「政治部の記者はこういう記事を書け!」政権交代をめぐるメディアの問題点とは?
お笑いタレント、大竹まことが同世代や全世代の男女に向けてお送りしているラジオ番組『大竹まことゴールデンラジオ』(文化放送・毎週月〜金曜13:00~15:30) が6月28日に放送され、元経産省官僚で政治経済評論家の古賀茂明さんが出演。今日で番組を卒業するパートナーの室井佑月とともに、政権交代について伺った。
大竹「古賀さんは、衆議院の補欠選挙から政権交代について考えていたそうですね」
古賀「政権交代なんて絶対ないと、みんなずっと思ってたような気がするんですよね。それがここへ来て、世論調査でも政権交代した方が良いという声が多くなった結果が出てきているし、現実の問題になってきました。特に自民党がひどすぎる。裏金問題とか、経済もめちゃめちゃな円安で、相当生活が苦しくなってるみたいなこともあります。裏金問題では自民党全体の対応が酷いので、自民党の支持者もちょっといい加減にしてくれと、今度は自民党に投票しないと言っている人がかなり増えたようですね」
室井「メディアがひどいんだよ。ポスト岸田のことばっかりやってんだもん」
古賀「そうなんですよ。政権交代が「起きそうだ」ということは、「起きるかもしれない」ということですから、そうすると立憲民主党の代表が誰なのかというのはすごく大事じゃないですか。政権交代をしたら、今のままなら泉健太さんが首相になるのかどうなのか、という話ですからね。この秋には自民党の総裁選がありますが、実は立憲民主党の総裁選もあるんですよ。だから平等に報道するなら、普通に考えると、立憲民主党の次の代表選では泉さんが再選するのか、それとも誰か他の人が出てくるのか、という話はかなり盛り上がらなくちゃいけないんですね」
大竹「なるほど」
古賀「ところが、立憲の代表がどうなるのか、なんていう報道は全然ないですよね」
室井「ない。…この間ちょろっと載ってたよ。野田(佳彦)さんが出ないって言ったって」
古賀「いや、「出ない」っていうのは、自分で「出る、出る」っていうと、ちょっと感じが悪いので、みんなから「出てください」って言ってほしいんですよ」
室井「でもおかしいよね。自民党の話だとさ、麻生(太郎)さんと誰かがご飯食べに行ったとか、そういうのも載るもんね」
古賀「そうなんですよ。実は立憲の中には野田さんのことを支持してる人がものすごく多くて、「次の代表戦では野田に変えろ」みたいな人たちもいるし、蓮舫さんも知られてないですけど野田さん推しなんですよね。だから政権交代があると思って投票する人たちがイメージする、新しい立憲中心の政権というのは、野田首相なのか、泉首相なのか、それとも誰か他の人が首相になるのか…」
室井「立憲って、考え方が違う人の幅がすごく広いから面白いと思うんですよね。誰が党首になるかで全然違う感じになっちゃうと思うんだけど」
古賀「全然変わっちゃいます。野田さんだったら自民党とほとんど変わらないですから。彼はもともと集団的自衛権なんか解釈改憲でやれって昔から言ってたんですよね。だからひょっとすると、立憲民主党はせっかく増えても、また二つに分かれて、野田さんのグループは自民党とくっついちゃうんじゃないか、とかいろんな心配をしたりします。政治部の記者は、本当はもっとそういう話を書かなきゃいけないんですよね」
大竹「そうですね」
古賀「でも全く書かないので、政治部の記者の責任は相当大きいと思います。裏金問題にしても本質論を全然かかない。例えば立憲民主党は、捨て身と言うかほぼパーフェクトな改革案を出してるんですよ。だって、企業団体献金は廃止しろ、政治資金パーティーは個人向けも何もかも全部やめろ。それから二階さんが5年で50億円使ったという、裏金の塊みたいな政策活動費も全部廃止ですよ。要するに、3つの大きなテーマについて全部やめろと提案しているので、政治部の記者は「立憲民主党の案がいいんだから、自民党は丸呑みすべきじゃないのか」「丸呑みするかどうかでやる気がわかります」みたいな記事を書けばいいのに、最初から「企業団体献金は自民党には無理ですから、できないでしょう」という相場観を作ったり、「焦点はこの国会で改正案が通るかどうかです。通らなかったら岸田政権は危ない」とか書くわけですよ。そしたらみんな、まとめるかまとめないかがポイントだと思っちゃう。それで最後は「立憲は全く譲歩しない姿勢です」とか書くので、立憲が悪いみたいに思う、こういう感じになるんです」
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