親の財布から勝手にお金を抜く…。「子どもお金のトラブル」で親がしがちな“NG対応3つ”
臨床心理士・公認心理師のyukoです。小学生以降、問題になりやすいもののひとつがお金のトラブル。親に無断でゲームへ課金していることがわかった、親の財布からお金を抜いていた、祖父母からこっそりお小遣いをもらって親に黙って使っていたなど。お金の正しい使い方について、どうやって話し合っていけばいい?
お小遣いはあげているのになぜ?
小4の娘。最近覚えのないアクセサリーや文房具を持っていることが増え、気になって声をかけた。本人は「お小遣いで買った」「友達からもらった」などと話すが、様子がおかしい。結局親の財布からお金を盗っていることがわかった。なぜ盗ってまで物を欲しがるのか、娘の性格に問題があるのか。お金の問題とはどう向き合っていけばいい?
お小遣いはあげているし、欲しいものがあったら言うように伝えている。
にも関わらず、親の財布からお金を抜いたり、親に隠れて祖父母からお小遣いをもらっている。このように親の目を盗んでお金を得たり、物を買ってしまう子がいます。
子どもとお金をどのように付き合わせていけばよいか、どうやって親子で話し合っていけばよいのかを考えます。
親がついやってしまうNG対応
罰や厳しい制限をかける
二度と同じことを繰り返さないようにお金を渡さない、反省するために我慢させる、一緒になって悪さをした友達との交友を禁止する。そのように罰や制限をかけて反省を促す方法はひとつかもしれません。
ですが、長期的な視点でみるとメリットは少なく、親子の関係性悪化や、他の問題行動に繋がるなどのデメリットも生じる可能性があります。また、親にばれるといけないという思いから、親に隠れてお金を使う方法を考えやすくなるもの。
親が一方的に罰や制限をかけるのではなく、ルールの中でお金を使う方法を一緒に考えていけるとよいでしょう。
何をしても疑う
子どもが一度トラブルを起こすと、また何かしでかすのではないかと心配に思う気持ちはもっとも。そして心配に思いすぎると、過干渉になってしまったり、子どもを逐一疑ってしまいやすくなります。
しかし何かにつけて疑ってしまったり、干渉しようとしてしまうと、子どもが疎ましく思うことに加え、信用されていないと感じて自信を失いやすくなります。最初は難しいかもしれませんが、疑う前に話を聞いたり冷静に様子を見ていけるといいですよね。
家庭内でお金やトラブルの話を禁句とする
親側が事実を受け入れられないと、お金やトラブルの話題を避けやすくなるもの。
ですが、家庭内で禁句としてしまうと、親子ともに問題に向き合えず消化不良となってしまいます。消化不良になると、同じことを繰り返したり、親の知らないところでトラブルが起きやすくなります。
向き合うのが辛いときは、家族や秘密を守ってくれる親しい人、専門家に相談しながら、子どもとの話し合い方を考えてみるのがおすすめです。一人で抱え込まず、大切な問題を少しずつ受け入れていけるとよいでしょう。
お金に執着する背景を考える
本当にお金に執着しているのか、それとも背景に別の理由が隠れているのかを理解していくのも大切です。
小さい子どもは親の気をひくためにわざとやんちゃをするときもありますよね。子どもは怒られるデメリットを差し引いても、構ってほしい気持ちが勝るときもあるんです。小学生以降になると、ただ親の気をひくためにやっている行動なのか、発達や知能に問題があるのか、それとも他の理由が隠れているのか、理解が難しくなります。
家族はどうしても主観的な見方になってしまうので、できれば家庭環境や家族をフラットに見れる専門家を頼るのがおすすめです。満たされない気持ちを問題行動に置き換える子は、実際とても多いもの。子どもの満たされない気持ちは、親の関心だけではなく、仲間内で感じるコンプレックス、自分に対する自信のなさなど背景は様々。
すぐに根本的な解決をしなくとも、周囲が理解し、寄り添ってくれるだけで子どもは癒され、回復していきます。
まずは子どもの心に何がひっかかっているかを見つけていけるといいですよね。
yuko/臨床心理士・公認心理師