薄味減塩でもおいしくなる!味噌汁で亜鉛の吸収率を高める方法とは!?【小児科医ママが教えたい 体・脳・心を育てる!子どもの食事】
1日1杯のお味噌汁で亜鉛の吸収率がアップ
亜鉛と味噌、そこがミソ
亜鉛の大切さはここまでにお話ししてきましたね。じつは、発酵食品に亜鉛の吸収を促す作用が期待されていて、今も研究が続いています。
人間の体内には、体に必要なものを取りこみ不要なものを排出する、輸送担体(トランスポーター)というものが存在します。亜鉛を担当するトランスポーターもいて、このうちZIP4というトランスポーターが、消化管から亜鉛を吸収するために働いています。*⁹ある研究では、いくつかの味噌にZIP4の発現を促す成分が含まれていて、味噌を食べることで体内の亜鉛の量も増える傾向が認められました。
お味噌汁は塩分控えめに
味噌をいただく方法として、もっとも身近なのはお味噌汁でしょう。そこで意識したいのが、お味噌汁に含まれる塩分です。
一般的に使われている辛口味噌は塩分を12%前後含んでおり、お味噌汁1杯あたりの塩分量は1.2gほどになります。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」(2020年版)では1日に摂る食塩相当量の推奨値は大人の場合7g前後なので、1日に1杯程度のお味噌汁の塩分量は目くじらを立てるほどではありません。
ただし、子どもの場合の食塩相当量の目標量は34ページで紹介したとおり、大人より少なくなりますし、日本人は塩分を摂りすぎる傾向があるので、お味噌汁の塩分もできるだけ控えめにしたいもの。
*¹¹たとえば塩分量11%の味噌を使う場合、お味噌汁1杯あたり大さじ2分の1でつくるくらいの目安にするとよいでしょう。もしくは減塩タイプの味噌を使うとよいでしょう。
味噌の種類
●辛口味噌:塩分12%前後、一般的に使われている味噌。大豆のうまみを強く感じられ、味わいはすっきりとしたものが多い。
●甘口味噌:塩分10%前後で、ややまろやかな味わい。塩味の中に米こうじの甘味が感じられる。
●甘味噌:塩分6%前後で、かなり甘口。代表的なものに関西白味噌や江戸甘味噌があり、漬け物やぬたなどに使われることが多い。*¹⁰
薄味減塩でもおいしくなるアイデア
お味噌汁は子どもも大人も薄味がベストです。おだしを効かせればうまみが増しますし、減塩もしくは塩分添加のないおだしもあるので、上手に使ってみてください。おだしを効かせれば、栄養価も上がりうまみも増し、気持ちも上がります。
風味が足りないなと感じたときには、お味噌汁にすりごまを入れましょう。鉄を摂れるうえに、風味がアップするのでおすすめです。牛乳を足しても◎(詳細はP.116)。
もうひとつ、おすすめなのが野菜たっぷりのお味噌汁。最初に野菜を鍋で炒めておいて、お湯とおだしを入れて少しゆでてから、味噌を入れて完成です。野菜からうまみが出るので、味噌の量を控えめにしても、おいしいお味噌汁ができますよ。
使う野菜は旬のおいしいものなら何でもOK。ニンジン、カボチャ、ほうれん草などの色の濃い野菜には、目を守り粘膜のバリア機能も担うビタミンAがたっぷり含まれているので、ぜひともお味噌汁の具材に使ってください。
キノコもいいおだしが出て、ビタミンDも摂れる優秀な具材です。冷凍したキノコは栄養価がアップするので、冷凍庫にストックしておくのもよいでしょう。
ビタミン A のおもな働き
●目の色素や光を感じる細胞などをつくるうえで不可欠
●粘膜のバリア機能を司り、のど、鼻、胃腸、尿道の粘膜を守る
●体の成長と発育を促す
塩分控えめ具だくさんのお味噌汁
1 先に野菜を炒める
手元にある野菜をカットして、先に炒めておく。カボチャやほうれん草など、色の濃い野菜はとくにおすすめ。
2 お湯とおだしを加えて煮る
野菜に火が通ったら、お湯とおだしを加えて少し煮る。栄養素をプラスしたおだしを使っても。
3 味噌を溶く
辛口味噌を使う場合、お味噌汁1杯につき味噌は大さじ2分の1程度に。野菜からうまみが出るので、味噌の量は控えめでもおいしい。
*¹⁰橋本彩子・神戸大朋(2011)『味噌など大豆発酵食品による亜鉛栄養改善の可能性―亜鉛吸収に機能するトランスポーターの発現に及ぼす効果―』日本醸造協会誌Vol.106 No.12
*¹¹株式会社ミソド『味噌の種類【基礎編】味噌の種類を徹底解説!味による分類』JAPAN MISO PRESS
*¹²小林食品株式会社『体にやさしいみその量は?一人分大さじ1/2でおいしいおみそ汁』和食の旨み
【出典】『小児科医ママが教えたい 体・脳・心を育てる!子どもの食事』著:工藤紀子