【葵区・ももぞの】創業80年の名物スイートポテト 3代目が守る伝統の味と新たな挑戦
静鉄電車の日吉町駅のそばにある和菓子店「ももぞの」。地元に愛されてきた名物スイートポテトは、作り手の代が変わっても変わらぬ人気です。新たに始めた季節のジェラートにも迫ります。
【画像】記事中に掲載していない画像も! この記事のギャラリーページへいつも見慣れた街並みも裏道を巡れば、そこはまるで別世界。静岡県民必見の裏スポットをお散歩します。今回は静岡市の中心部、静鉄電車の始発駅・新静岡駅周辺を散策しています。
静岡市民に愛される歴史ある和菓子店
静鉄電車・日吉町駅の近く、新静岡駅から歩いても約6分。つつじ通り沿いでふと甘い香りに誘われ、その香りをたどると、一際目を引く和菓子店「ももぞの」が現れました。
店の外から、ガラス越しにショーケースが見えます。ずらっと並んでいたのは黄金色のスイートポテト。食品サンプルかと見まごう、完璧なビジュアルです。
早速入ってみました。品数はこの時は4種類。大きな店ではありませんが、スイートポテトが目立っていました。
ももぞの 3代目・鈴木葉さん:
スイートポテトとプリンは定番で一年中あります。あとは、季節のお菓子で先代の頃からの水まんじゅうと、グレープフルーツゼリーを提供しています
お店の歴史を尋ねてみました。
ももぞの 3代目・鈴木さん:
建物は建て替えたんですけど、大体約80年ぐらい続いています
創業から約80年、静岡の地で長く愛され続けてきた和菓子の老舗だということがわかりました。店内にはレトロなペンダントライトが下がり、温かみのある雰囲気を醸し出しています。
名物スイートポテトの秘密
ももぞのの看板商品といえば、「スイートポテト(200円)」と「プリン」。中でも定番中の定番となっているスイートポテトを試食します。
ひと口食べると、一般的なスイートポテトとは一線を画す味わいに驚きます。
想像するスイートポテトと違って、ポテトの部分がサツマイモそのまんまホクホクです。
ももぞの 3代目・鈴木さん:
お芋はホクホク系のものを先代の時からずっと使ってまして、裏ごしせずに荒くつぶして作るので、ちょっと固形も入っていることもあります
素材本来の味を大切にした製法が、このスイートポテトの最大の特徴です。サツマイモを裏ごしせず荒くつぶして作るため、ホクホクとした食感と素材そのものの味わいを楽しむことができます。
下の生地部分はサクサクとした歯ごたえで、上のホクホクしたサツマイモとの絶妙なコントラストを生み出しています。
この名物スイートポテトは、30年以上も地域の人たちに愛され続けてきた逸品なのだそうです。
3代目が受け継ぐ伝統と挑戦
現在店を切り盛りしている鈴木さんは、実はももぞのの3代目。しかし、もともとはももぞのに嫁いできた「次男の嫁」だったそうです。
ももぞの 3代目・鈴木さん:
私は近くに住んでいたので、買いに来ていた側でした。先代はもう自分の代で終わらせるつもりでいたんですけど、嫁いで徐々にこちらの仕事に携わるようになり、3代目を継がせてもらいました
一度は途絶えそうになったこの味ですが、見事に復活させ、今もなお多くの人に親しまれるスイートポテト。
しかし、長く愛されてきた味を受け継ぐことには難しさもあるようです。
ももぞの 3代目・鈴木さん:
作り手が変わりますと、どうしてもお客様の思い出の中にある味と、今食べるのとちょっと違ってしまう場合も多いと思うんですよね。そこをどうクリアするのかが自分の課題です
先代から受け継いだ味をできるだけ崩さないようにしながらも、クッキー部分の食感やサツマイモのつぶし具合など、細部に自分のカラーを入れて少しずつ進化させているそうです。
お客様からは「変わらない味で良かった」と言われることもあるとのこと。伝統を守りながらも少しずつ変化を加え、さらにおいしくなっていくのが、このスイートポテトなのです。
季節のジェラートが新登場
和菓子店として長い歴史を持つももぞのですが、最近では新たな挑戦も始めています。
2024年から始めた夏の果物を使った自家製の「ジェラート(300円)」。この日はブドウの「巨峰」のジェラートを用意してくれました。
カップに入った紫色のジェラートは、巨峰の実をふんだんに使っています。一口食べると、甘みだけでなく酸味もしっかりと感じられる本格的な味わいです。
季節の果物を使ったジェラートは初夏から秋口まで楽しめるとのこと。和菓子店ならではの素材へのこだわりが感じられる、新しい試みです。
創業80年の歴史を持ちながらも、新しい挑戦を続けるももぞの。3代目は、先代の味を大切にしながらも自分なりの工夫を加え、老舗に新たな魅力を生み出していました。
■店名 ももぞの
■住所 静岡市葵区鷹匠2丁目23-11
■営業時間 9:30~売り切れ次第終了
■定休 日・祝・不定休