琉球ゴールデンキングス リーグ戦再開へ 岸本隆一×平良彰吾特別インタビュー
11月30日(土)にバイウィークが明けリーグ戦が再開するバスケットボールBリーグの琉球ゴールデンキングス。14戦を終えて11勝3敗・西地区2位(首位と勝率で並ぶ)と好調な滑り出しを見せている。 今シーズンも高確率の長距離砲で勝利を手繰り寄せるミスターキングス・岸本隆一選手と、B3横浜エクセレンスからシーズン途中にレンタル移籍で加入し存在感を高めている平良彰吾選手に、植草凜アナウンサーがインタビュー。リーグ戦再開への決意を聞いた。
西地区2位&リーグ2位の攻撃力
植草アナ 「シーズンの4分の1ほどを終えましたが手応えはいかがですか?」 平良選手 「レンタルという形で入って、右も左も分からないまますぐに試合に出させてもらって、その中で自分の得意なディフェンスを特に出せたと思います。ただまだまだ改善しなければならないこともあるし、もっとチームのためにできる事があると思うので、そのあたりを残りのシーズンでもっと良くしていきたいです」
岸本選手 「勝敗も含めてとても手応えを感じていて、チームとしても良い雰囲気を保ちながら戦えているので、序盤戦は良い時間になったと思います」
Q.1試合あたりの平均得点はリーグ2位と高い数字ですが、攻撃面での今年の色はどう感じていますか? 岸本選手 「チームとしての流動性が昨シーズンと比べて上がったと思います。特に(選手個人の)判断の部分ですね。判断する時間がすごく早くなったと思っていて、その分ボールが動きますしいつ誰がどういったシュートを打つのかが明確になってきた部分もあると思います」 Q.判断が早くなった要因は何ですか? 岸本選手 「なんでなんですかね~笑 理由は一つではないと思うんですけど、いい意味で役割がみんな違うというところかなと思っていて。今年はみんなが良い意味で分かりやすく特徴が違うチームだと思うので。時間帯によってどこで攻めるか、選手がプレーしながらでも分かりやすいので、そこが良い判断にも繋がっているかなと思います」 Q.平良選手はキングスに来てB1の凄みや違いを感じたことはありましたか? 平良選手 「練習中のコーチの指示などが明確で、選手も言われた事をすぐに実行できたり、試合でも確実に再現できていると思います。細かいところではあるんですが指示や目的、共通認識がハッキリしていると感じました」
Q.少ないロスターでのスタート、伊藤選手のケガもありました。限られたメンバーだからこそ今の戦いができているという実感はありますか? 岸本選手 「少ないところから始まった分、自然とそれぞれに大きく責任が振り分けられた状態から始まったと思っていて。それが今いい方向に向いているのは間違いないと思います。 ケガなど不測の事態が起きても、必ず誰かがステップアップしているということが今のチームの雰囲気を作っていると思います」
「沖縄は第2の故郷」 突如訪れた人生の転機
Q.平良選手は千葉県のご出身ですが、岸本選手は、やっとうちなーんちゅが来てくれたなという感覚はありますか?笑 岸本選手 「顔だけみたらありましたね。笑 顔は『ザ・沖縄』という感じで、僕なんかより沖縄っぽいので。笑」 Q.平良選手も昔から沖縄を意識することはありましたか? 平良選手 「すごくありましたね。笑 向こうに(千葉県)居たら、「ハーフ?」って聞かれるんですよ。両親が沖縄の人ですというと納得してもらえるみたいな。笑 初対面の人には一度は説明します。笑」
Q.沖縄に“帰ってきたな”という気持ちが強いですか? 平良選手 「小さい頃からおばあちゃんや親戚に会いにいつも沖縄に帰ってきていて第二の故郷だと思っているので、帰ってきたなという気持ちは強いです」 Q.両親の地元チームのキングスに行くと決まった時の心境は? 平良選手 「朝イチに電話を貰ったので、最初はびっくりして寝ぼけているのかなと思いました。笑 家で今季のキングスの開幕戦も見ていましたし、こういうところでプレーするために自分も頑張らないといけない、どうしたらいいんだろうなと考えていたので。そのチームに行けるという事で、素直にうれしかったです。自分のやれる事を最大限出して、チャレンジャーの気持ちで、全力でやっていこうという気持ちで沖縄に行きました」
Q.不安はなかったですか? 平良選手 「凄くありました。自分がB1でちゃんとできるのか、キングスに入っていきなりアジャストしていけるかなとか、不安はありましたね。」 Q.岸本選手から見て、平良選手の合流後の活躍はどう映っていますか? 岸本選手 「本当に忖度(そんたく)無しにすごいとおもいましたね。シーズン途中で違うチームに行くというのはすごく大変なことだと思うので。EASLもあるので練習がままならないときももちろんあって。コーチたちが立てたゲームプランを口頭のやりとりだけでやらなきゃいけないという事もある中で、個人の活躍はもちろん平良選手のプレーが周りに良い影響を与えていると思うので。同じ立場だったら自分はできないなと思ったので。刺激を僕も貰っています。」 平良選手 「恐縮です。笑 小さい頃から見てきた選手と一緒にプレーできて、そういった事を言って貰えて、一緒にゲームができる事自体が少し前では考えられないことなので。 チャンスを貰えた分、集中してやることをやっていかないといけないという責任も感じています」
Q.契約延長を聞いた時はどんな想いが巡りましたか? 平良選手 「本当に残してくれるんですか!?と思いましたね。B1でやりたいという想いもあったし、横浜を離れるのもどうなるんだろうなという気持ちもあって。ただ素直に残れるというのは本当にうれしかったです」 Q.試合後の会見などでは桶谷HCがディフェンスのエナジーを評価していました 平良選手 「ディフェンスで評価してもらえることがうれしいです。ディフェンスは数字に表れない部分ですがそこをしっかり見てもらえているので。ファン、ブースターの皆さんにもディフェンスで声援を貰えるのはうれしいです」
ミスターキングス「大事な場面に選手の存在価値がある」
Q.平良選手を始め若手の活躍は岸本選手はどう感じていますか? 岸本選手 「いや~結構僕も必死なんでね~笑 (平良)彰吾に関して言えば、厳しいチーム状況の中で来てくれて、チームの助けというよりも武器になって僕自身はうれしかったしポジティブな気持ちになれました。競争が激しくなる事でチームの良い雰囲気作りができると思うので、色々な要素を彼がもたらしてくれたと思います」 Q.今季もここぞというシーンでは岸本選手にボールが回ってきますね 岸本選手 「僕自身も大事な場面と言われるところに選手の存在価値があると思っているので。そういう場面で仕事ができたらいいなという想いはずっとあります。日頃の練習からそういう意識を持って取り組んでいるので。ただ今シーズンに関しては大事な場面をできるだけ作らないという事もチームとしては必要な部分だと思うので。もう少し見極めながらやれたらいいなと思っています」
Q.大事な場面を作らないというのは? 岸本選手 「本来であればクロスゲームにならずに済んだという試合が昨シーズンもたくさんあったと思っていて、もう少し早い段階で勝負を決められる、自分たちにとってアドバンテージを有効に使える場面がいっぱい作れると思っているので、その部分にも向き合ってチームで取り組んでいかないといけないと思っています」 Q.平良選手から見た岸本選手の勝負強さは? 平良選手 「本当に素晴らしい選手だと思います…笑 最後困ったら隆一さんにパスを出して、隆一さんが決めきれなくても何かアクションが起きたりとか、そういうところでリズムが保てているところがたくさんあると思うので。自分もボールが集まる信頼されるプレイヤーになりたいので、本当にすごいなと思っています」
“何も考えない”ことがシュート成功の秘訣!?
Q.勝負強さは鍛えられるものなんですか? 岸本選手 「どうなんですかね~。あんまり深く考えていないですけど…笑 練習の中で同じようなシチュエーションを作る事、似たような状況を作り出すことは練習で必要だと思いますし、一度そういう場面で結果を残すことができれば自ずと自信になるので、なんとなく習慣化できるというのもありますし。結局シュートを外してもいつかは忘れると思っているので。笑 決め切ろうと思う事よりも、これを外したからといってどうかな~とあまり深く考えていない時に上手くいくことが多いかなと思います」
Q.平良選手は3ポイントシュートを打つ時に緊張したりしますか? 平良選手 「僕もシュートが入るときは何も考えていないですね。ここ決めたい!とか、大事なシュートだ!と考えるときのほうが落としていることが多いかなというのがあって、決めているときはあまり何も考えていないです」
Q.何も考えないという事がそれぞれ共通している事なんですね 岸本選手 「でも無理だと思うので。笑 やっぱり考えると思うので、いかに考えない感覚的な状況に自分を持って行けるかという事が大事で、ひも解けば練習だと思いますし、日頃自分がどう考えて、バスケットや生活に取り組んでいるのかがシュートに出るのかなと僕は信じていますね。決めたろ!と思うと大体外れますよ。笑」
「コンプレックスだった」日本一への執念
Q.岸本選手は2022‐23季にリーグ制覇を経験、平良選手は優勝は未経験ですが、それぞれの日本一への想いはどのようなものがありますか? 平良選手 「今はそこまで考えられていなくて、ただ1試合1試合積み重ねていくことでしかできないと思うので。日本一の景色を見てみたいというのはありますし、その中で自分もチームに貢献してプレーできたらこれからのキャリアも変わってくると思います」 岸本選手 「勝敗で見ても十分狙える位置にいるので、意識はしているんですけど、シーズンは何が起こるか分からないので、不測の事態に備えてどういった時でも自分たちのできる範囲で良いパフォーマンスができるように。そこにまずは集中したいなと思っています」 Q.桶谷HCは「優勝は人生観が変わる体験」だと話していました。優勝後変化はありましたか? 岸本選手 「変わったんですかね~。笑 でも自信はついたと思います。自分自身のプレーやチームに対しての考え方に自信を持つことができたと思います」
Q.優勝以前も地区優勝は続けてきましたが、「日本一じゃなきゃ…」というような想いがあったんでしょうか? 岸本選手 「ずっとありましたね。恐らくコンプレックスに近いくらい日本一に対して執着していたので、日本一になってみて分かることも多かったのかなと思います」 Q.日本一への執着度合は毎年変化していますか? 岸本選手 「そこは一緒ですね。優勝するために頑張っているので。ファイナルに行けたら正直過程なんて…と思う自分もいますけど優勝に向かうまでの過程がすごく楽しかったんだろうなと思う自分もいたりして。優勝したからこそ自分の中の価値観や考え方の幅も広がってきていると思うので、また優勝できたなら、また違う気持ちになれるんだろうなという想いがあって、そういう意味でも優勝したいですね」 Q.最後にバイウィーク明けの意気込みを聞かせて下さい 平良選手 「良いディフェンスから良いリズムを作って、良いゲームができるように頑張っていきます」 岸本選手 「チームバスケットをより極めていけるように、一つ一つの積み重ねを大切に、応援してくれる方にとって、自分たちのプレーが少しでも活力になるように。心を込めてプレーできたらなと思っています」
[インタビュー&執筆:植草凜(沖縄テレビアナウンサー)]