【大阪】“巨匠・ジョエル・ロブション氏も絶賛したタルト生地”で作る、黄金色のクッキー
本日の一品 > équ(エキュ)の「パータタルト」(大阪・堺筋本町)
大の焼き菓子好きという大阪在住のフリーエディター、長瀬 緑さんが教えてくれたのは、故ジョエル・ロブション氏のソウルを受け継ぐパティシエが、2年前に構えたブティック。ひとりで営む店ゆえ、アイテム数は決して多くないけれど、どれも長瀬さんの言葉通り、一線を画すおいしさです。
( Index )
「黄金色の極薄クッキーは、手が止まらないおいしさです」(長瀬 緑さん)編集部の「これも食べたい!」
【水曜15時のあまいもん】とは?
関西の食に精通するライター、エディター、フォトグラファーなど“取材のプロ”たちが、ほんとは教えたくない関西の「推しおやつ」を、和洋問わずレコメンド。確かな目利きで選んだあまいもんは、どれもわざわざ足を運んで大正解の、ハズレなしのおいしさです。
「黄金色の極薄クッキーは、手が止まらないおいしさです」(長瀬 緑さん)
équ(エキュ)の「パータタルト」
シンプルなパータタルトはそのままではもちろん、コンフィチュールやいろいろなクリームをのせてと、多彩に楽しめます。
「シンプルなサブレやカヌレなど、焼き菓子のレベルは一線を画します。特におもたせに愛用しているのが、パータタルトという名前のクッキー。極薄なのに食感がしっかり。焼き込んでいる感じなのに、見た目は焦げ茶色ではなく、黄金色。食べ始めると、1枚、もう1枚と、手が止まりません。カヌレも、本場フランスさながらを再現していて、シンプルな中に技術力の高さを感じます」(長瀬 緑さん)
「La Boutique de Joël Robuchon 東京」を皮切りに、香港、そしてパリの「Dassai Joël Robuchon」まで。16年間にわたってジョエル・ロブション氏の薫陶を受けた愛弟子、中村忠史さんが、2022年に出身地である大阪に構えたブティック。そのシグネチャーともいえるアイテムが、タルト生地をそのままクッキーにしたパータタルトです。
パータタルトは缶入りで2750円。基本は店頭販売のみですが、年に数回取り寄せできます。
シンプルでクラシックなお菓子が好きだったというロブション氏が、いつも「世界一おいしい」と食べてくれたというのが、中村さんの作るタルト キャラメル サレ。自身も大好きなそのタルト生地を、タルトに使う時と同じ薄さでクッキーとして焼き上げたのが、パータタルトです。1枚のはずが、2枚、3枚と手が伸びる、そんなおいしさを目指したといいます。
素材の味がぼやけないよう、合わせる素材は多くても3つまで。シンプルでていねいに作ったものがおいしい。中村さんは、そんなロブション氏の教えを胸に刻み、このパータタルトをはじめ、カヌレ、フィナンシェ、ショコラなどを、仕込みからたったひとりで手がけています。
編集部の「これも食べたい!」
ダックワーズ
「ダックワーズ」1個 324円。
タルトと並んで、中村さんが好きなお菓子だというのが、ダックワーズです。自身の理想である”サクッ、ホワッ”という食感を実現すべく、卵白の泡立て方から粉を合わせた後の気泡の管理まで、心を砕いて焼き上げた生地に、コクのあるプラリネクリームがサンドされています。
店頭には、焼き菓子、ショコラなど9~10種ほどのお菓子が並びます。
こうしたお菓子作りはもちろんのこと、中村さんは販売も自らの手で行っています。すべてひとりで手がけているため、プチガトーは並びませんが、1週間に1回、1組限定の予約制でデセールコースを提供しています。そんなところにも、“お客様との距離感を大切にしていた”というロブション氏の姿勢が受け継がれています。
教えてくれた人 長瀬 緑/Midori Nagase
大阪在住のフリーエディター。関西発女性情報誌『SAVVY』で長年副編集長を務めた後、食と健康、SDGsをテーマとしたムックを企画・編集。2022年には編集を手がけた「卵、乳、小麦を使わないおやつとパンの店」を発売。焼き菓子好きが高じて、おやつの食べ歩きやお取り寄せがルーティンワークに。
DATA
équ(エキュ)
大阪府大阪市中央区南久宝寺町1-6-6 CONCOM南久宝寺 4F
営業時間 11:00~15:00
定休日 日、月(火は完全予約制のサロンのみ営業)
\from Editor/
地元大阪の洋菓子店を皮切りに、埼玉、パリ、そしてロブション氏の下で16年間と、長きにわたるキャリア。早めに独立するパティシエが多い昨今では、中村さんは稀有な存在かもしれません。でも、これだけの経験を積んで、確かな技術を確立しているパティシエのお菓子って、やっぱり別格のおいしさだなぁ、と得心しました。
※最新の情報は各店舗・施設にお問い合わせください。
写真/吉村規子 文/齋藤優子 企画・編集/吉村セイラ