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​【静岡市文化・クリエイティブ産業振興センターの「Frontier Festival2025」】 3月21日開幕。甲賀雅章コンセプトディレクターに見どころを聞く

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静岡新聞論説委員がお届けするアートやカルチャーに関するコラム。今回は3月21日から静岡市葵区七間町と周辺で開催される静岡市文化・クリエイティブ産業振興センター(CCC)主催の「Frontier Festival2025」を題材に。(文責=論説委員・橋爪充、写真=「Frontier Festival2025」制作委員会提供)

CCCは毎年3月に身体表現を中心にしたフェスティバルや祭典を開いている。2016~2019年と2021年は「七間町ハプニング」、2022~2024年は「OUR FESTIVAL SHIZUOKA」という名称で開催してきたが、2025年からは新しい体制で新しいコンセプトを打ち出した。韓国、スペイン、台湾など海外からのアーティストも含め65組が参加する。21日からの開幕を前に、コンセプトディレクターの甲賀雅章さんにフェスの方向性や、お薦めの演目を聞いた。

(フェスのコンセプトについて)
「Frontier」というのは辺境、端っこという意味ですよね。この辺境にこそ新しい表現の可能性がある。真ん中にある表現というのは全国どこでも見られるわけです。でも、従来の表現の延長線上にいないアーティストが世の中にはいっぱいいる。そういうところだけを集めたフェスティバルが面白いんじゃないかと思って。身体表現、現代アート、デザインといったクリエーティブと産業をかけ算したいんです。

(ARTIE屋外ステージで上演がある「解放区アーティスト」について)
海外には「フリンジフェスティバル」というものがあります。王道ではない連中が集まってくるフェスで多くはギャラもない。自分の表現を見てもらいたい、という純粋な人たちは確かにいる。そんな思いで募集をかけてみたら国内外から19組も応募があったんです。そのうち7組を採用。辺境というコンセプトに共鳴してくれた、魅力を感じた人がこれだけいっぱいいたということなんでしょう。新しい表現が見られるはずです。

(世界に通用する作品を求めた「静岡パフォーミングアート・クリエーションサポート」参加アーティストについて)
静岡から世界へ飛び出していけるような作品をつくる。つくる場を提供することが必要だと思っています。小劇場の劇団によくあるような身内の満足で終わってしまうのではなく、海外のフェスにも招待されたい。それを前提につくった作品を上演します。

(スペインから来日する映像アーティスト、カーラ・クラハトさんの「Ghost in the machine」〈上写真〉について)
超アナログ的なオブジェをいくつもつくって、そこに光を当てて映像作品に重ねるライブパフォーマンス。不思議な没入感があります。

(ドイツを拠点にするダンサー山口隼人さん〈上写真〉について)
ソロダンス「Borderless Dance Artist」に加えて、新しいダンスクリエーション「辺境de ダンスクリエイション」を披露します。公募で集まった6人とオンラインで2カ月ぐらい制作していて、リアルに顔を合わせたのは昨日(3月18日)が初めて。本当に作品ができるのか心配したんですが、すごくいい出来です。

(CCCの楽校4期生特別企画「タコーを探せ!~Dive in the deep~」について)
4期目を迎える「CCCの楽校」ではクリエーティブな思考で社会課題を解決することをやっています。5月に開校して翌年3月まで座学とワークショップを繰り返す。今年の受講生たちの課題は「若い世代の対話不足」でした。チャットはするけれど対話をしたことがない、といった問題。これをどうクリエーティブな発想で解決できるかを議論して考えた結果、創造的な対話を通して自己肯定感、多様性を認める力を養うということになりました。その中で出てきたのが「芸術探検家」の野口竜平さんがつくる「蛸みこし」(上写真)です。アート作品ですが(竹製の蛸の足部分を支える)8人が協力しないとみこしにならない。暗黙の対話も含めてそれぞれの対話が必要なんです。今回のフェスでは受講生が操りますが、一般の方も参加できます。

(市内7店舗に8人のアーティストの作品を設置する「辺境でアート」について)
「すごせる酒屋MUGI」では染織アーティスト浅倉広美さんとデジタル・ムービング・アーティスト綵神光途さんの作品が見られます。綵神さんのアートは額縁の中の油絵が動き出す、というもの。必見です。(有機野菜の店)「リアルフードマーケットあくつ」には現代美術家でグラフィックアーティストの宮野祐さん(上写真)。作品が入ると店の空間の見え方が変わってくると思います。

<DATA>
■ Frontier Festival2025
会場:ARTIE、ARTIE&CHILL、葵スクエア、CCC、あそviva!劇場ほか
開催期間:3月21日(金)~30日(日)。21~23日にパフォーミングアーツ公演を集中上演。フェスの企画の一つ「ARTバル」のみ4月20日まで開催。
詳細はCCCの公式サイト(https://www.c-c-c.or.jp/lp/ccc-frontier-festival2025)参照。

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