私たちが「子ども食堂」とできることは? 四日市農芸高校の生徒が今後の取り組みに向け勉強
三重県立四日市農芸高校(中田直人校長)で6月4日、生徒たちが「子ども食堂」について学ぶ授業が開かれた。食品科学科の課題研究のひとこまで、普段は地域の農産物を使ってジャムやクッキー、みそなどに加工する勉強をしているが、今年は、それらを社会貢献につなげられたらと、生徒たちが自分たちなら何ができるかを考える機会にしようと設けられたという。
講師に招いたのは、四日市市で早くから子ども食堂を開設し、特定非営利活動法人三重はぐくみサポート創設者でもある山田知美さん。「子ども食堂」について漠然としたイメージしかなかった3年生に、誕生の歴史や現在の活動状況などをやさしく解説した。
子ども食堂は、当初は貧しさからや、親の仕事で夜は家庭でひとりになる子どもたちに食事を提供することから始まったという。しかし、子ども食堂に来る子は貧しい子、と見られることを嫌って、せっかくの機会でも利用しようとしない親が増える皮肉な状況も生まれたという。
子ども食堂についてやさしく解説する山田知美さん
山田さんは、「かわいそうではなく、助け合いが必要なだけ」とのことばを使って、この活動の真意を伝えようとした。「今の社会は子育てしながら働く親が、なかなか正社員で雇ってもらえないケースが多い。子どもが風邪をひいたりすると仕事を休まなくてはならなくなり、収入も不安定になる。私たちの活動は、そんな家庭へ、子どもが成長するまでの間、応援するものだと思っています」と話す。
四日市市にはすでに中学の数より多い30以上の「子ども食堂」があるという。活動の内容も食事の提供にとどまらず、学習支援や世代を超えた交流など多くの役割を果たしているという。
話を聞いたあと、生徒たちは3~4人のグループで、自分たちが「子ども食堂」にかかわって何ができるか、意見交換をした。「お菓子をつくって子どもたちに贈る」「学校に来てもらって野菜栽培やクッキーづくりを一緒にする」「一緒に野菜などを使った料理をする」「レシピを持ち帰ってもらい、家庭でも作ってもらえるようにする」など、多くの案が発表された。
生徒たちのアイデアが最終的にどんな形に実るかは、これからのお楽しみ。初めての挑戦なだけに困難もありそうだが、授業を担当している増田さゆり教諭は、「このあと、どんなことが実際にできるかを生徒たちと考えていきたい」と話していた。