<秋季高校野球静岡県大会>今夏8強の駿河総合、186センチの大型右腕・一ノ瀬太一が掛川西にリベンジ誓う
駿河総合の一ノ瀬、大人の投球へ
今夏の全国高校野球選手権静岡大会準々決勝で掛川西に敗れた駿河総合。その試合に先発した一ノ瀬太一投手が秋はエースナンバーを背負います。
夏は掛川西打線に2回途中まで5安打7失点で降板。相手打線を勢いに乗せてしまいました。望月俊治監督はその試合について「(一ノ瀬の)ボールは行ってたし変化球もキレてた。悪くなかったんだよ。それなのに打たれた。あんなに(相手打線に対して)手の施しようがないと思ったことはなかった。これは掛西が甲子園だなと思ったよ」と振り返ります。
一ノ瀬投手も「相手が一枚上だった。相手の応援もすごくて、流れに飲まれてしまった」と潔く力負けを受け入れました。ただ、「夏の大会の雰囲気を経験できたことは良かった」と反省を新チームに生かすつもりです。掛川西との再戦を見据えて、ストレートの質を高め、コントロールとテンポを重視し、球数の少ない投球を目指しています。
身長186センチ、体重90キロ、最速140キロ、大型右腕の一ノ瀬投手は、秋の静岡県予選では望月監督から課題を与えられていました。「速いボールを放りたいんだと思うけど、まずはコントロール良く、球数を少なく。スイッチ入れるところ、そうでないところを考えながら大人のピッチングができるようにならないと」と望月監督は言います。
県予選2回戦の焼津水産戦では8回を7安打1失点に抑え、10三振を奪ったものの、3死球を出してしまいました。一ノ瀬投手は「ボール球が多くてあまり良くなかった」と反省します。監督の教え通り、実戦しようとしますが、スピードボールを投げたいという気持ちを我慢しているようです。
ただ、力んで投げたストレートが死球になったことから、自身の課題を見つめ直す機会になったようです。まずは目標の県大会4強へ、一ノ瀬投手の大人の投球が鍵を握っています。
星陵・川島陽斗、日大三島・小川秋月にも注目
県大会に出場するチームの中には、一ノ瀬投手のほかにも将来性豊かな右腕がいます。県大会予選1回戦で、今夏4強の加藤学園を相手に〝マダックス〟(球数100球以内での完封)を達成した星陵の川島陽斗投手と、日大三島の小川秋月投手です。
加藤学園戦で一気に注目を集めることになった川島投手は、中学硬式野球の静岡蒲原シニア出身。最速は138キロと際立つ数字ではありませんが、直球のキレとコントロールで勝負します。
「監督からは3球で自分のカウントにしろと言われています」とストライク先行の投球を意識しています。プロ野球元横浜(現DeNA)投手の斎藤肇監督は「一人のピッチャーを育てるなら心中するつもりでやらないと。ここで終わる選手じゃない。大きく育ってくれれば」と将来性に期待を寄せています。
日大三島の小川投手は身長186センチ、最速144キロの大型右腕。1年春の県大会初戦で公式戦デビューし、今夏は主に救援での登板でした。8月24日の県予選代表決定戦(御殿場西戦)で公式戦初完投(6安打3失点)。調子はいまひとつでしたが「冬の走り込みで疲れがあっても、連戦でも投げきれるようになった。完投は自信になる」と話します。
力感なく、球速より質のいい球を投げることを念頭に置きます。今夏は4回戦で、優勝した掛川西に1点差で敗れました。「1点取られたら負ける、1点取って勝つ」という気概でマウンドに立ちます。
(編集局ニュースセンター部長・結城啓子)
<メモ>
駿河総合の県大会初戦は9月14日、浜岡球場第3試合で伊豆伊東と対戦します。星陵は16日、裾野球場第3試合で清水東―小笠の勝者と、日大三島は16日、裾野球場第2試合で浜松開誠館―島田樟誠の勝者との初戦に臨みます。駿河総合の一ノ瀬投手と日大三島の小川投手は打撃でも4番を任され、投打で注目されています。