白塗り姿で、すすきのを闊歩!札幌の芸妓、出勤前の日常【さっぽろ芸妓日記vol.30】
札幌で芸妓をしております、「こと代」と申します。 「芸妓」といえば、京都のイメージが強いと思います。
しかし北海道にも開拓期から道内各地に花柳界がございました。
現在は札幌のみになってしまいましたが、「さっぽろ 名妓連」には11名の芸者衆が所属し、毎日お稽古、お座敷などで活動しております。
連載「さっぽろ芸妓日記」では、札幌の花柳界の歴史や 文化などをご紹介していきたいと思います。お付き合いのほど、どうぞ宜しくお願いいたします!
白塗りで、どうやってお座敷へ?
前回の記事では、白塗りなどの支度はそれぞれの自宅で済ませてからお座敷へ向かう、というお話をさせていただきました。
お座敷へは徒歩で?それともタクシー?ということで、今回は私たちの移動方法についてお話していこうと思います!
私たちは、あちこちお料理屋さんに呼ばれて出向くことになるのですが、だいたいお料理屋さんはすすきのエリアにあることが多いです。
近所にある料亭さんの場合は自宅から徒歩で向かうこともありますが、白塗りの場合はタクシーを利用することも多いです。
なぜかというと、大荷物だからです!
踊りで使うお扇子や団扇などのお道具や、お座敷遊びセット、お化粧直しのポーチや水分補給のための飲み物…。
必要なものを持つと荷物が多くなってしまって、白塗り姿で一人で運ぶにはちょっぴり大変だったりするんですよね。
ですので、白塗りをしているときの移動はタクシーを使うことが多いかもしれません。(タクシーは近所のお姐さんと乗り合いさせていただくことも多いです。)
ちなみに、私は身長が高いので日本髪のかつらをかぶると巨人になってしまうんです…!
そのため、普通のタクシーに乗るとかつらが天井についちゃうんですよね。
かつらは大切に扱わないといけないので、髪型が崩れないように身体を小さくして乗るんですが、これがまた結構苦しいんです。ですので、ランダムで高さのあるタクシーが来ると「やった!!」と心の中でガッツポーズしております。笑さて、“徒歩”の場合ですと、やはりあの姿ですすきのを歩いていると驚かれることが多いです。
お座敷でお客様にも「今日は置屋さんで支度してきたの?」「ここまでどうやって来たの?」とよく聞かれるのですが、そんな時は「自宅で自分でお支度して、歩いてまいりました!」とお答えしていますよ。
海外から観光でいらっしゃっているような方々には、道すがら「一緒に写真をとってもらえますか?」とお声がけいただくことも多いんです。急いでいなければ、もちろん喜んで!
いい思い出のひとつになってくれれば嬉しいな、と思います。
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連載さっぽろ芸妓日記」
文:さっぽろ名妓連 こと代
編集:Sitakke編集部IKU
<「こと代」プロフィール>
札幌生まれ、札幌育ち。2018年にお披露目して以降、現在も最北の花柳界「さっぽろ 名妓連」で芸妓として活動中。開拓期から続く北海道の花柳界文化をたくさんの方に知っていただくべく日々奮闘中。飼い猫達と遊ぶことが日々の癒し。
※掲載の内容は記事執筆時(2025年9月)の情報に基づきます