「ウイグルの誇りを胸にプレーする」徳島ガンバロウズ、アディリ・クエルバンの熱き決意! 【バスケ/Bリーグ】
B2昇格を狙う徳島ガンバロウズをオフェンスで牽引するアディリ・クエルバン!〈第2回〉
NBA挑戦中の河村勇輝選手(メンフィス・グリズリーズ)の活躍や、パリ五輪での日本代表の奮闘など、日本の「バスケ熱」が高まっています。国内プロバスケットボールリーグ・Bリーグも同様で、開幕9シーズン目を迎えた今季はB1人気クラブの主催試合チケットがプレミア化するなど、その人気は右肩上がり。こういた流れは1部に該当するB1のみならず、B2、B3にも波及しています。
『ラブすぽ』では今回、現在B3を舞台に戦う徳島ガンバロウズに取材を慣行! Bリーグ初参入となった昨シーズン、いきなりレギュラーシーズン5位でプレーオフに進出する快挙を達成したクラブでもあり、今シーズンは1月27日時点でリーグ13位とプレーオフ圏内(※8位以内)を目指す戦いを続けている徳島から、チームを支えるアディリ・クエルバン選手のインタビューをお届けします!
【全2回の第2回】
――前回のインタビューではアディリ選手の今季の活躍やプレースタイルについて伺いましたが、今回はそのキャリアについてお聞きします。出身が中国で、大学はアメリカNCAA1部のケネシー州立大学でプレーされていますよね?
アディリ 生まれたのは中国のウイグル地区です。日本で言う高校1年生のときにアメリカにわたり、高校で3年間、アメリカで4年間プレーして、そこから中国のチームに戻り、その後徳島に移籍してきました。
――バスケ自体は中国にいたころからやっていたのですか?
アディリ 本格的にバスケをはじめたのは高校からですが、父がバスケットボールのアマチュア選手だったので、物心ついたときにはすでにバスケをやっていたと思います。あとはサッカーや卓球も少し経験しています。
――プロのバスケットボール選手を意識し出したのはいつごろでしたか?
アディリ 私が住んでいた地区にもプロのチームがあったので11歳のころから憧れという意味で「そのチームでプレーしたい」という将来像を描いていました。結果的に違うチームでプレーすることになっていますが、私のようなウイグル系の中国人でCBA(中国のプロバスケットボールリーグ)でプレーしている選手はとても数が少ないんです。自分の子どものころも2~3人しかいなくて、「将来は自分もそこに仲間入りしたい」という思いでプレーを続けてきました。私はウイグル系の中国人であり、民族を代表してプレーするんだという気持ちは今も持っています。
――今でもウイグルの出身であるというプライドを持ちながらプレーしている。
アディリ 同じ中国人であっても、民族も見た目も言語も違うので、そういう部分のプライドはあります。ただ、「ウイグル出身」と言ってもそれはあくまでも中国内でのマイノリティであるということ。たとえば日本にもマイノリティと呼ばれる人たちはいます。徳島にも(ケドリック・)ストックマン・ジュニア選手や(ジャワラ)ジョセフ選手、いわゆる「ハーフ」と呼ばれるマイノリティの選手がいて、彼らもおそらく、私と同じような気持ちでプレーしているんじゃないかなと思っています。
――ありがとうございます。では最後に、これからプレーオフを目指す戦いを続けるうえで、ガンバロウズのブースターのみなさんにメッセージをお願いします。
アディリ ガンバロウズのブースターのみなさんは私がこれまで所属していたどのチームのファンよりも熱い声援を送ってくれています。試合の際はもちろん、そうではない日もSNSを通じて励ましの言葉をくれているので、私たちもそれに応えなければいけないと感じています。みなさんとの特別な関係は、一生忘れられない貴重なものとなっているので、これからも応援よろしくお願いします。
写真・徳島ガンバロウズ提供
文・花田雪