もし山下さんが、声優ではなかったら?──「らしんばんラジオ」2025年5月パーソナリティ・山下誠一郎さんインタビュー|「『声優』という“自分の好きなこと”を仕事にできている今は、本当に恵まれているなと感じています」
中古アニメグッズの買取や販売で知られるアニメショップ「らしんばん」。現在、店内でのお買い物がもっと楽しくなる「らしんばんラジオ」が、各店舗で放送中です!
ラジオでは、パーソナリティによる自由なトークに加え、らしんばんにちなんだバラエティ豊かなコーナーや、買取についてわかりやすく解説するコーナーなどをお届けしています。
2025年1月〜6月のパーソナリティは、『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』のエグザベ・オリベ役、『華Doll* -Reinterpretation of Flowering-』の結城眞紘役、『戦隊大失格 2nd season』の浦部永玄役などで知られる山下誠一郎さんです。
ラジオ内のコーナー「せいちの未来日記」では、「声優になっていない別の世界線」について、想像をふくらませながら語った山下さん。数ある選択肢の中で、現在“自分の好きなこと”であるお芝居を仕事にしている山下さんが、学生時代に憧れていた“声優以外の職業”とは?
5月21日の山下さんのお誕生日にまつわるエピソードも飛び出した、収録後インタビューをお届けします!
【写真】「らしんばんラジオ」声優・山下誠一郎インタビュー|’25年5月パーソナリティ
「山下誠一郎のらしんばんラジオ」収録後インタビュー!
──先月の市川蒼さんご出演のゲスト回を経て、今回は山下さんお一人でのラジオ収録となりました。
山下誠一郎さん(以下、山下):前回はいつもと違う感覚があって、特別な楽しさがありましたね。今回は一人での収録だったので、自分だけで完結する難しさを感じました。
普段は僕が好きなものを、つい長々と語ってしまうのですが、前回は蒼くんの好きなゲームや推し活のお話などが聞けたので、とても素敵な番組だなと思いました。前回のゲスト回を経て、もっと多くの人のお話を聞いてみたいなと、改めて思いましたね。
最近は自分のラジオが流れているから、ちょっとだけ怖くてお店に行けていないのですが、次のパーソナリティの方が決まったら、また以前のように推しのグッズを買いに、らしんばんさんに行きたいです。「らしんばんラジオ」の店内放送に耳を傾けたいなという楽しみもできました。
──パーソナリティを経験したからこその視点で、番組を聴くことができるかもしれませんね。
山下:そうですね。他の人は「耳をすませば・アナザースカイ」で、どういう風に苦しんでいらっしゃるのかとか。あるいはその方が上手くこなしていたら、「俺の技量が単純に少なかっただけなんだな……」と、ヘコみながらお会計をしているかもしれません(笑)。
──「山下誠一郎のらしんばんラジオ」は次回(6月放送分)で一度区切りとなりますが、今後、山下さんがまた、パーソナリティやゲストとして「らしんばんラジオ」にご出演されることを楽しみにしているファンも多いと思います。
山下:うーん……ゲストがいいな! 「耳をすませば・アナザースカイ」以外のコーナーでのゲストがいいです(笑)。
──「耳をすませば・アナザースカイ」というと、前回はゲストの市川さんから「不正があった!」とのお話もありましたね(笑)。
山下:今回は再発防止に努めた結果、一言一言が長くなってしまいました。でも、本来こういうコーナーだし、台本を頂いている以上、少しは事前に考えちゃうのは仕方ないのかなと(笑)。上手く即興劇ができたのではないかなと思います。
残すところあと一回だと思うと、「もうどうにでもなれー!」という気持ちもあったかもしれませんが(笑)。でも、やはり少し名残惜しくもありましたね。
──ご自身のラジオが流れている店内が「ちょっとだけ怖い」というお話もありましたが、最後に店内で聴いてみたいなども思ったり……?
山下:いや! 僕が「らしんばん」さんに行けない理由が「耳をすませば・アナザースカイ」なんです。これが流れてる時に店内にいたら、僕は多分「ウワーッ!」って叫んじゃうと思います。
しかも周りのお客さんがクスリとも笑っていなかったら、トラウマになって一生らしんばんさんに行けなくなるかも……(笑)。パーソナリティが変わってから、足を運びたいと思います。
「奥の深い買取の世界」を再体験!
──今回は「山下誠一郎の、なっとく買取ターンズ!」と題して、1月放送回以来、久しぶりに「なっとく買取」の体験をされたとか。
山下:好きなものにハマるタイミングは、本当に人それぞれだと思うんです。だからこそ、昔のものが今でも気軽に買えるというのは、見ているだけでもすごく楽しくて。
誰かの手を経てきたグッズと、こうしてお店で出会えるのも、ロマンがあって素敵だなと思いました。
──前回の「なっとく買取」体験と比べて、今回はどのようなことを感じましたか?
山下:前回は、たしか『仮面ライダークウガ』などのグッズを査定しましたよね。今回はそれよりも前の作品である『ビーファイター』シリーズを取り上げていただいたので、「買取価格の幅って、どんな感じなんだろう?」と気になっていました。
今回査定したのは、『ビーファイター』シリーズのCDと、『重甲ビーファイター』からブルービートの「S.H.Figuarts」だったのですが、特にCDに関しては、意外と買取価格に大きな幅はなくて。「状態によるのかな?」「査定のコツってなんだろう?」と興味が湧きました。
──今回査定したグッズの中で、山下さんが持っている・持っていたものはありますか?
山下:今回査定した中だとありませんでした。作品に関連したおもちゃは持っていたと思うのですが、3個目に査定した「S.H.Figuarts」は2015年発売でしたし、その時には僕も大人になっていたので……。
このようなグッズが出ていることも知らなかったし、商品の作りが本当にすごくて、驚きましたね。『ビーファイター』放送当時にはなかったテクノロジーといいますか、可動フィギュアになっていたので、見ているだけでワクワクしましたね。……これ、ちゃんと3人いるのかな?
──ジースタッグとレッドル、ブラックビートも展開されています。
山下:いいですね! コーナーで取り扱ったブルービートは主人公で、他のキャラクターより装備が多いんです。パーツの多さも相まって、買取価格が高くなるのかなと思ったのですが、「S.H.Figuarts」として納得のお値段だったので意外でした。好きがゆえに高く見積もり過ぎちゃいましたね(笑)。
このようなところも新しい発見だったので、面白かったです。奥の深い買取の世界を改めて覗かせていただきました。「プレミアが付く」って、大変なことなんだな……。
──山下さんも、もしいつかご自身のグッズを査定されることがあれば、「なっとく買取」の経験が生きるかもしれないですね。
山下:そうですね。そうやって誰かの想いに応えているからこそ、らしんばんさんのサービスがこれだけ普及しているんだと思います。素敵なサービスなので、僕もいつか使うことがあるかもしれないですね。
山下さん流! 旅の楽しみ方
──5月にはゴールデンウィークがありますが、「やるべきことをすべて済ませた状態の山下さん」は何をしたいですか?
山下:多分旅に出ます。自分の中の優先順位的に、部屋が汚いままなのはちょっと嫌なのですが、もし掃除などの家事が全部終わっていたら、外に出るしかないかな。
ラジオでは、以前京都に行った際のお話をしました。そこでしか買えないお守りを買ったとき、「1年経ったら返納してくださいね」と言われたんです。ただ、遠くて気軽には行けないので、多分2年ぐらい返せていなくて……(笑)。そのお守りを返しに行きたいなと。
──旅への意欲も自然と高まってきますね。山下さんご自身が、旅やお休みの中で楽しみにしていることがあれば、ぜひ教えてください。
山下:その地域ならではの電車に乗るのが好きですね。地元のメーカーさんや工務店など、地域に根ざした会社が出している車内広告を見るのも楽しくて。例えば大阪の電車だと、「このホールでコンサートがあります」といった、地域密着型の広告に出会えるのが面白いなと思っています。
それから、その地域のCMやローカル番組も好きですね。全国区で活躍している方が、実はローカル番組にも出演していて、「あの芸人さん、この地域でもお仕事してるんだ」と発見するのも楽しいです。
──広告や番組に注目されるのは、やはり職業柄でしょうか。
山下:僕はナレーションの仕事もしているので、広告が流れると耳がピクッと反応するんだと思います。
たまに朗読劇などの仕事で地方へ行けたりするので、その時が楽しみですね。
──そして5月といえば、21日は山下さんのお誕生日です。記憶に残っている誕生日のエピソードはありますか?
山下:ラジオでもお話ししたのですが、現場で誕生日をお祝いして貰ったことがあるんです。
現場が終わった後に、深刻な面持ちのスタッフさんに「ちょっと話があるので、お疲れのところすみませんが、アフレコの後ロビーに来てください」と言われたんです。当時はまだ新人だったので、何かやらかしたのかと思って……。泣きそうになりながらロビーに行ったら「誕生日おめでとうございます!」って(笑)。
──ドッキリのようなお祝いだったのですね。
山下:その現場では僕が主演だったのですが、まわりは大先輩ばかりで……。学生時代は、そういった方々とのご縁が少なかったのでとても新鮮でしたし、なんて素敵な業界なんだろう、と改めて感じました。
──またひとつ年を重ねられるということで、この一年の抱負・目標をお願いします。
山下:「これをしたい」「ここに行ってみたい」という気持ちに遠慮をしないことが目標です。
物事に対して「でもな……」と、自分の中で理由をつけない。「欲しいと思ったら欲しい!」「行くって言ったら行く!」というように、常識で自分の目標を測らないようにしたいなと思っています。遠慮なく色々と手に入れよう、行動しようというのが目標です。
──前回のインタビューでも、「最初の一歩を小さくしたい」と仰っていましたね。
山下:大事なことだと思っています。筋トレも始めていて、ライブが4月の中頃にあるので、それに向けて加減を考えていますね。(本インタビュー実施は4月の初旬)
健康第一なので、体調管理なども含めて気を付けています。最近は急に寒くなったりするので、体調管理が難しいですからね。
もし山下さんが声優になっていなかったら……?
──新コーナー「せいちの未来日記」にて、山下さんが「声優になっていない別の世界線」を想像して語られたとか。
山下:玩具メーカーに興味があった時期がありました。設計やマーケティングなど、同じ会社でも様々なお仕事があると思いますが、当時の自分としては「“作る側”としておもちゃを考えるのって面白いだろうな」と思っていましたね。
──“作る側”としておもちゃを考える?
山下:長く特撮が好きというのは何度も話していることなのですが、中・高校生くらいの時にライダーの変身ベルトを買ってみたことがあったんです。「変身したい!」という気持ちではなく、おもちゃの構造に対して「どうなってるんだろう?」「どのように変身を再現しているんだろう?」という好奇心からの購入でした。
分解とまではいかないのですが、そのベルトのパーツを外してみるなどしてイジっていたんです。そうしたら、期せずして強化変身する音声のスイッチを押しちゃったりして。「なるほど、ここで部品が噛むからスイッチが押されて音が鳴るんだ!」など、仕組みを見つけるのが面白かった記憶があります。
──なるほど。
山下:これもラジオでお話ししたのですが、多分僕は、仕事とプライベートのオンオフがあまり上手くない方なんです。「仕事が終わりました。今からは自分の好きなことをします」って、スパッと切り替えるのが苦手で。
だからこそ、「声優」という“自分の好きなこと”を仕事にできている今は、本当に恵まれているなと感じています。
──声優というお仕事に就くまでには、さまざまな選択肢があったのではないでしょうか。
山下:そうですね。学生時代は水泳をやっていたのですが、それよりも芝居のほうが面白いなと感じるようになって、声優の道を選びました。
それと並行して、ずっと特撮が好きだったので、「おもちゃを考えたり、作ったりする人ってすごいな」と、昔から憧れの気持ちがありましたね。
──「ファン」と「制作者」というふたつの視点から楽しんでいたのですね!
山下:実は、それは今でもそうなんです。最近だとプラモデルを組み立てる動画を見て、「こういう風になってるんだ!」と、楽しんでいます。
──「山下のふつおた日和」のコーナーでも、プラモデルのお話をされていましたね。
山下:「どうしてこのようにパーツを分けたんだろう」「この形にした理由って何なんだろう」と、つい気になって見ちゃうんですよね。
たとえばガンプラだと、「マスターグレード」「ハイグレード」など、複数の規格があるんです。そのグレードによってパーツの細かさも全然違っていて、それぞれの違いを見比べるのも面白いなと思っています。
たくさんのパーツを、一つひとつ切り離して塗装して……あれだけの作業をこなしているのが、本当にすごいなと思っています。見ているだけでも圧倒されますね。
──プロフェッショナルを感じますよね。
山下:そうなんです! スプレーの塗料ひとつ取っても、メーカーによって全然色が違うようで、「今回はメタリックに仕上げたいからこの塗料を使います」とか、「別の色を上から重ねて塗ります」とか……。僕にはできない作業だと思っているのですが、だからこそ見るのが楽しいですね。最近の趣味になっています。
──ガンプラといえば、山下さんご出演のTVアニメ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』も話題ですよね。
山下:『ジークアクス』のガンプラも、かなり難易度が高いみたいですね。
3月の「AnimeJapan 2025」で先行展示されていたのを見たのですが、パーツ数がとても多いと聞いて、「どうしてこんなにパーツが多いんだろう?」と、単純に気になりました。でも、そうやって分けることにも、きっと“作る上での最適解”があるはずなんですよね。裏側の設計意図なども、いつか知りたいと思っています。
──プラモデルの世界も奥が深いですね。
山下:そうですよね。……「なっとく買取」でガンプラを査定したら、どのくらい価格に幅が出るんでしょうね?
近年になって、昔のガンプラが新規造形で再販されることもありますが、90年代あたりに出たものにはプレミアがついてたりするのかな。いつかしっかりと調べてみたいです。
最後までしっかり楽しんでやりきりたいと思っています!
──エチュードコーナー「耳をすませば・アナザースカイ」にて、今回の「セイチージャー」のお題は「最後の強敵は未来から来た自分だった!」でした。個人的には『仮面ライダージオウ』を思い出しましたが……。
山下:ああ、そうだ! たしかにオーマジオウがいたな……。
「セイチージャー」は“戦隊モノ”のニュアンスなので、収録のときは完全に『未来戦隊タイムレンジャー』寄りで考えていましたね。とりあえず最後に『タイムレンジャー』っぽいセリフを言っておけばなんとかなるかなと思って、「時間保護法違反で逮捕する!」みたいな感じで締めました(笑)。
──(笑)。「スーパー戦隊シリーズ」にも精通している山下さんならではの解決法ですね。
山下:エゴサをしていると、「山下くんが店内ラジオで『メタルヒーロー』を語ってた」という投稿をしてくれている方がいて嬉しく思っています。ネタが分からない方は、「すみません、イヤホンしてください……」って感じなんですが……(笑)。楽しく収録させていただいております!
──これまでラジオやインタビューで、趣味についてたくさんお話しされてきたと思いますが、反響はありましたか?
山下:そうですね。これまでにいただいたお便りの中で、ずっと同じお名前で応援してくださっている方もいれば、今回初めて送ってくださった方もいて。もしかしたら男性の方かも? というお便りも意外と多くて、それが嬉しかったです。
「らしんばんラジオ」はもちろん、自分のYouTubeやXでも好きなものについて発信してきたからこそ、こうした反響につながっているんだと思っています。
僕の“好き”に共鳴してくれる方が少しずつ増えてきている実感がありますし、男女問わず「ホロライブが好きです」や、「山下さんが喋っていたのを聞いて、ハマっちゃいました」といった声をいただけるのは、本当にありがたいですね。
「メタルヒーロー」や特撮が好きな方々にも、自分を知ってもらえるきっかけになったので、「らしんばんラジオ」に出演することができてよかったです。このようなご縁があったことに、本当に感謝しています。
──次回で「らしんばんラジオ」のパーソナリティも最終回となってしまいますが、ラストスパートに向けて意気込みをお願いします。
山下:あっという間に次回が最後になってしまいました。時の流れの早さを感じますね。
一気に複数回のラジオを収録するのは結構ハードでもあるのですが、その分「らしんばんラジオ」でしかできない話や、面白いこともたくさんあります。
残り1回だと思うと名残惜しい気持ちもありますが、最後までしっかり楽しんでやりきりたいと思っています!
【文:柴田夕日】