「水軒一文字旧波止」での落とし込み釣りでクロダイ不発もカンダイ2尾手中【和歌山】
和歌山県の水軒一文字で、岩カニをエサに落とし込み釣りを実行。釣れたのはカンダイの幼魚だったが、肉厚の39cmと36cmのサイズで、釣趣も食味も上々。自分にとっては及第点の釣行となった。
2024年の大阪湾落とし込み釣りは厳しめ
2024年の大阪湾の落とし込み釣りは、厳しい年になりそうだ。6月半ばになっても青物の回遊状況が好調で、沖防波堤はルアーマンの主戦場となり、落とし込み釣りの場所が空かない。
波止タコシーズンも影響
その上、波止タコのシーズンも始まり、少なくとも土日の早朝から午前中にかけては落とし込み釣りが非常に困難な状況だ。
他に落とし込み釣りができそうな場所がないかと考えていたところ、水軒一文字に渡す水軒渡船のホームページで、岩カニをエサにした落とし込み釣りでチヌの釣果が上がっているのを見つけ、一縷の望みを託して6月15日に釣行を決めた。
釣行前の準備
前日22:30頃に自宅を出発し、途中の釣りエサ店で大きめの岩カニを購入。小さいサイズでは勝負にならないので、岩カニのサイズにはこだわりたいところだ。
幸運にも、この日はイ貝の稚貝も少量入荷していたので、そちらも購入して店を後にし、再び車を走らせた。遠路3時間半、深夜2時過ぎに水軒渡船の駐車場に到着。
乗船客が少なく快適な釣行
始発便の出船時刻は3:30。車中で少し仮眠しようとウトウトし始めたところ、「おはようございまーす」と乗船手続きを仕切るおかみさんが元気よく登場し、眠気眼で乗船手続きの列に加わった。
最盛期には始発便の段階で駐車場が満車になり封鎖される水軒渡船だが、この日は乗船客が少なく拍子抜け。おかみさんも「少ない……」、「今日、平日?」、「どないなってるんやろ……」とボヤいていた。
最近の釣況は決して悪くないのだが、おかみさんによると「みんな釣り場も釣り方もバラバラで、まとまらへんねん」とのこと。釣果が散発的で、訪れる釣り人が少ない原因のようだ。
しかし、釣り人の側にすれば、釣り人が少ないほうが釣り座を選び放題で好都合。自分を含め、当日の釣り人たちの表情は皆穏やかで前向き。船長が準備を整えた段階で乗船開始。始発便はおかみさんの祈りを受けて、定刻どおり20人余りの釣り人を乗せて出発した。
旧波止が落とし込み釣り向き
釣り場の選択と状況水軒一文字での落とし込み釣りは、新波止と旧波止のどちらでも可能だが、高低二段構造で海面との高低差が少ない旧波止の方が落とし込み釣りがしやすいため、当日は旧波止を選び5番の船着き場で下船。
当日はルアーマンとタコ釣りの人が多く、旧波止を選んだ釣り人が多かったようだ。新波止は平鯵(ひらあじ、マアジの大きな個体)の釣り人や、紀州釣りやフカセ釣りの人が主だった。
詳細な情報と参考記事
なお、水軒一文字と渡船の受付方法などの詳細は、以前に投稿した記事を参考にしてほしい。昨年の前打ち・落とし込み釣りの様子も併せて参考にするといいだろう。
落とし込み釣りタックルの紹介
当日のタックルは、3.9mの専用竿を使用し、ストライプカラーの落とし込み・ヘチ専用の3号ラインを巻いた専用リールをセット。ラインの先には市販の目印仕掛けを接続し、ハリス1.7号を直結する。
テトラにハリスが擦れて切れるリスクを考え、ハリスは硬めで太めのものを選んだ。針は刺さり具合を重視した針先が鋭いチヌ針3号を使用し、チモトにはガン玉2Bをかませる。
持ち込んだエサの岩カニとイ貝の稚貝はビニールバケツに入れ、釣り歩く分だけエサ箱に小分けして持ち出した。ビニールバケツの海水は岩カニの活きの良さを維持するために重要で、暑さが増す時期には冷凍ペットボトルを入れ、こまめに新鮮な海水に入れ換えることで水温を調整。
落とし込み釣り開始から約3時間の不発状態
夜明けが始まった5:00頃から、岩カニをエサに落とし込み釣りを開始。釣果は探り歩いた距離に比例するため、5番の釣り場から南側の3番(最近の通称は2.5番)付近まで戻り、スタート地点とした。
この後はひたすら内向きの壁際に目印仕掛けを落とし、アタリがなければ5歩ほど進んで同じことを繰り返した。旧波止内向きでは、波止際ギリギリを攻めすぎず、足元から30cmほど離れたところを狙うのが効果的。
そのため、一旦足元から50cmほど離した海面にエサの岩カニを落とし、目印が1mほど沈んだ時に手前30cmほどに寄せてから引き続き海底まで落とし続けるというテクニックを使った。
潮周りの悪さが原因か
潮回りが悪いため、浅タナには固執せず、海面から8mの海底までを探った。これらの工夫をしながら探り歩いたが、開始から約3時間は不発。
わずかな回数で岩カニにアタックしてくる魚の反応はあったが、つつく程度で咥えたり噛んだりしなかった。
チヌのアタリ以外は無視して歩みを進めたが、朝マヅメは過ぎてしまい、焦りが募った。
良型ガシラが食いつきボウズ回避
ようやく8時頃、岩カニをつつくアタリとは違う少し引き込むような感じのアタリがあった。しかし、食い込みには至らず。同じ場所で2度トライすると、竿先を引き込む感触があり、我慢して食い込みを待ち、感触が強くなったところでアワセを入れるとフッキングに成功。
多少の重量感はあったが、引きは弱く、海面に表れたのはガシラだった。抜き上げると良型で、エラにナイフを入れて即〆してクーラーの中にキープ。何とか丸ボーズは回避できた。
カンダイ幼魚36cmを捕獲成功
その後も続行したが、釣況は好転せず、散発的に訪れるアタリは無視せざるを得なかった。前日の釣果情報にチヌ5匹の釣果が載っていて意気込んでいたが、心中は諦めモード。
しかし、おかみさんの祈りが通じたのか、8:40頃に強めのアタリが竿先に伝わった。少し食い込みを待ち、引き込みが強くなったところでアワセを入れるとヒット。
今回はガシラではない強い引きで、チヌかカンダイかの二択。針外れを警戒しながらやり取りを続け、海面に現れたのはカンダイの幼魚だった。慎重に寄せて無事にタモ入れに成功。検寸すると36cmで、幼魚ながら釣果としては面目を保てるサイズ。肉付きも良く、夕食の魚フライが楽しみだ。
カンダイ幼魚39cmを追加で釣り上げ
先ほどの釣果で、海底に潜むカンダイがこの日のターゲットだと確信。釣り方はわかっているので、後はカンダイが居る海底を探り当てるだけ。同様のアタリが一度あったが、アワセに失敗。
しかし、へこたれずに続行し、納竿の時間が迫った9:50に強い引き込みのアタリを捉えた。今度のほうが引きが強く、期待感を持ってやり取りを続けた。サイズアップが確証できる魚体を海面に引き上げ、タモ入れも成功。
サイズは39cmで、幼魚ではありながら肉付きは満点。2匹目を吊るしたストリンガーを見て喜びが一段と増した。
見えチヌとの遭遇もタイムアウト
残り20分足らず、ラストチャンスを狙っていた時、浅場に上がってきてヒラを打つ「見えチヌ」に遭遇。今頃かよ……と心の中でつぶやきつつ、トライしても食わせることはできず、時既に遅しでタイムアウト。
潮回りが良ければ本命のチヌが釣れたかもしれないと内心負け惜しみしつつも、39cmと36cmのカンダイの幼魚2匹と、良型ガシラ1匹の最終釣果は及第点だった。
10:30の迎えの便で波止を後にし、乗船場に戻ると、おかみさんに釣果を報告。自分の他にはタコやアコウ、平鯵などの釣果があったものの、全体的には渋めでおかみさんはがっかりしていたが、「また来てねー」と明るく声をかけてくれた。
釣果を夕食で堪能
帰宅後、釣果は夕食で賞味。カンダイは傷みやすいため、納竿まで生かしておき、持ち帰り直前に〆てエラと内臓を処理して新鮮さを保った。今回釣り上げた肉付きの良いカンダイの幼魚は絶品の魚フライとなり、夕食の主役を飾った。
<伴野慶幸/TSURINEWSライター>