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ユニットリーダーとは?求められるスキルや役割・資格・給与まで徹底解説!

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ユニットリーダーとは?求められるスキルや役割・資格・給与まで徹底解説!

ユニットリーダーとは?役割と重要性を理解しよう

ユニットリーダーの役割

介護老人福祉施設においてユニット型個室が広がる中、各ユニットを適切に運営するための専門職として、ユニットリーダーの存在が欠かせないものとなっています。

個室ユニット化は年々進んでおり、介護老人福祉施設における個室ユニット化率(定員数ベース)は、2006年の14.8%から2017年には43.6%へと大きく上昇しました。


出典:厚生労働省 社会保障審議会「令和3年度介護報酬改定に向けて(2020年)」を基に作成

この流れを受けて、ユニットリーダーは各ユニットを統括・管理する重要な役割を担っています。具体的には、担当するユニット内のスタッフのシフト作成や勤怠管理、職員からの相談対応や助言を行うマネジメント職としての機能を果たします。

入居者一人ひとりの生活リズムや個性に配慮した質の高いケアを提供するため、ユニット内の責任者としてケア品質の向上という重い責任を背負っています。

つまりユニットリーダーとは、入居者の状況把握とチーム統率を通じて個別ケアの質を守る、非常に重要なポジションなのです。

介護リーダー(主任)との違い

介護現場には「介護リーダー」や「介護主任」と呼ばれる役職も存在しますが、ユニットリーダーとはその位置づけや法的要件が異なります。

一般的な介護リーダーや介護主任は、施設全体の介護現場をまとめる管理職です。配置するかどうかは各施設の判断に委ねられており、多くの施設では全体で2~3名程度が配置されています。

一方、ユニットリーダーは省令等により、ユニットごとに1名の配置が求められています。各ユニットに専任で配置され、より現場に密着した立場で利用者とスタッフを統括します。

施設全体を見渡す介護主任とは異なり、担当ユニットに特化したマネジメントを行うのが特徴です。

また、ユニットリーダーには都道府県が実施する専門研修の修了が原則として求められます。この法的要件は介護主任には設けられていません。ユニットケアという特殊な介護手法を実践するため、専門的な知識とスキルを持った人材の配置が法律で定められているのです。

このように、ユニットリーダーは法的な配置義務と専門研修の修了要件を持つ、より現場に近い専門職であるという点で、施設全体を管理する介護主任とは明確に異なる役職といえます。

ユニットリーダーが必要とされる理由

ユニットケアは、原則として概ね10人以下の(15人を超えない)少人数単位で利用者一人ひとりの生活リズムに合わせた個別ケアを提供する手法です。画一的な集団ケアではなく、個々の暮らしを尊重するこの手法の質を保つには、ユニットをまとめて指揮・調整するリーダーの存在が不可欠となります。

しかし現実には、ユニットリーダーの確保と育成に多くの施設が課題を抱えています。厚生労働省の調査によれば、約6割の施設が「ユニットリーダーの確保が難しい」と感じており、約8割の施設が「ユニット間でスキルや資質の格差が生じている」と回答しています。

十分なリーダーの配置や育成体制が整わないまま運営を続けると、ユニットごとにケアの質にばらつきが生じてしまう恐れもあります。

ユニットリーダーは、ユニットケアの考えを現場に根付かせ、ケアの水準を維持するために必要な存在といえます。

ユニットリーダーの仕事内容や求められるスキルとは?

ユニットリーダーの主な仕事内容

ユニットリーダーは、担当ユニットにおいて利用者の生活を支えるケアの中心的存在として、多岐にわたる業務を担当します。

スタッフのシフト作成や勤怠管理 ユニット内の人員配置を適切に調整し、業務が円滑に回るよう采配します。 ケア計画(ケアプラン)の立案と実施指導 利用者一人ひとりの状態や希望に応じたケアプランを作成し、スタッフに対して具体的な実施方法を指導します。 ユニット内での日々の介護業務の進行管理 食事介助、入浴介助、排泄介助などの介護業務が適切なタイミングで実施されているか確認し、必要に応じて調整を行います。 スタッフの指導・育成 チームメンバーに具体的な指示を出して業務の進捗を管理するとともに、研修やOJTを通じて職員のスキルアップを図ります。 利用者のご家族への対応 日々の生活状況や健康状態について報告し、ご家族からの相談に応じることで信頼関係を築いていきます。

そのほか、施設内のカンファレンスや主任会議などの各種会議への参加、他部署との連携・情報共有といったユニット外との調整業務も担当します。

場合によっては季節のイベントやレクリエーションの企画運営にかかわることもあり、ユニットリーダーの仕事は実に多岐にわたるのです。

ユニットリーダーに求められるスキル・能力

ユニットリーダーには、現場でのケア提供とチーム運営の両面をリードするため、幅広いスキルと能力が求められます。

リーダーシップとマネジメント力 チームをまとめて目標達成に導く力、職員を育成・指導する力、業務を効率化しながらケアの質を管理する力が不可欠となります。 コミュニケーション能力 利用者やご家族と円滑に信頼関係を築きながら、看護師、栄養士、相談員など多職種のスタッフと協調してチームケアを実践・調整できることが望まれます。

実際の調査でも、ユニットリーダーに必要なスキルとして以下のような項目が重要視されています。


出典:厚生労働省 「令和6年度厚生労働省老人保健健康増進等事業(2025年)」を基に作成

調査結果を見ると、「多職種で協力したケアを行うための実践的な知識・技術」や「ユニット内の他職員にユニットケアの知識・技術を共有・伝達すること」が重視されており、チームケアの推進力や後輩指導力が強く求められていることがわかります。

このほか、問題発見・解決能力や柔軟な対応力も必要です。予期せぬトラブルが発生した際にも、冷静に情報を整理して適切な判断を下せる力が求められるでしょう。

介護専門職としての高度な知識も状況に応じて必要となります。認知症ケアや医療的ケアへの対応力など、総合的に高い能力が求められるポジションなのです。

ユニットリーダーの仕事に必要な心がけ

ユニットリーダーとして業務を円滑に遂行し、長く活躍していくためには、以下のようないくつかの心がけが大切になります。

現場業務とリーダー業務のメリハリをつける 培ってきた経験・知識を具体的に言語化しておく 施設の理念や規則を常に念頭に置いて判断する 何でも自分で抱え込まないこと 自己研鑽の時間をつくる

まず重要なのは、現場業務(体を使う仕事)とリーダー業務(頭を使う仕事)のメリハリをつけることです。リーダーになると会議の準備や業務の見直しなど、じっくり考える仕事も増えます。

現場での実務を行いながら、リーダー業務に集中する時間をできるだけ確保する意識を持ちましょう。業務バランスを上手に取ることが長続きの秘訣です。

次に、自分のやりたい介護や培ってきた経験・知識を具体的な言葉でイメージしておくことも有効です。自身のケア理念や現場ノウハウを言語化して共有できれば、他の職員への指導にも役立ちます。

判断に迷ったときは、施設の理念や規則を常に念頭に置いて判断する姿勢も重要です。施設理念や就業規則に照らして方向性を決定するようにすると、公平でブレない運営につながります。

また、完璧を目指して何でも自分で抱え込まないことも大切でしょう。リーダーになりたての頃は「部下の手本にならなければ」「弱みを見せてはいけない」と無理をしがちですが、シフトの穴埋めを一人で背負い込んだり残業を重ねたりすると、いずれ自分が疲弊してしまいます。

ユニット全体で助け合える仕組みを作り、困ったときはスタッフに頼る柔軟さを持ちましょう。

最後に、自己研鑽の時間をつくることも欠かせません。業務の合間に専門書を読んだり、他施設のユニットリーダーとの交流会や外部研修に参加したりして視野を広げる努力を続けましょう。

同じ立場のリーダー同士で情報交換すれば、悩みの解消やモチベーション向上にもつながります。ユニットにかかわる人々のケアを大切にする一方で、自分自身のケアも怠らないことが、長く良いリーダーでいる秘訣なのです。

ユニットリーダーになるのに必要な資格とキャリアパス

ユニットリーダーになるための要件

ユニットリーダーは、現場経験を積んだ介護職員の中から抜擢されるのが一般的です。介護福祉士の資格を保有していることが事実上の前提となる場合が多いでしょう。

さらに、各都道府県が実施するユニットケアリーダー研修を修了していることが、本則で求められる要件となっています。この研修は、講義・演習と実地研修から構成され、合計6日以上のカリキュラムでユニットケアの知識やマネジメントスキルを学ぶ内容です。

研修カリキュラムの総時間数は810分(13.5時間)に及び、各テーマごとに必要な時間が設定されています。


出典:厚生労働省 「「ユニットケア施設管理者研修」及び「ユニットリーダー研修」の実施について(2017年)」を基に作成

グラフに示されているように、研修カリキュラムは大きく分けて講義・演習部分と実践部分で構成されています。最も多くの時間が割かれているのは「ユニットケアの理念と特徴」(240分)で、次いで「ユニットのマネジメント」と「ケアのマネジメント」(各210分)となっています。

講義では、オリエンテーション(15分)から始まり、ユニットケアを取り巻く社会的背景と展望(45分)、ユニットリーダーの役割(90分)など、リーダーとして必要な知識を体系的に学びます。

講義と演習では、より実践的な内容を扱います。高齢者としての生活の理解やユニットケアの理念と特徴、個別ケアと自立支援といったテーマについて、講義で学んだ知識を演習で実際に活用しながら理解を深めます。

その後、2~4週間かけて自施設における実践課題の実施(実務)に取り組みます。さらに3日間以上の実地研修では、ケアとユニットのマネジメントに関する考え方を実践的に学び、それぞれの職場での適用方法と、今後の具体的な取り組みについての方針を理解することを目的とします。

最終日には実践課題での取り組みについてプレゼンテーションを行い、研修での学びを振り返ります。

このように研修では以下のような内容を体系的に習得します。

ユニットリーダーの役割とリーダーシップ チームをまとめる力や職員を育成する力など、リーダーに必要な基礎的スキルを学びます。 ユニットケアの理念と技術 少人数単位での個別ケアの考え方や、利用者一人ひとりの生活リズムを尊重する実践方法を習得します。 ケアのマネジメントとユニット運営 ケア計画の立案方法やスタッフのシフト管理、業務の効率化など、運営面の知識を身につけます。

なお現状では経過措置として、各施設で研修修了者を2名以上配置し、それ以外のユニットには研修未修了でも「ユニットケアの責任者」を置けばよいことになっています。

いずれにせよ、ユニットケアを導入する施設において、ユニットリーダー研修修了者は今後ますます重要な人材となるでしょう。

ユニットリーダーの平均給与・待遇

ユニットリーダーは施設内でリーダー手当が付くこともあり、介護職の中では比較的待遇が良い傾向があります。

厚労省「令和6年度 介護従事者処遇状況等調査」では、特養の介護職の給与平均は約34.98万円、そのうち介護福祉士は平均約37.38万円となっています。特別養護老人ホームでユニットリーダーを務める介護福祉士は比較的高めの給与水準にあるといえるでしょう。

さらに求人情報を見ると、月給に加えて年2~4ヵ月分の賞与を支給している施設が多く見られます。またユニットリーダー手当や介護福祉士の資格手当、夜勤手当など各種手当を設けている施設も少なくありません。

責任の重いポジションではありますが、その分給与面で一定の優遇措置が図られる傾向があるのです。

ただし施設の規模や地域、経営方針によって待遇には差があるため、転職や就職を検討する際には、給与体系や手当の内訳をしっかり確認しましょう。

ユニットリーダーに向いている人の特徴

ユニットリーダーには専門知識や経験に加え、チームを率いる資質が求められます。具体的には以下のような特徴を持つ人が、ユニットリーダーに向いているとされています。

リーダーシップがあり、他職種と協力できる人 介護士や看護師、栄養士などさまざまな職種のスタッフと協調し、同じ目標に向かってケアを実践できる高いコミュニケーション能力と統率力を備えた人が求められます。 あらゆる状況で冷静な判断ができる人 介護現場では予期せぬトラブルが起こる可能性がありますが、そんな時にも落ち着いて情報を整理し、適切に指示を出せる判断力を持つ人が必要です。 利用者やスタッフの些細な変化に気づける人 利用者一人ひとりの状態や表情の変化や、スタッフの行動や困りごとにいち早く気づいてサポートし、チーム全体の雰囲気を整えられる気配りも大切でしょう。

以上のような資質は、現在備わっていなくとも現場での経験を通じて身につけていくことも可能です。「理想とするユニットリーダー像」を意識しつつ日々の業務に取り組むことで、少しずつリーダーに必要な能力を培っていけるでしょう。

介護の現場でキャリアアップを目指す方にとって、ユニットリーダーは専門性と責任を兼ね備えた、やりがいのあるポジションです。必要な資格や研修を計画的に取得しながら、チームをまとめる力や利用者に寄り添う姿勢を磨いていくことで、着実にユニットリーダーへの道が開けていくはずです。

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