八王子産リキュール 英で金賞 桑の実使用、世界で評価
三崎町のオーセンティックバー「洋酒考」のオーナーである島村悟さん=人物風土記で紹介=が製造したクラフトリキュール「mulberry&hops(マルベリー&ホップス)28%」が5月1日、英国で開催された国際的な酒類品評会のリキュール部門で金賞を受賞した。地元産のマルベリー(桑の実)やホップを用いており、その希少性も含め審査員から高く評価された形だ。
島村さんが酒を提供するだけでなく、製造側にチャレンジしたのはコロナ禍がきっかけだ。「造り手側に立ってみたい」と酒造免許を取得し、万町にあるアパートの一室に製造所を構えて地場産素材にこだわった酒造りを開始した。
完成したのは、クラフトジンの「翠靄(すいあい)」とリキュール「マルベリー&ホップス28%」の2種類。ジンの方は別の品評会に出品していたこともあり、今回はリキュールのみを英国ロンドンで毎年実施されている大手酒類メディア主催の酒類品評会「TheAsianSpiritsMasters2025」に出品した。アジアで製造・販売する企業がエントリーする中で、味や香りなどを審査。リキュール部門で金賞を獲得した。島村さんは「日本企業として唯一の受賞かつアジアナンバーワンの栄誉に驚いている」とよろこびを語った。
地場産にこだわり
「つくるなら地元八王子らしい素材を活かした酒を」と思っていた島村さん。養蚕が盛んだった歴史的背景から桑の実に着目し、市議で農家の舩木翔平さんの協力のもと、市内の農園で桑の実やホップを栽培。10種類のハーブをじっくり漬け込み、甘酸っぱさとほろ苦さが融合したフルーツビターリキュール「マルベリー&ホップス28%」が完成した。
ラベルは市内アーティスト作
ラベルのデザインは、ジン、リキュール共に市内在住の女子高生アーティストsaoriさんが手がけた。ペンで描き上げた緻密な線画は島村さんの思い描くイメージとぴったりだったという。
今回の品評会は見た目を隠してのブラインドテイスティング方式で、瓶のデザインが評価対象だったかは定かではないが、「審査項目の一つに『外観』もあることから、saoriさんのラベルも金賞の一因になったのでは」と島村さんは考えている。
同リキュールは市内の小売店や飲食店などで販売・提供されているほか、市のふるさと納税の返礼品としても現在国に申請中だ。