Yahoo! JAPAN

もっと知られてほしい「人質司法」の問題とは?

文化放送

ニュースキャスターの長野智子がパーソナリティを務める「長野智子アップデート」(文化放送・月曜日~金曜日15時30分~17時)、7月24日の放送にジャーナリストの浜田敬子が登場。角川歴彦KADOKAWA元会長による公共訴訟、日本における「人質司法」の問題を解説した。

鈴木敏夫(文化放送解説委員)「KADOKAWAの元会長の角川歴彦氏が、国を相手どって人質司法のあり方を問う公共訴訟を起こしました。なんと226日間拘留され、死まで覚悟したという。角川さんが残りの人生をかけて戦うと決めたのはなぜか、ということで、浜田さんがご本人にインタビューされたとのことです」

浜田敬子「『人質司法』って誰にでも起こりうることなんですよね。なのになかなか知られていない、という危機感も角川さんにはあって。ぜひいまの日本の司法や操作のあり方を世の中に問いたいと。人質司法と呼ばれるようなやり方は憲法違反であり人権無視なのではないか、ということで公共訴訟というかたちで国を訴えた」

長野智子「こうして訴訟するの初めてですものね」

浜田「角川さんは『五輪疑惑』と呼ばれるもので実際に逮捕されたわけです。その裁判は裁判で自分の無実を訴えていく。226日間、疑惑を否認していたわけですね。いまの日本の司法のシステムでは、いったん逮捕されて被疑者となると、黙秘したり否認したりするとなかなか保釈してもらえない」

長野「そうなんです」

浜田「『他人事でしょ』『悪いことしないから』と言われるかもしれないけど、たとえば最近、朝日新聞で読んだケースでは、マンションの駐輪場で自転車が壊れていた、防犯カメラに姿が映っていた。警察に『あなたがやったんじゃないか』と言われて否認し、逮捕される。自分が事件を起こしていなくても、別の容疑をかけられて逮捕される、ということもあるので、このこと自体、皆さんに知っていただきたいなと」

長野「過去に再審で無罪になった冤罪事件はすべて人質司法が温床になっていて。皆、耐えきれなくなって『認めれば、裁判で本当のことを言えばいいか』となってしまう。いざ認めてしまうと……」

浜田「自白したじゃないか、と」

長野「そうして証拠とされて。”99.9“というドラマもありましたけど、裁判で覆すのが難しい。というのが冤罪の背景」

浜田「角川さんがおっしゃったポイントがいくつかあって。まず拘置所といわれるところにいるときは、まだ有罪が確定していない。でもほとんど囚人扱いだと。『あなたをきょうから囚人として扱います』とハッキリ言われたり、独房みたいなところの環境が、冷暖房完備と謳っているけど、ものすごく冬寒かったり。コンクリートの床に1枚、薄い畳があるようなところで。角川さんは逮捕される前から持病があった。それを訴えても適切な医療措置を受けられず、何度も倒れられて、病院に緊急搬送されることもあった」

長野「角川さんは(小菅の)拘置所だった。警察署の留置所というのもあるんですね、代用監獄といわれて国連人権委員会から『冤罪の温床になるから』と注意を受けているぐらい」

浜田「角川さんは『小菅病』という名をつけているんですね。拘置所に長くいると孤独になってくるし、接見は弁護士や一部家族らに限られた時間だけ。孤独の中で精神的に追い詰められる、身体的にも厳しい。どんどん自白に追い込まれていく。ひとつの日本の刑事司法のあり方として、弁護士の人たちは長い間、人質をなんとかすべきという声を上げていたんですけど、なかなか問題にフォーカスされないというか。一般世論で『これおかしい』『なんとかすべきだ』と優先度が上がっていかない、というのがいまの状況だと思います」

【関連記事】

おすすめの記事