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​【藤津亮太さんの講座「アニメ映画を読む『リズと青い鳥』」】 山田尚子監督の繊細な演出を解説

アットエス

静岡新聞論説委員がお届けするアート&カルチャーに関するコラム。今回は9月22日に静岡市葵区のSBS学苑パルシェ校で開かれた、アニメ評論家藤津亮太さん(藤枝市出身)の講座「アニメ映画を読む『リズと青い鳥』」。次回は11月24日午前10時半からで、テーマは宮崎駿監督「魔女の宅急便」。

「きみの色」が公開中の山田尚子監督の2018年の作品を題材に。2015年に放送がスタートした「響け!ユーフォニアム」のスピンオフで、脚本吉田玲子さん、音楽牛尾憲輔さんら、山田監督には欠かせないメンバーがそろっている。

藤津さんは、登場人物の希美とみぞれの関係性の変化を表現する山田監督の繊細な演出作法を監督のメディアでの発言を交えて細かく解説した。前を歩く希美とついて行くみぞれという冒頭の場面一つ一つに、2人の時間と記憶、互いへの感情が凝縮されているとの解説に身震いした。

教室の窓枠や廊下の柱の位置によって、その手前で演技する2人の関係性を近しいものにみせたり、遠いものに感じさせたりしているという指摘も「そういえば!」とひざを打つものだった。
物語のクライマックスとも言える理科室の場面でも、それが繊細に応用されていて、細かくカットをつないだ末に試験管立てが「境界線」の役割を果たしている。何という深慮だろう。

藤津さんは最後に、本作と「その先を行った」(吉田玲子さんの発言)とされる「きみの色」を比較。ドラマづくりの要諦である「(登場人物の)葛藤をどこに置くか」について、「『きみの色』はそれをカットしていて、(人物の考え方が)自然に切り替わっていく」と話した。なるほど。山田監督の「引き算の美学」の行方を見届けたいと思った。(は)

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