高齢者の誤嚥とは?原因や簡単にできる予防・工夫方法を徹底解説!
本日のお悩み:誤嚥が起こりやすい食べ物や対策方法が知りたい!
毎年、お正月になると、餅の喉詰まりによる窒息死が注目されます。一方で、餅は注目を浴びているため特に注意する傾向がありますが、他の食べ物でも誤嚥は起こると思います。
誤嚥が起こりやすい食べ物や、誤嚥を発生させないための対策方法について教えてください。
食べる楽しさを守るための「誤嚥」の知識と予防策
執筆者/専門家
大関 美里
https://mynavi-kaigo.jp/media/users/13
ご相談ありがとうございます。
著名な方のニュースがあったことからも、誤嚥の危険性が注目されていますね。 「自分の親は大丈夫かな」と不安を感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
近年、食品が原因で発生する窒息事故は、特に高齢者にとって看過できないリスクです。実際に、食物による窒息で亡くなる方は年間約3,500人(65歳以上)にのぼり、その多くが80歳以上の方です。※
このような窒息は、食べ物や飲み物が誤って気管に入り込む「誤嚥」が引き金となる場合も少なくありません。お餅のような特定の食品は確かにリスクが高いですが、誤嚥のリスクは普段の食事の中にも潜んでおり、肺炎や窒息といった命に関わる問題になり得ます。
この記事では、誤嚥がなぜ起こるのか、注意すべき食品、そして今日から実践できる予防策を解説します。
大切な「食べる楽しみ」を守るため、この記事がお役に立てば幸いです。
※参考:厚生労働科学研究補助金食品による窒息の現状把握と原因分析研究
そもそも「誤嚥」とは? なぜ高齢者に多いのか?
「誤嚥」とは、食べ物や飲み物が、食道ではなく空気の通り道である気管に誤って入ってしまうことです。誤嚥すると、むせたり咳き込んだりして異物を排出しようとしますが、この防御反応が弱かったり、異物が大きいと窒息の危険があります。
また、自覚がないまま少量ずつ気管に入る「不顕性誤嚥」は、誤嚥性肺炎の原因となり、高齢者の命を脅かすことも少なくありません。高齢者に誤嚥が多いのは、以下で紹介するような加齢に伴う身体的な変化が関係しています。
・唾液の減少と飲み込む力の低下
・感覚の低下
・病気や薬の影響
・認知機能の影響
唾液の減少と飲み込む力の低下
唾液が減って食べ物がまとまりにくくなり、飲み込みに関わる筋力も衰えるため、うまく食道へ送る力が低下します。
感覚の低下
喉の感覚が鈍くなり、食べ物が気管に入りかかっても気づきにくくなります。
病気や薬の影響
脳卒中などの後遺症や、薬の副作用で嚥下機能が低下することもあります。
認知機能の影響
認知機能の低下が見られる方の場合、食事に集中できなかったり、早食いや詰め込み食いをしたり、あるいは特定の食べ物への強いこだわりから、周りの方が安全な食事形態を勧めても、なかなか受け入れてもらえなかったりするケースもあります。
これらの変化は一人ひとり異なるため、「最近よくむせる」「飲み込みにくそう」といった変化に気づいたら、自己判断せず、医師や歯科医師、言語聴覚士といった専門家に相談することがとても重要です。
専門家は、検査を通してその方の「飲み込む力」を評価します。 お一人ひとりに合った最も安全な食事の方法や対策を考えることが、誤嚥を防ぐ確実な第一歩となります。
要注意!誤嚥・窒息につながりやすい食べ物
お餅以外にも、注意が必要な食品はたくさんあります。
・粘り気が強いもの: 団子、餅、蒸しパン、ごはん(特に冷めたもの)など
・硬くてばらけやすいもの: 肉の塊、こんにゃく、ナッツ類、豆類、繊維の多い根菜類など
・パサパサしてまとまりにくいもの: パンの耳、カステラ、ビスケット、ゆで卵の黄身など
・サラサラして流れ込みやすいもの: 水、お茶、汁物など
・つるんとして丸呑みしやすいもの: ミニトマト、ブドウ、こんにゃくゼリー、そうめんなど
消費者庁の報告でも、パン類、ごはん、果物、肉類なども窒息事故の原因として上位に挙げられています。日常的な食品でも、体調や食べ方によってはリスクになり得ることを知っておきましょう。
今日からできる!誤嚥を防ぐための具体的な対策6選
誤嚥は、日々の心がけと工夫でリスクを減らせます。専門家の評価を踏まえつつ、ご家庭でもできる対策をご紹介します。
1.食事環境を整える
食事に集中できるよう、テレビなどを消し、落ち着いた環境で食べましょう。
また、正しい姿勢で食べるようにしましょう。
※正しい食事介助については :「正しい食事介助のポイントとは?安全な姿勢、準備や手順、注意点を確認しよう」
2.食べ方を意識する(介助の場合も含む)
一口はティースプーン1杯程度を目安にしましょう。カレースプーンのような大きな食具は避けるのが望ましいです。 また、パサパサした食品は、水分と交互に、または水分を含ませてから食べましょう。
食事介助では、正しい姿勢を確認し、ご利用者のペースに合わせて、飲み込んだことを確認してから促します。食事中にむせたり、声がガラガラになったり、顔色が悪くなったりしないか、様子を見守りましょう。
3.調理方法の工夫をする
誤嚥を防ぐためには、食べ方も大事ですが、調理方法でも工夫することができます。具体的には、以下の通りです。
・食べやすい大きさと形状に切り(隠し包丁を入れるなど)、柔らかく調理する
・サラサラした水分は誤嚥しやすい傾向があるため、必要に応じてとろみ調整食品を活用する
これらの工夫をしても飲み込みが難しい場合は、専門家の評価に基づき、その方に合った「嚥下調整食」が必要です。医師や管理栄養士、言語聴覚士などの適切な食事形態の指導を受けましょう。
4.口腔ケアを習慣にする
食前・食後の清掃を徹底し、口内細菌を減らすことも誤嚥性肺炎予防の鍵です。
唾液腺マッサージで唾液分泌を促しましょう。
5.嚥下体操を取り入れる
口や舌を動かす体操は、飲み込む力の維持・向上に役立ちます。
6.食後も注意を払う
食事を終えても、食後の様子を確認することも大切です。
食後すぐに横になると、胃から食べ物が逆流し、誤嚥につながる危険があります。実際に、介護施設にて食後に何らかの原因で嘔吐し、その嘔吐物によって窒息してしまった痛ましい事例もあります。
食後少なくとも30分〜1時間は座った姿勢を保つようにしましょう。食後しばらくは会話を楽しみながら様子を見る時間をもち、万が一の変化に気づきやすくすることも大切です。
まとめ:専門家の力も借りながら、安全で豊かな食生活を
誤嚥は特に高齢者にとって深刻な問題ですが、予防は可能です。
加齢による変化を理解し、食事の環境、食べ方、調理法、食後の過ごし方に注意を払いつつ、口腔ケアや嚥下体操も取り入れましょう。
何より重要なのは「飲み込みにくさ」のサインを見逃さず、専門家に相談し客観的な評価に基づいた適切な対策をとることです。「食べること」は、栄養だけでなく、喜びやコミュニケーションの源でもあります。最近では「スマイルケア食※」などスーパーやドラッグストア手軽にで手に入れることもできますので、そういったものや専門家の力も借りながら、ご本人もご家族も、安心して食事の時間を楽しめるようにしたいですね。
※個々の状態に応じた具体的な診断や指導については、必ず専門の医療機関や専門職にご相談ください。
※出典:農林水産省農林水産省:スマイルケア食(新しい介護食品)
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