志麻(浦島坂田船) 美しく移ろう“四季”を描いたツアーで見せたファンとのあたたかく深い絆、Zepp Haneda(TOKYO)公演をレポート
SHIMA LIVE TOUR 2025 -shiki-
2025.5.18 Zepp Haneda(TOKYO)
4人組ボーカルユニット・浦島坂田船の志麻が、2025年5月に全国6都市を巡る『SHIMA LIVE TOUR 2025 -shiki-』を開催。美しく移ろう“四季”を目と耳で感じさせてくれたツアー、ここでは5月18日にZepp Haneda(TOKYO)にて行われたセミファイナル公演の模様をお伝えする。
春夏秋冬それぞれの志麻が映るオープニングムービーのエンディングで、バンドメンバーがスタンバイするステージにダンサーとともに現れたスポーティーな白衣装の志麻。「今日1日楽しんでいきましょう!」と笑顔で志麻リス(志麻ファンの呼称)に呼びかけた1曲目は「紫雲の翼」だ。紫のライトに染まりながらダンサーとともにがっつり躍る志麻が、<もっと高く>と力強く歌う高揚感。ロングトーンも伸びやかで、早速、志麻のイメージカラーである紫のペンライトがフロアで大きく揺れる。
イントロのグルーヴィーなベースラインで大歓声が上がった「天樂 -双響-」では、志麻がフロアにマイクを向ければ志麻リスが大きくコール。あまりのボリュームに「いいね、ありがとう!」と破顔する志麻、がなり気味な歌い方も最強にエモーショナルだ。
一転、「吉原ラメント」では花びらの影が舞うスクリーンを背にダンサーとともに和傘を手にしなやかに舞い、歌声に愁いを漂わせた志麻。曲の最後に浮かび上がった横顔のシルエットも美しい。
季節は春から夏へと移ろい、夏の陽射しのような黄色のライトに照らされたステージ。手で扇いで熱さを表現する志麻、白いジャケットを脱いでダークカラーのアロハシャツを羽織ったのは「アロハ!サマーバケーション」だ。ダンサーの持ってきた浮き輪の真ん中から顔をのぞかせたり、スイカ柄のビーチボールを投げたりスイカ割りの動きをしてみたり。わちゃわちゃなサマーチューン、ゴキゲンすぎる。
「僕たち今、ハワイにいます!」と笑ってアロハポーズをする志麻。「今日のコンセプトは“四季”です。春から始まり、今は夏! まだまだ夏を感じたいですよね!?」と言って志麻リスの全力コールで始まったのは「Killer Killer My Love」。タオル回しにジャンプにコール&レスポンスに、フロアの熱気は高まるばかりだ。
「もっともっとボルテージ上げていこうぜ!」と志麻が煽り、弦楽器陣がステージ前に出てきてまさに<血湧き肉 細胞が躍る>ことになった「CRAZY BUNNY!!」。志麻リスのコールを浴びながら、サングラスをかけた志麻が“この世のすべてを手に入れた男”としてヒロイックに歌った国民的アニソンのカバー「ウィーアー!」。キャッチーな“ガオガオダンス”や胸キュンなキラーフレーズ<お前は今夜、俺のもの>、サングラスを外す男前ポーズで沸かせた「No.17」。志麻の表現する夏、かなり刺激的だ。
幕間映像『ダイスで巡るドキドキぶらり旅』では、甲府から沼津までをサイコロの出た目で進んだり戻ったり。ここぞというところで運の強さを見せつけた志麻は、「挑戦は人を強くする」という名言も残した。
季節は夏から秋へ。背後のスクリーンに映る満月と色づく紅葉が秋の夜を演出した「十六夜ナイトフィーバー」では、黒のショート丈ジャケットに柄シャツと黒のパンツを合わせヘッドセットマイクを装着した志麻が、扇を手に舞う場面も。スパニッシュなギターフレーズが彩る中、情熱的な歌とダンスで魅せた「セニシエンタ」。志麻の描く刹那と激情が鮮やかな骨太ロック「千日紅」。
秋といえば学芸会ということだったのだろうか、志麻はじめバンドメンバー、ダンサーも頭にお面をつけて突如学芸会風寸劇『さるかに合戦』を繰り広げた上で、さるに扮した志麻が「かにを騙して食べる柿はめちゃめちゃ美味いなー!」と勝ち誇って歌い始め、いつも以上の熱気あふれるコール&レスポンスでとんでもない一体感が生まれたものの、最終的に志麻演じるさるがかにに復讐退治されてしまった「イエスタデイはトゥモローを歌わない」。秋だからといってチルなムードにすんなり落ち着かない志麻、とっても“らしい”ように感じた。
季節は秋から冬へ。黒基調のスタイリッシュなブルゾンに着替えた志麻が切ない歌声を響かせたのは「ショパンと氷の白鍵」だ。かと思えば、4月25日にリリースのソロアルバム『アオウタ』に収録されている書き下ろし曲で、サイコロのようにさまざまな面を目まぐるしく見せるナンバー「DA DA DICE」、紫の照明や雷の映像演出が彩る「Violet Thunder」と、志麻の歌もダンスもキレッキレじゃないか。
ゲームのガチャ風仕掛けでバンドメンバー、ダンサーを紹介するという趣向を凝らした紹介映像をはさみ、先のMCでサイコロを振って候補6曲の中から選ばれたセンチメンタルな「spill」へ。どの曲になるのかメンバーも志麻リスもわからないドキドキワクワクな偶発性、特別感も味わえてしまうのが今ツアーだ。
撃ち抜きポーズから「冬といえば“しまさか”ですよね!」と言ってなだれ込んだのは、浦島坂田船のメンバー・あほの坂田。とのコラボ曲「乱×銃」。紫とあほの坂田。のイメージカラーである赤が交錯する照明や2人の熱いタッグを思わせる映像演出など、ますます志麻リス歓喜である。
そして、季節は巡り冬から再びの春へ。淡い桜色のライトの下、志麻リスから募った思い出写真で構成された映像がドラマを盛り上げたのは、卒業シーズンにぴったりな「桜ノ雨」だ。目の前で大合唱する志麻リスを見渡して思わず「素敵!」と漏らした志麻。やっぱり、素敵な関係性だ。
「「桜ノ雨」、最後はみんなで歌おうって決めてて。応援してくれているみんなの力を借りて、「桜ノ雨」を締めさせてもらいました。最後に歌わせてもらうのは、アルバム『アオウタ』に収録されている曲。ステージに立てているのも、浦島坂田船、声優、生放送などいろんな活動ができているのも、みんなが背中を押してくれるから。僕と志麻リス、crew(浦島坂田船ファンの呼称)が深い絆で結ばれて信頼し合えているから、今日みたいなライブができます。実は“志麻リスラブ!”っていうコーラスを入れた次の曲。心を込めて歌います」
そう前置きして、『アオウタ』に収録の書き下ろし曲「志季咲きの花」へ。<深い絆で繋がっている><君とならばどこまででも>。春夏秋冬、どの季節も志麻と志麻リスは、愛と信頼でしっかりと結ばれている。「出会ってくれてありがとう!」という志麻の感謝の言葉にも、胸打たれてしまった。
アンコール1曲目、『アオウタ』に収録のカバー曲「学園天国」では、学ラン姿で紫のスクールバッグをリュックのように背負ってやんちゃに登場した志麻。ダンサーが持ち込んだ学校椅子を使ってのコミカルで賑やかなパフォーマンス、だいぶはっちゃけてめっぽう楽しそうだ。
志麻リスも含めてのTikTok用動画撮影、記念写真撮影をしたあと、「最後の曲は?」と問いかける志麻に、一丸となって「愛してもいいかい?」とタイトルコールした志麻リス。<この広い世界で僕を 知ってくれてありがとう><いつでも ずっと傍に いてほしいんだ>という、志麻の本当の気持ち。「志麻リス愛してる!」という最後の叫びまで、少しの混じりけもなかった。
春夏秋冬、何度季節が巡っても一緒にいよう、いたいと願い、お互いを想い合う志麻と志麻リス。この先なにがあっても、そのあたたかく幸せな絆は決して揺るがないだろう。
文=杉江優花
撮影=堀卓朗