鉄と亜鉛不足を解決!アサリで栄養を補う方法とは!?【小児科医ママが教えたい 体・脳・心を育てる!子どもの食事】
鉄と亜鉛不足をアサリがあっさり解決!
アサリには重要な栄養素がたっぷり
前項目で紹介したとおり、鉄とともに不足しがちな栄養素が亜鈴です。*⁸0~9歳の男の子の約30%、女の子の約34%が亜鉛不足という調査結果もあるほど。亜鉛が不足すると味覚障害が起こることもあるので、お子さんの偏食がひどい場合、亜鉛不足を疑ってもよいかもしれません。
亜鉛を豊富に含む食材の代表格は牡蠣ですが、子どもの食事に取り入れにくいのが難点。そこで、前項目で紹介した牛肩ロース肉のほかに利用したいのがアサリです。
アサリには、鉄や亜鉛、たんぱく質、カリウム、カルシウムなど、体に必要なさまさまな栄養素が含まれています。筋肉や皮膚をつくり、酵素やホルモンの材料となるたんぱく質。摂りすぎた塩分を体外へ排出してくれるカリウム。骨や歯をつくるカルシウム。どの栄養素も子どもの成長と健康には久かせません。
アサリに含まれる鉄・亜鉛以外の栄養素
●たんぱく質:筋肉や皮膚をつくる、酵素やホルモンの材料となる
●カリウム:摂りすぎた塩分を体外へ排出する、細胞の内側と外側の水分バランスを調整する、筋肉や心臓の機能を維持する
●カルシウム:骨や歯の成分になる
●ビタミンB12:骨髄で葉酸と一緒に血液をつくる
●タウリン:血中の中性脂肪やコレステロールを下げる、血圧を下げる、インスリンの分泌を促す
水煮缶にすると亜鉛と鉄が大幅アップ!
「アサリは砂抜きと塩抜きが面倒で・・・・・・」という声が聞こえてきそうですね。でも、ご心配なく。生のアサリではなく水煮缶を使えばよいのです。
缶詰は生のものに比べて栄養素が少ないイメージがあるかもしれませんが、じつは逆なのです。100gあたりで比較すると、亜鉛の含有量は生のアサリが0.9mgで水煮缶が3.4mg、鉄は生のアサリが2.2mgで水煮缶が30mg。アサリに含まれるほとんどの栄養素が、生に比べて水煮缶のほうが上回っているのです。
アサリの水煮缶 VS シジミのむき身、栄養価はどちらが高い?
可食部100gあたりに含まれる鉄は、アサリの水煮缶が30mgでシジミが8.3mg。亜鉛はアサリが3.4mgでシジミが2.3mg。カルシウムはアサリが110mgでシジミが240mg。鉄と亜鉛を摂りたいならアサリの水煮缶、カルシウムを摂りたいならシジミを選ぶのもよいでしょう。
出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
汁ごと使って炊き込みごはんに
アサリの水煮缶を使った料理で、いちばん手軽でおすすめなのが炊き込みごはんです。しょう油やお酒、水などに加えて、栄養が詰まった水煮缶の汁も一緒に入れて炊飯器で炊くだけ。献立のメインになり、子どもにとっても食べやすい鉄板メニューです。
少し手をかけるなら、お味噌汁の具にしてもよいですし、牛乳と野菜を一緒に食べられるクラムチャウダーにしてもよいでしょう。
アサリにはヘム鉄と非ヘム鉄の両方が含まれていますが、非ヘム鉄の含有量のほうが多いようです。ピーマンやパセリ、ブロッコリーなど、ビタミンCを多く含んだ食べ物と一緒に食べて、鉄の吸収率をアップさせましょう。
アサリの水煮缶はこんなにすごい!
アサリの水煮缶は生のむき身に比べて、たんぱく質、カルシウム、鉄を多く含んでいます。使いやすくて栄養素たっぷりの水煮缶を、味方につけない手はありません。
*⁸安田寛(2016)『亜鉛不足の現状:早期発見・早期介入の必要性』Biomedical Research on Trace Elements Vol.27 No.3
【出典】『小児科医ママが教えたい 体・脳・心を育てる!子どもの食事』著:工藤紀子