小学校高学年「算数」を攻略! 「わり算」「割合」「速さ」のつまずきをなくすテクニック 〔元小学校教諭の教育評論家〕が伝授

小学4・5・6年生がつまずきがちな算数の単元「わり算の筆算」「割合」「速さ」について、元小学校教諭の教育評論家・親野智可等先生が解説。子どもがよくわかる算数の解き方と、親の教え方のテクニックを紹介します。

【▶画像】<自由進度学習・探究学習>名古屋・矢田小学校の 「自分で考えて決める授業」って?

低学年よりも桁が増えたり、公式が登場してきたりする小学4・5・6年生の算数は、大人も難しいと思える問題が多くなり、中学や高校数学へのつながりを強く感じる段階です。子どもの算数力を上げる教え方にはコツがあると話す、元小学校教諭で教育評論家の親野智可等(おやのちから)先生が、子どものつまずきポイントと具体的な教え方のテクニックを解説します。(全3回の第3回)。

算数のターニングポイントは4年生!

表:コクリコ調べにより作成

「算数は学年が上がるほど学力に差が出るものですが、ターニングポイントは4年生です。表を見てもわかるように、4年生以降は抽象度が一気に上がります。

もしお子さんが4年生以上で、算数につまずいているなら、目の前の問題の解き方を教えることも大切ですが、前の学年に戻って九九やかけ算の筆算、わり算などを再勉強することもおすすめします」(親野先生)

算数が苦手な子は、前に習ったことを理解していない、忘れている、習熟していないなどの可能性があります。その状態だと新しい単元を習っても理解が難しいので、本人のつまずきポイントを把握して、以前の学年に戻って基礎固めをしましょう。

4年生 「わり算の筆算」中に計算を見失う!?

小学校ではさまざまな筆算を習いますが、その中で最も子どもが難しく感じるのは、4年生で習う「2桁の数でわるわり算の筆算」です。

「たとえば、376÷65は子どもたちにとっては難問です。37の中に65は入りませんから、376の中に65がいくつ入るかを予想しなければなりません。

そのためには65をがい数(おおよその数)の70にして予想する必要がありますが、そもそも65を70というがい数にすることができない子もいます。また、いろいろ考えているうちに、何をやっているのかわからなくなる子もいます。

このような場合は、余分な数字を指で隠して、2桁÷1桁のわり算にしてあげると考えやすくなります」(親野先生)

37÷6になれば、商に6という数字の見当がつきます。指で隠した部分を元に戻して実際に計算すると、仮の商である6では計算できないので、それよりも小さな数字が商に入ることがわかるという具合です。

このように、2桁の数でわるわり算の筆算でつまずいている場合は、指で余分な数字を隠して見当をつけるやり方を教えてあげるといいでしょう

5年生 覚えにくい公式は図にすることがコツ

『あるサッカーチームに子どもが20人います。そのうち7人が5年生です。5年生はチーム全体の何%ですか?』

5年生のつまずき単元のひとつといえば「割合」だと親野先生はいいます。

「割合の勉強では前述のような問題を出発点に、次のような問題にも取り組み、これが子どもたちをおおいに悩ませます」(親野先生)

『あるサッカーチームに子どもが20人います。そのうち35%が5年生です。5年生は何人ですか?』

『あるサッカーチームに5年生は7人います。それは全体の35%です。チーム全体は何人ですか?』

「子どもたちは、どれが比べる量(部分)で、どれがもとにする量(全体の量)か理解するのにも手間取りますが、これがわかったとしても公式をしっかり覚えていなくて、問題が解けないことがあります。

割合の勉強につまずいている場合は、べる量ともとにする量がどれなのか教えることと、図を使って公式の『くもわ』を教えるといいでしょう」(親野先生)

求めたい部分を指で隠すと、わり算とかけ算のどちらで解けばいいのかがすぐにわかります。たとえば、図内の「わ」の部分=割合を指で隠せば、「比べる量/もとにする量」という分数が残るので、わり算の問題になることがわかります。

あるいは比べる量を指で隠せば、「もとにする量×割合」のかけ算だとわかります。テストで割合の問題が出たら、余白部分にこの図を描くことも教えるといいでしょう

6年生 「みはじ」の図で速さの問題は攻略できる!

『4時間で180km走る車と、5時間で255km走る電車では、どちらのほうが速いですか?』

「6年生の難関は、前述のような速さの単元です。

この単元でつまずく子には、公式をしっかりと覚えさせましょう。『みはじ』の図を使うと公式を思い出しやすくなります」(親野先生)

答えを導き出すには、1時間あたりの道のりをそれぞれ求めることが必要ですから、2つの式が必要になることもフォローしてあげましょう。

「算数に暗記教科のイメージはありませんが、算数といえども公式の暗記は必要不可欠です。小学校で学ぶ公式は割合や速さのほかに、面積や体積の公式など、少なくとも20種類はあります。こればかりはどれも覚えないと勉強は前に進みません。

また、図を使って公式を覚えることを思考力がなくなるとの理由で嫌う研究者がいるものの、算数が苦手な子にはわかりやすくて有効です。公式を覚え、解き方を理解するためのきっかけとして教えるといいでしょう」(親野先生)

子どもが算数が苦手な場合は、子どもの目線に立って、子どもがやりやすい方法をとってあげることが何よりも大切です。また、学年、年齢が上がれば上がるほど勉強は難しくなるので、できるだけ早い段階でサポートしてあげましょう。

問題を解いている子どもを見て、かけ算、わり算にケアレスミスが多ければ、前の学年に戻って再勉強することをおすすめしますが、我が子の理解度や進度に合わせて学習する無学年方式を用いて、子どもの学力に応じた通信教材などを活用するのも効果的です。

勉強を𠮟る材料にせず、我が子に寄り添ってあげることが、子どもの算数への意識を変えます。それが算数力アップにつながるでしょう。

取材・文/梶原知恵

─◆─◆─◆─◆─◆─◆

◆親野 智可等(おやの ちから)
教育評論家
長年の教師経験をもとに、子育て、しつけ、親子関係、勉強法、学力向上、家庭教育について具体的に提案。子育て世代に寄り添ったSNS投稿も話題で、「ハッとした」「泣けた」という声が多数寄せられている。全国各地の小・中・高等学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会、先生や保育士の研修会でも講師を務め、オンライン講演も経験豊富。著書に『親の言葉100 ちょっとしたひと言が、子どもを伸ばす・傷つける』(グラフィック社)など。人気マンガ『ドラゴン桜』(講談社刊)の指南役としても知られている。

【関連記事】

おすすめの記事