海が見える家に住むには?海沿いで暮らす注意点をプロが解説
働き方の多様化で地方移住が増えている現在、「海が見える家に住みたい」「海が見える家で自然を感じながら生活したい」と思う方も多いのではないでしょうか。しかし、海が見える家での生活ではメリットばかりではありません。海が見える家に住むデメリットやリスクを事前に理解し、備えておくことが大切です。 今回は、海沿いの街・鎌倉市で不動産業を営む株式会社ステイ・フィールドの田原さんにインタビュー!海が見える家に住むデメリットや注意点、働き方の変化による動向などをお聞きしました。お話しを伺った方株式会社ステイ・フィールド 田原 歩(たはら あゆむ)さん
海が見える家に住むメリット
海が見える家に住むメリットには、何が挙げられるのでしょうか。海が見える家のメリットや、どのような方に人気なのかお聞きしました。
自然を近くに感じられる!
ー海が見える家に住むメリットはなんですか? 自然を近くに感じられることです。毎日海を眺めたい、マリンスポーツを楽しみたいといった方におすすめです。
ファミリー層にも人気
ー海が見える家を希望するのは、やはりサーファーの方が多いのでしょうか? サーファーなどマリンスポーツを好む方や、子どもに自然を感じてほしいファミリー層など、海を見るだけでいいという方も多い印象です。 鎌倉の場合は、東京や埼玉などの内陸から移住を希望する方が多い傾向です。開放的な場所で暮らしたいという理由から、海が見える家を希望するのでしょう。
海が見える家に住むには?デメリットも理解しよう
海が見える家に住むには、メリットだけでなくデメリットも理解することが大切です。海が見える家のデメリットについてお聞きしました。
デメリットは塩害・津波・湿気
(出典:同社運営のYouTubeチャンネル「鎌倉日和」より)ー海が見える家に住むデメリットを教えてください 大きく分けて塩害・津波・湿気の3点が挙げられます。毎日影響があるデメリットとして、塩害と湿気の影響があります。津波はデメリットというより、海が見える家において避けられないリスクといえるでしょう。 それでは、塩害・津波・湿気の影響について1つずつくわしく見ていきましょう。
塩害とは?どのような影響があるかも解説
塩害とは、塩分を含む潮風が吹き付けることで建物や植物が傷むこと。海沿いの地域では避けられない現象のため、塩害の影響について理解することが大切です。 塩害の影響や対策方法をお聞きしました。
塩害の影響を受けるのは乗り物・建物・洋服・家電の4つ
(出典:同社運営のYouTubeチャンネル「鎌倉日和」より)ーどのようなものが塩害の影響を受けやすいのでしょうか? 主に乗り物・建物・洋服・家電の4点が塩害の影響を受けやすいといわれています。1つずつ説明していきましょう。
乗り物の被害:自転車のチェーンが錆びやすい
ー乗り物の被害とは? 自転車がとくに塩害の被害を受けやすいといわれています。自転車のチェーン部分は鉄でできており、錆びやすいためです。ー対策方法はなにかありますか? 自転車にカバーをかけたり、錆防止スプレーをチェーンにかけるなどの対策があります。また、自転車店へ行って定期的にメンテナンスをするのもよいでしょう。ー自動車も錆びるのでしょうか? 最近の自動車は錆びにくくなっていますが、表面に傷が入っているとそこから錆びていくといわれています。 海が見える家に住む以上、塩害の影響は避けられません。乗り物に関しては長持ちするよう、こまめにメンテナンスすることが大切です。
建物の被害:窓の手入れが必須
ー建物の被害とは? サッシが錆びて窓を開けられなくなったり、塩で窓が白くなってしまったりといった被害が挙げられます。掃除を怠ると窓が真っ白になってしまうこともあるため、窓は毎日掃除することをおすすめします。
洋服の被害:外に洋服を干すとベタつくことも
ー洋服の被害とは? 洋服を外に干すとべたついてしまうことがあります。海が見える家に住むお客様はみな、15時以降に外干しすると服がべたつくといわれています。 15時までは外干し、15時以降は室内干しをするとよいでしょう。
家電の被害:室外機が傷みやすい
ー家電の被害とは? 潮風で錆びが発生しやすいため、室外機がとくに傷みやすいといわれています。対策方法としては室外機にカバーをかけることが挙げられます。
湿気の被害とは?対策方法も解説
海が見える家に住むデメリットとして湿気の被害も挙げられます。具体的にどのような影響があるのでしょうか。
タンスやクローゼットの中に湿気が溜まりやすい
ー湿気によってどのような影響がありますか? 海が見える家では、タンスやクローゼット、物置の中に湿気が溜まりやすいといわれています。もちろん内陸のほうでも山に囲まれていると湿気は発生するのですが、海が見える家では湿気に加えて塩害の影響もあるため、より湿気が溜まりやすいのでしょう。ー湿気対策にはなにがありますか? 除湿剤や除湿器を置いたり、定期的に窓を開けて換気するとよいでしょう。 除湿乾燥付きのエアコンを使用したり、乾燥機付きのお風呂を設置して室内干しをしたりといった住宅設備にこだわるのもひとつの手だと思います。
塩害や湿気の影響を避けるには?
ー海が見える家で塩害や湿気の影響を避けるにはどうすればよいのでしょうか? 構造面でいうと、鉄はどうしても塩分に弱いため、鉄を使わない木造や鉄の上からコンクリートを覆う鉄筋コンクリートがおすすめです。 構造以外の面では、壁を漆喰で塗るなど建材にこだわるのもよいでしょう。藤沢市という海沿いの町に位置するハウスメーカーを訪れた際、湿気対策として壁を漆喰で塗るという工法があるとお聞きしました。 建材にこだわったり乾燥機付きの住宅設備を取り入れるなど、家づくりの段階で工夫を凝らすことで、塩害や湿気の被害を減らすことができます。
津波についてもリスクを把握しよう
海が見える家に住む最大の注意点として、津波のリスクが挙げられます。津波が来た際にどのような行動をとればよいか把握し、リスクに備えることが大切です。 津波のリスクや対策方法についてお聞きしました。
津波に備えるには
ーやはり海が見える家に住むと、津波のリスクは避けられないのでしょうか? そうですね。一般的に地震が起きて7~8分後に津波が押し寄せるといわれており、津波が来る前にできることといえば高台に逃げるしかありません。海が見える家に住む以上は津波のリスクを覚悟し、高台までの避難経路やハザードマップを移住前に確認することが大切です。
高台の場所を選ぶのもおすすめ
ー海が見える家に住む限り、津波のリスクは付きまとうのですね… 立地次第で津波によるリスクを下げることはできます。高台に位置する家や海抜が高いところなどを選ぶと、ある程度リスクを下げられる可能性があります。
テレワークの増加で移住者は増えた?動向をお聞きしました
新型コロナウイルスの影響でテレワークが普及し、新しい働き方が確立された現在。都心から田舎に移住する方も増えており、海が見える家の需要も増えたのでしょうか。 最近の動向をお聞きしました。
移住希望者はコロナ前の1.7倍!
ーテレワークの増加で、海が見える家に住みたいという方は増えましたか? 鎌倉市にある当社の場合は、問い合わせがコロナ前と比べて1.7倍に増えました。現在は紹介できる物件がなく、物件価格もかなり高騰しています。ーどの地域に住んでいる方が鎌倉市に移住するのでしょうか? 東京や埼玉からの移住が多い印象です。鎌倉は東京からのアクセスがよく自然も多いため、現在の働き方に適した場所と捉える方が多いのでしょう。
人気の間取りタイプにも変化が
ー移住する方はやはりファミリー層が多いのでしょうか? 移住する方はファミリー層だけでなくカップルや一人暮らしの方などさまざまという印象ですが、コロナ前とコロナ後では人気の間取りタイプに変化があると感じます。 コロナ前は一人暮らしであれば1Rや1Kで十分という方が多かった一方、コロナ後には1DKや1LDKといった間取りが人気になっています。ーなぜ人気の間取りタイプに変化が生じているのでしょうか? 仕事用の部屋とプライベートの部屋を分けたいという方が多いためです。働き方が変化したため、求められる住宅のタイプも変わっていることがわかります。
海が見える家ならどこでもいい?理想の暮らし方を考えよう
ー海が見える家を選ぶうえで注意したいポイントはなんですか? 海と一言でいっても、海水浴場でにぎわう海もあれば人気のない静かな海など種類はさまざま。静かな海でゆったりと過ごしたい、海水浴場で思いっきり泳ぎたいなど、理想の暮らし方をイメージしながら海が見える家を探しましょう。
まとめ
今回は海が見える家に住むメリットやデメリット、最近の動向などをお聞きしました!リモートワークの普及で住む場所を選びやすくなった一方、理想の暮らし方を叶えながらもデメリットや注意点を把握し、リスクに備えることが大切です。 海が見える家を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください!