ソフトバンク小久保裕紀と日本ハム新庄剛志、データが示す好対照な両監督の采配
クリーンアップわずか3通りのソフトバンクと53通りの日本ハム
パ・リーグはソフトバンクが優勝へ秒読み態勢に入った。クライマックスシリーズ進出争いは2位・日本ハムが3位・ロッテをリード。ファーストステージのホーム開催へ前進している。
この両チームで対照的な数字がある。クリーンアップのスタメンパターンだ。ソフトバンクはわずか3通りしかないが、日本ハムはなんと53通り。57通りのロッテに次いで多い。
就任1年目の2022年開幕投手にルーキー・北山亘基を抜擢したように、周囲をアッと言わせる采配をしてきた日本ハム新庄剛志監督だが、3年目で選手の特性や実力を見極めた今季はそれがハマっているとも言える。
一方のソフトバンクは開幕から3番・柳田悠岐、4番・山川穂高、5番・近藤健介でクリーンアップを固定。柳田がケガで離脱してからは栗原陵矢を3番に据えているが、3試合だけ柳町達が3番で先発出場した。つまり4番と5番は完全に固定している。
近藤健介は打率、山川穂高は本塁打と打点の2部門でトップを走っており、タイトルを獲るほどの実力を持つ選手に他の選手が割って入るのは難しい。
とはいえ、山川は6月に打率.182でノーアーチとスランプに陥ったが、それでも小久保監督は4番から外さなかった。自らが現役時代に4番を張っていたこともあるのかもしれないが、選手を信頼してあまり動かさない采配は、新庄監督とは対照的だ。
6回終了時リードや1点差以内の勝率は日本ハムが12球団トップ
逆に両チームに共通するのは逆転勝ちの多さ。ソフトバンクは逆転勝ちが12球団最多の28度、日本ハムは同2位の27度もある。監督の采配は好対照でも、試合終盤の粘り強さはリーグで上位にいる一因だろう。
逆転勝ちを増やしているのはリリーフ陣の踏ん張りも大きい。日本ハムは6回終了時にリードしている試合は12球団トップの勝率.959。6位のソフトバンク(勝率.906)より5分以上高い。
48試合で1勝4敗31ホールドの河野竜生、46試合で4勝3敗18セーブ12ホールドの田中正義、40試合で1勝2敗13ホールドのマーフィー、35試合で2勝3セーブ12ホールドの杉浦稔大、31試合で5勝2ホールドの山本拓実、26試合で1敗16ホールドの宮西尚生、26試合で2勝15ホールドの池田隆英らブルペン陣が奮闘している。
新庄監督は投手起用でも「勝利の方程式」のような固定した起用はせず、選手の状態を見極めながら継投。もちろん全てハマるわけではないものの、6回以降のリードを守り切り、リードされている場合は逆転勝ちを呼び込んでいる。
また、1点差以内の試合で23勝しており、12球団トップの勝率.605と高い。ソフトバンクは16勝、勝率.552で12球団5位だから、いかに日本ハムが接戦に強いか分かるだろう。
逆にソフトバンクは先制した試合で58勝、勝率.806で12球団トップ。日本ハムも49勝、勝率.766で3位だが、自分のペースで試合を運べれば、個々の戦力に勝るソフトバンクは強さを発揮する。
楽しみなCSでの対決
まだ優勝も決まっていないのに気の早い話で恐縮だが、楽しみなのはクライマックスシリーズ。長いペナントレースでは戦力的にソフトバンクが優位なのは明らかなものの、短期決戦では紛れが生じる。
特に打者陣は調子が悪い場合、復調する間もなくシリーズが終わるのはよくあることだ。そう考えると、選手の状態を見極めて起用する新庄監督の采配が的中しても決して驚けない。
ソフトバンクが独走のままゴールテープを切りそうなパ・リーグだが、さらにその先はどうなるか分からない。好対照な両監督の采配はまだまだファンを楽しませてくれそうだ。
※成績は2024年9月11日終了時点
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記事:SPAIA編集部