77歳のマナー講師が「むだがない、けれどもつまらない」と思ってしまう贈り物
50年以上の長きにわたり、多くの人々にマナーを教えてきたマナー講師の岩下宣子さん。その著書『77歳の現役講師によるマナーの教科書 本当の幸せを手に入れるたったひとつのヒント』(主婦の友社)は、岩井さんが講師をするなかで実感した、人生で本当に大切だと思ったマナーをまとめたものです。あたたかく、ときに厳しく綴られた77の項目には、マナーを超えた、より豊かな人生を送るためのヒントが満載! きっと、あなたの心に響くはずです。今回はこの本の中から、思い描く自分に近づき、明るく軽やかに生きるためのふるまい術をご紹介します。
※本記事は岩下宣子著の書籍『77歳の現役講師によるマナーの教科書 本当の幸せを手に入れるたったひとつのヒント』から一部抜粋・編集しました。
商品券より品物を贈りたい、と思う理由
商品券の贈り物も、カタログから引き出物や返礼品を選ぶことも当たり前の時代になりました。自分のほしいものが手に入ってむだがない......んですが、なんだかね、うーん、つまらないなぁと思う自分がいるのです。
贈り物はその人が、自分のために時間を費やして探してくれたもの。その物を見るたびに、相手のお顔が思い浮かびます。選んでいるときに、私の顔や渡したときの反応を思い浮かべながら探してくれたんだなぁと思うと、それだけで心があたたかくなります。
贈り物とは、心を贈るものです。物に心を託して贈るのです。
なんて言うと、きれいごとだと思われるでしょうか。でも77年生きてきて、さまざまな贈り物をいただいて思う結論は、やはりこれに尽きるのです。贈り物を選ぶために費やす時間は、その人の人生の貴重な一部。時間を削ることは命を削ることでもあります。
趣味が合う・合わないではなく、要・不要でもなく、その人の心をいただけることがうれしいのです。
私の友人で、いつもユニークな贈り物をくれる人がいます。その人は「これは○○さんが喜びそうだな」というものを見つけるとすぐ買い求め、その人のお誕生日までとっておくのだそうです。なるほど!と感心しました。誕生日の直前に探したところで、気に入ったものはなかなか見つかりませんからね。
私の場合、贈り物が決まらないときには、普段使いのものを贈ります。最近はパジャマを選ぶことが多いかな。いい素材のパジャマって自分ではあまり買わないので、いただけると私はうれしいのですが、いかがでしょう?
『誰かの顔を思い浮かべて選んだものには価値がある』。