和歌祭とともに和歌山岸本知事が遺したもの【和歌山県和歌山市】
〜その背中に宿っていた、ふるさとへの想い〜
岸本周平・和歌山県知事が2025年4月15日に逝去されました。
大阪・関西万博の関西パビリオンのオープニングセレモニーで和歌祭の大神輿を担がれた翌日のことで、その出来事は多くの人々に大きな衝撃をもって受け止められました。
岸本知事と、和歌山を代表する大祭の一つ「和歌祭」を結ぶ深い絆のことを、少しお伝えしたいと思います。
長年和歌祭を支えてこられた元実行委員長・保井顧問に、その思いを伺いました。
〜心で支えてくれた人〜
〈和歌祭実行委員会 保井顧問〉
2005年から10年間、私は和歌祭の実行委員長を務めました。
神事が終わったあとに行う鏡開きでは、毎年岸本さんに乾杯の音頭をお願いしてきました。
どんなに要人が来ようとも、私は迷うことはありませんでした。岸本さんが、“心”で祭を支えてくれていたからです。
議員時代から鎧に袖を通し、和歌浦小学校の体育館で汗を流しながら行列に加わった岸本さん。紀州東照宮の境内では、一緒にほうきを手に静かに掃除をされていました。
誰よりも和歌祭を愛し、寄り添ってくれた存在でした。
今年は体調が優れないため、12日に行われた大阪・関西万博の開会式への出席を取りやめましたが、13日の関西パビリオンのオープニングイベントの和歌山ゾーンで行われた和歌祭に駆けつけてくれました。
あの大神輿を担がれた姿は、私たちの心に深く焼きついています。
限界を超えてなお、祭と私たちを選んでくださった。
それが、岸本さんにとって最後の和歌祭となりました。
〜誇りではなく、“まこと”の証〜
〈まっすぐな誠を宿して〉
名誉や政治の立場を超えて、岸本知事が和歌祭に注いだのは、静かでまっすぐな「誠」でした。
最後に担がれた大神輿には、何年もかけて積み重ねた想い、仲間への深い情、ふるさとへの祈りが込められていたように思います。
それは偶然ではなく、和歌祭であったからこそ起こった、必然のような時間でした。
また、5月6日には万博の関西パビリオンで、関西広域連合の三日月大造連合長(滋賀県知事)や吉村洋文・大阪府知事らが、和歌祭実行委員会の中山勝裕さんらと『チョーサー』というかけ声に合わせて、法被(はっぴ)姿で和歌祭の大神輿を担ぎ、岸本知事に深い敬意と哀悼の気持ちを寄せてくれました。
岸本知事が遺された信頼と、地域への愛情が伝わります。
謹んで、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
〜歴史と誇りをつなぐ、紀州の春の風物詩〜
〈和歌祭 開催のお知らせ〉
江戸時代初期に紀州藩初代藩主・徳川頼宣によって始められた和歌祭。
紀州東照宮の例大祭として、武者や稚児、舞姫、芸能の列が街を練り歩きます。
総勢800名による華やかな時代行列は、歴史と誇りが息づく、紀州の春を象徴する祭です。
令和7年 和歌祭 実施概要
開催日:令和7年(2025年)5月11日(日)
場所:和歌山市 和歌浦一帯主なスケジュール
11:00 神輿おろし(安全対策のため時間を変更
11:45 出発開始
12:00 行列渡御開始
16:00 終了予定
内容:
神輿おろし
伝統の行列渡御
各種伝統芸能のフォトコンテストなど
沿道では多くの観客が見守るなか、神輿や芸能がにぎやかに進行します。また今年は安全対策の強化により、神輿おろしに関する観覧エリアが一部制限されます。安全な運営へのご協力をお願いいたします。和歌祭は、地域の誇りと絆をつなぐ大切な行事です。
皆さまのお越しを、心よりお待ちしております。
ローカリティーハツレポーター
和歌祭実行委員会広報担当 野口千惠