生きがいが「ない」人の8割、実は日常に幸せ感じていた ソニー生命調査
「生きがいがない」「わからない」と感じる人も、実は毎日の暮らしの中で“幸せ”を感じている──。
そんな現代人の本音が、ソニー生命保険株式会社が実施した全国1400人への調査で明らかになりました。
同社は5月19日にスタートした「#生きがいってなんだろう」プロジェクトの一環として、4月に10代から70代までの男女各100人にインターネット調査を実施。「生きがい」に関する意識を探りました。
調査では、生きがいが「ない・わからない」と答えた人の81.7%が、「美味しいものを食べる」「テレビや映画を観る」など、“日常の中でささやかな幸せ”を実感していることが判明。自分の感じている喜びが“生きがい”だと気づかずにいる、「生きがいスルー」が浮き彫りになりました。
■ 生きがいを感じる人、全体の6割にとどまる
調査ではまず、「生きがいは人生において大切か」を質問しています。すると「そう思う・ややそう思う」と答えた人は93.3%と高い数値を出す一方で、「生きがいを感じる瞬間」について質問すると、「ある」と答えた人は全体の61.1%と約6割にとどまり、意識と実感にギャップがあることがわかりました。
また、世代別では、10代の74.0%が「生きがいがある」と答えたのに対し、40代は51.5%と最も低い結果に。家庭や仕事で多忙を極める中年層の“気持ちの余裕のなさ”が一因と考えられます。
■ 食事・旅行・推し活、生きがいは“ささやかな日常”に
生きがいのある人が「生きがいを感じる瞬間」として多く挙げたのは、「美味しいものを食べる」(47.4%)、「旅行」(46.0%)、「温泉やスパ」(25.4%)といった、日常の延長にある行動でした。
また10代では、「推し活」(45.3%)や「SNS」(33.8%)など、デジタルや趣味に基づく個人的な活動を生きがいとする傾向も強く見られました。
この調査では、生きがいが「ない・わからない」と答えた人は、“日常にある生きがいに気づいていない”可能性についても言及。質問の仕方を変えて、「直近1か月以内に楽しみにしていること」を尋ねています。
すると、生きがいが「ある」人は92.6%、生きがいが「ない・わからない」と答えた人でも82.9%が身近な楽しみを持っていることがわかりました。
興味深いのは、生きがいが「ない」「わからない」と答えた人のうち半数以上(50.6%)が“推し”の存在を持っていたことです。中でも「子ども」「アイドル・タレント」「スポーツ選手」などが上位を占めました。
■ 生きがいがある人は「幸福度」も高め
今回の調査では、全回答者に自己の幸福度を10点満点で採点してもらったところ、「生きがいがある」人の平均点は7.1点、「生きがいがない」「わからない」人は5.4点と、大きな差がつきました。
また、両者とも約7割が「もっと生きがいが欲しい」と感じており、“生きがいの再発見”を求めている様子がうかがえます。
■ 「小さな宝探し」が現代の生きがいに
プロジェクトに協力したメンタルケア・コンサルタントの大美賀直子さんは、生きがいは必ずしも高尚なものではなく、身近な日常にある「人生の小さな宝探し」のようなものと語ります。
また、生きがいがある人、ない人で、日常体験に大きな違いはないとし、その差は「日常の中にある喜びに気づけているかどうかだけ」だと指摘。
同じ体験をしてもその価値に気づけず、「生きがいスルー」をしているだけであり、「通勤ルートを変えてみる」「ポジティブな言葉を使う」「SNSで何気ない話題を共有する」など、“気づく姿勢”を持つことで、生きがいに近づけると提案しています。
Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By おたくま編集部 | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2025052008.html