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「暖冬なのに寒いよ!!」という人に気象予報士が伝えたい【暖冬の真実】

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【公式】ジェーン・スー 生活は踊る

TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』月~木曜日の11時から放送中!

12月7日(木)放送後記

「スーさん、コレいいよ」。今回のゲストは気象予報士の増田雅昭さん。

今回のテーマは「暖冬で起こった、こんなこと!あんなこと!」

今年の冬は、「暖冬」になります。1ヵ月予報とか先々の長期予報は、なかなかズバリ言えないんですが、この冬は、「暖冬です」と声を大きくして言えるくらい、暖冬の確率が高い。

・暖冬になると、ふだんの冬といろいろと違ってきます。
・今日は、そんな暖冬にまつわる生活への影響についてお話します。

突然ですが、ここでクイズです!

Q.冬といえば雪。暖冬では、雪の回数や量も少なくなります。では、東京都心の観測で、史上最も遅かった“初雪”は何月だったでしょうか?

正解は「3月」!

2007年は、初雪が遅れて3月に降ったんです。
この年は大暖冬で、スキー場も雪が降らず、雨乞いならぬ雪乞いが各地で行われるくらいでした。
東京も雪が降らないね、降らないね、とずっと言っていて、初めて降ったのが3月16日。
それも雨が降っているなかで、10分~15分ほど雪が混じっただけです。

・ちなみに、観測史上、東京では雪が降らなかった冬はありません。
・逆に、東京で一番初雪が早かったのが11月17日。これは明治時代です。

そんな雪ですが、暖冬の時、ひと冬に降る雪のトータルの量は減る傾向ですが、一度にドカッと降ることはあります。

・気温や海の海水温が上がると、空気中の水蒸気の量が増えます。
・暖冬で気温が高いと、とうぜん雪がとけて雨で落ちてくることも多いですが、ぎりぎり0℃以下だったり、氷点下の地域は雪のまま落ちてきます。

普段より水蒸気が多い=たくさん降るという中で、雪だとドカッと降ることがあるわけです。油断できません。

Q.暖冬、暖冬って言ってますが、寒い日もけっこうありますよね?

それが「暖冬」という言葉の落とし穴。

・言葉の響きからずっとポカポカ過ごせるという印象をもつ方もいますが、そうではありません。
・私たち気象予報士も、まわりの人から、「暖冬なのに寒いじゃん!」と文句を言われますが、そうじゃないんですよね。

暖冬といっても、“あくまで平均の気温”の話なんです。

・ひと冬の気温の平均をとると、平年より高いです、という意味。
・寒い冬とかだと、気温はずーっと低空飛行、グラフでイメージすると、低い位置のままなんですが、暖冬のときは、寒さが長続きしないので、グラフでいうと、上がり下がりが激しい波型になります。
・つまり、暖冬というのは、暖かい冬というより、寒暖差が大きくなる冬のこと。とうぜん寒い日もあるわけです。

Q.そんな暖冬になると、いつもの冬に比べて何が変わるんでしょうか?

暖冬で起こることがいくつかあるんですが・・・
暖冬になると、お店で売れ行きがよくなるものと、そうでないものがあります。

・たとえば売れるものとしては、マヨネーズ。なぜか分かりますか?
・暖冬だと、野菜が例年よりどんどん育って出荷されるので、野菜は安くなる傾向。
・野菜を食べる機会が増え、マヨネーズやドレッシングが例年より売れるそうです。
・野菜を使ったメニュー、レパートリーを増やしておきたいですね。

ほかに暖冬になると、お店で売れ行きがよくなるもの。

殺虫剤…虫が例年より多く出るため。
日焼け止め…寒くないということで、外に出ることが例年より増えるため。
同様の理由でテーマパークの入場者数が増えるそうです。

ちなみに、逆に売れなくなる物はカイロやコートなどがよく知られていますが、

ポン酢…鍋料理をする機会が減るため。
絆創膏…寒さや乾燥する日が例年より少なく、手荒れが減るため。などもあります。

続いて、暖冬は「服装選びを試される冬になる」ということでもあります!
さきほどお伝えしたように、とにかく寒暖差が激しくなることが予想されます。
そこで難しくなるのが、服装選び。
間違ったアウターを持って出たが最後。その日は後悔の念にさいなまれます。

対策としては、朝しっかり天気予報を聴いたり見たりすること。
とくに自分が外に出る時間帯の気温をチェックしていただきたいです。

服装選びの基準ですが・・・

・10℃を下回ると冬物のコート
・8℃を下回ると手袋
・5℃を下回るとダウンコートを着たいくらいです。
・一方で気温が15℃を超えると、冬物の厚手のコートだとちょっと暑い。

15℃を超えるなら、昼間はジャケットとか薄いカーディガン。
夜でも15℃以上あれば、薄手の秋物のコートとかで良いくらいです。

最後に、今年ならでは。今年気をつけたいこと。

・それは、「クマ」です。

すでに例年以上の目撃件数となっていて、東京でも多摩地方だと、目撃情報がたくさんあります。町田市とかでも目撃があったそうですね。

・今年は、猛暑の影響でブナとかのエサが減って、エサを探しにクマが里や街中におりてくる機会が増えたと言われています。

そして、心配なのが暖冬の影響です。暖冬だと、クマが冬眠に入れなかったり目が覚めたりする、ということがあるそうです。

・ひどい暖冬だった今から4年前も、冬にクマの目撃が増えているというニュースがありました。
・これまでクマの目撃があった地域のみなさんや、そういった地域に足を運ぶ予定のある方は、もし遭遇したらを考えておきたいですね。

【増田雅昭】
1977年・滋賀県生まれ。大学在学中に気象予報士試験に合格すると、テレビ朝日の報道番組に学生予報士として出演。卒業後も予報士として活動を続ける中で、“天気の面白さ”に気づき、「どうすれば天気に興味をもってもらえるか」を日夜考え続ける、天気が好きすぎる気象予報士です。現在は、TBS朝の「THE TIME」のお天気コーナーでもおなじみです。

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