横浜市 機動的な避難設備導入へ 全国初「TKB」で環境改善
横浜市は災害時の避難生活支援策として来年度、全国の自治体として初めて、トイレ・キッチン・ベッドの「TKBユニット」を導入する。公園などでの設置を想定し、今後、運用方法を検討していく。
市は昨年の能登半島地震の状況などを踏まえ、地震防災対策を大幅に強化するため、3月中に「新たな地震防災戦略」を策定する予定。市民から避難所のトイレやプライバシー、就寝環境を心配する声があることを受け、誰もが安心して避難生活を送ることができるようにする備蓄品などの購入のため、25年度予算に9億7412万円を盛り込んでいる。
災害時の避難所に必要とされる「トイレ・キッチン・ベッド」を略したTKBユニットは、従来の地域防災拠点とは別に、新たな避難生活支援策の一つとして取り入れる。25年度はトイレトレーラー5台、キッチンカー1台、簡易ベッド(コット)300台を購入する。被災状況に応じて公園や競技場などでの設置を想定している。
能登半島地震では、災害後の避難生活による体調悪化などが原因で亡くなる「災害関連死」が300人を超えた。市は避難所の環境を改善する一環として、全国の自治体に先駆けてTKBユニットの導入を決めた。電源や居住用テントなど付随する資機材も併せて購入、試験的に導入する。これらの予算額は3億2千万円。
能登での支援実績も
市総務局によると、ユニットを使う対象者や具体的な運用方法は「イタリアなどの先進事例を基に、今後検討していく」としている。市は「災害用トイレトレーラー」を約1年間、輪島市の避難所に派遣し、支援活動を行った実績もある。トイレトレーラーは、水洗用のタンクや手洗い場が備え付けられた移動式の仮設トイレで、洋式便器が備わっている。仮設トイレは和式が多いため「きれいで使いやすい」という声もあったという。
同局の担当者は「これまでの取り組みと併せて、市民の皆様が安心して避難生活を送ることができる仕組みを構築していきたい」と話した。