妊娠中にダイエットをしても大丈夫なの?ポイントや注意点を管理栄養士が解説
妊娠中にダイエットをしても大丈夫?
妊娠中は妊娠前よりも多めのに栄養素を摂取する必要があり、赤ちゃんの健康のために、バランスのよい食事を摂ることが大切ですよ。
一方で、体重管理のためにダイエットを検討している方もいるかもしれません。しかし、極端な食事制限では必要な栄養素が不足するおそれがあるので、注意が必要です。
妊娠中の体重管理について、詳しく見てみましょう。(※12)
妊娠中の体重増加量の目安
妊娠中の体重増加量の目安は、妊娠前のBMIに応じて変わります。BMIは肥満度を分類した数値で、「BMI= 体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」という式で算出可能です。妊娠前のBMIが高いほど体重増加量は少なくなります。
健康な赤ちゃんを出産するために必要なのが、妊娠中の適切な体重増加です。体重が不足してしまうと、早産のリスクが高まるといわれています。体重管理に不安がある方は、医師に相談してくださいね。
妊娠中の体重管理のポイント
ポイント
バランスのよい食事を心がける
たんぱく質・ビタミン・ミネラルを摂る
ベジファーストを意識する
無理のない程度に身体を動かす
バランスのよい食事を心がける
主食・主菜・副菜のそろったバランスのよい食事を摂ることが大切です。また、妊娠中は食事バランスガイドにあるような一般的な食事量にプラスして、「付加量」を摂るようにします。
食事バランスガイドによると例えば、主食は妊娠前では一日5~7つ(sv)が適量です。妊娠中期と後期ではこれに付加量として「+1つ(sv)」を摂ります。主食1つ(sv)の目安は、ごはん小盛1杯、おにぎり1個、食パン1枚などです。
食事は数日単位で見直しながら、無理なく続けられるよう調整してくださいね。(※1)たんぱく質・ビタミン・ミネラルを摂る
身体の構成に必要となるたんぱく質を、主菜から十分摂ります。さらに、不足しがちなビタミン・ミネラルは副菜から積極的に摂りましょう。なかでも葉酸というビタミンは赤ちゃんの健康に重要です。
食事バランスガイドでは、妊娠中期と後期の主菜・副菜は、妊婦前に比べてそれぞれ一日あたり「+1つ(sv)」の付加量があります。主菜1つ(sv)は目玉焼き1皿、副菜1つ(sv)はサラダ1皿が目安ですよ。(※1)ベジファーストを意識する
妊娠中は必要な栄養素を摂りつつ、体重が増え過ぎないようにしたいですよね。そんなときにおすすめなのが、「ベジファースト」です。その名の通り、野菜のおかずから先に食べる方法です。
野菜には食物繊維が豊富で、血糖の上昇をゆるやかにする作用が期待できますよ。(※13)無理のない程度に身体を動かす
妊娠中は軽い運動をおこなうことができます。赤ちゃんの発育に問題ないといわれているのは、ウォーキングや妊娠水泳、マタニティビクスなどです。
ただし、新しく運動をはじめる方、体調に不安がある方は、必ず医師に相談してくださいね。(※1)
妊娠中にダイエットすると赤ちゃんに影響がある?
栄養バランスの偏りが、赤ちゃんへ影響するおそれがあります。ある大学の研究では、妊娠前から妊娠初期でたんぱく質のエネルギー比率が極端に低い場合、出産した子どもが3歳の時点で発達に遅れが見られる割合が多いとの報告が。
また、たんぱく質のエネルギー比率が極端に低い人では全体的な栄養バランスの偏り、朝食欠食も多い傾向が報告されています。妊娠前・妊娠中どちらもバランスのよい食事を摂ることが大切ですよ。(※14)
妊娠中におすすめのヘルシーレシピ5選
1. 小松菜とわかめの混ぜごはん
調理時間:10分
ごはん 小松菜 乾燥わかめ ごま油 めんつゆ(3倍濃縮) 塩 白いりごま
エネルギー:252kcal
タンパク質:5.4g
脂質:3.6g
炭水化物:52.8g
糖質:48.5g
食塩相当量:1.1g
カルシウムや食物繊維の豊富な小松菜とわかめの混ぜごはんです。味付けにはめんつゆを使うので、簡単においしく作れますよ。仕上げに混ぜる白いりごまは、カルシウムや鉄、亜鉛などミネラルが多く、手軽なミネラル補給におすすめです。
2. 焼肉サラダ
調理時間:15分
牛もも肉(焼肉用) 焼肉のたれ にんにく サニーレタス きゅうり 黄パプリカ ミニトマト かいわれ大根 サラダ油 ドレッシング 焼肉のたれ 米酢 砂糖 ごま油
エネルギー:157kcal
タンパク質:10.7g
脂質:9g
炭水化物:9.5g
糖質:8.4g
食塩相当量:1.2g
肉と一緒に野菜も摂れる、ヘルシーな主菜です。このレシピでは牛もも肉を使います。牛もも肉はたんぱく質が豊富で、脂質は控えめ。脂質の摂取を控えたい方におすすめですよ。また、牛もも肉は鉄や亜鉛などを含みミネラル補給にも役立ちます。(※5)
3. ほうれん草の卵炒め
調理時間:15分
ほうれん草 溶き卵 しょうゆ 味付塩こしょう サラダ油
エネルギー:160kcal
タンパク質:9.7g
脂質:13.6g
炭水化物:3.4g
糖質:0.6g
食塩相当量:0.7g
ほうれん草からはビタミンを、卵からはたんぱく質やミネラルを補給できるレシピです。赤ちゃんの発育に関わる作用が知られる葉酸は、ほうれん草から発見された歴史があります。ほうれん草は葉酸が豊富なので、妊娠中にぜひ取り入れてみてくださいね。(※678)
4. 鮭と白菜のミルクスープ
調理時間:15分
生鮭 塩 こしょう 小麦粉 白菜 しめじ 玉ねぎ コンソメ 水 牛乳 バター 小麦粉 塩 白だし みりん 黒こしょう パセリ
エネルギー:292kcal
タンパク質:24.3g
脂質:11.7g
炭水化物:24.2g
糖質:21g
食塩相当量:3g
鮭と野菜、きのこがたっぷり摂れるミルクスープです。スープに牛乳を使うと、たんぱく質やカルシウムも補給できますね。彩りに便利なパセリにも、実はカルシウムが含まれています。パスタやスープなど、いろいろな料理にトッピングしてみてくださいね。(※910)
5. 豆乳入りオートミールクッキー
調理時間:30分
オートミール はちみつ 無調整豆乳 米油
エネルギー:68kcal
タンパク質:1.7g
脂質:2.1g
炭水化物:11.5g
糖質:10.4g
食塩相当量:0g
妊娠中、ヘルシーなおやつがほしくなったときに。オートミールのクッキーなら、低糖質・低カロリーですよ。ザクザクの食感で食べ応えもあります。使うのは、はちみつや無調整豆乳など身近な材料のみ。材料を混ぜたらすぐトースターで焼けるので、ぜひお試しください。
妊娠中のダイエットではバランスのよい食事を!
妊娠中は妊娠前に比べて必要な栄養素が増えます。ダイエットをしたいときでも、まずはバランスのよい食事と適切な体重管理を大切にしてくださいね。また、食事の内容は主食・主菜・副菜をそろえ、不足しがちなビタミンやミネラルの補給も意識しましょう。おすすめのレシピもぜひ、作ってみてくださいね。
【参考文献】
(2023/11/06参照)