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「音楽の素晴らしさを広めたい」〜ヴァイオリニスト・島谷美賀子、8/24(土)開催のリサイタルに向けて思いを語る

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『島谷美賀子 ヴァイオリンリサイタル』

ヴァイオリニスト、島谷美賀子。11歳でイギリスに渡り、イギリス最古の音楽学校・パーセル・スクール、そして英国王立音楽院で学んでいる。昨年完全帰国を果たして以来、数々のコンサートやコンクールでの活躍を続けている。

2024年8月24日(土)、その島谷が、都内屈指の名ホール・王子ホールで初の大型リサイタルに挑む。共演者として、チャイコフスキー国際コンクールや日本音楽コンクールでの受賞歴とともに、アンサンブルの名手としても知られるピアニスト・黒岩航紀氏を迎え、パガニーニ、バッハ、サン=サーンス、R. シュトラウスという豪華なプログラムを演奏予定だ。

リサイタルに当たって、これまでの歩みやリサイタルへの思いを聞いた。イギリスで学んだ島谷だからこそ感じる、音楽の素晴らしさと、伝えたい思いを感じる内容となった。

――島谷さんがバイオリンを始められたきっかけは何でしたか?

4歳の時、幼稚園で子供向けのコンサートが開かれたのですが、すごい綺麗なドレスのお姉さんがヴァイオリンを弾いてるのを見て、やってみたいと母に伝えたのがきっかけでした。
色んなことに興味があったので、水泳やテニス、絵など沢山習い事をしていましたが、自分がやってみたいと一番強く思って始めたからか、ヴァイオリンが長く続きました。上達するのも楽しくて、練習も楽しかったのです。

――そして小学校のころにイギリスへと留学されますが、ヴァイオリニストを目指しての渡英だったのでしょうか?

そう思われがちですが、最初は語学留学としてでした。
小学校1年生の頃からずっとヴァイオリニストに憧れはあったものの、絶対なるという意志を持っていた訳ではなかったです。
11歳で渡英した時、環境の変化についていくのがすごく大変で、そういう時、ヴァイオリンがその距離を縮めてくれたことが大きなきっかけでした。
言葉が通じなくても、音楽なら分かってもらえるという機会が何度もあり、イギリスに来て初めて、音楽が本当に世界共通なんだって強く感じました。

幼い頃のそうした経験を通して心から感じた、「音楽は素晴らしい」という事を、イギリスで広めたい、みんなに知ってもらいたいと思いヴァイオリ二ストを目指すことにしました。
最初は、3、4年ぐらいと考えていた留学でしたが、ヴァイオリニストを目指す上でヨーロッパにいることはチャンスだと思い、イギリスでそのまま音大まで進もうと決めました。

島谷美賀子

――音楽の道を目指す中で最初に通われたのは、イギリス最古の音楽学校・パーセル・スクールでしたが、こちらはどのような学校でしたか?

パーセル・スクールは全校生徒100人くらいの学校で、小学校低学年くらいの子たちから高校3年生まで、幅広い年齢の子達が一緒になってオーケストラも行っていました。全然学年間での差はなく、音楽をやりたいという同じ意志をもって入った子たちで、みんな平等な雰囲気でした。

ただイギリスでは13歳と高校三年生の時に国家試験があり、それに通らないと上に上がれないシステムなので、勉強とかも真面目にやる必要があって。
完全な寮生活のなかで、アカデミックな勉強もしつつ、その上で、音楽のカリキュラムも朝早い時間に組み込まれたりして、ちゃんと時間を作ってくれる学校でしたね。

――そして卒業後は英国王立音楽院(ロイヤルアカデミー)へ進まれましたね。

環境がガラッと変わったって程ではなかったですが、ロンドン郊外のパーセル・スクールからロンドンの中心部の英国王立音楽院に移ったことで、ロンドン・フィルなどの一流の演奏を聞きに行くことが簡単になりました。
また、日本をはじめ、世界各国から留学してくる学生たちと仲良くなって本当に楽しかったし、いろんな刺激を受けて、世界観が広がりました。凄く身が引き締まる感じでしたね。教授の方々も素晴らしい方が揃っていて、すごく勉強になりました。

――イギリスで音楽を学ばれた島谷さんですが、日本とイギリスの音楽教育の違いなど、何か感じられるものはありますか?

イギリスはコンサートに出向かなくても、教会で毎週日曜日には音楽家が弾いてるとか、街中でもクラシックがよく流れているなど、クラシック音楽が日常になっていて、普段の生活にクラシックを楽しめる場・聞ける場がたくさんあると思います。その面では日本よりもイギリスの方が音楽家のお仕事っていうのはすごく多いという風に思います。

そのせいか、日本であればコンクールの受賞歴など、プロフィールで上手い下手が選別されてしまう点があると思いますけど、イギリスはむしろアウトリーチやワークショップなどが重視されて、カリキュラムにも組み込まれていました。例えば幼稚園や老人ホーム、教会での演奏のような、人のために音楽を演奏するという事がとても重視されていたと思います。
また教え方を学ぶ授業もあったりもして、「人の役に立つ」、そのためにあくまで音楽をやっているという事がコンクールよりも重視されているように感じましたね。

――ロイヤルアカデミー修了後は日本へ帰国された訳ですが、日本に帰るのを決めたきっかけは何でしたか?

大学院に進むことも少し考えましたが、13歳から大学を卒業するまで、長い間沢山学んできたことを一度実践してみたいと思いました。また、大学に入った時からYouTubeへの演奏動画の投稿を続けていますが、そこで少しずつ見てくださる方が増えて、日本で演奏会を開いてほしいという声もいただいていたので、母国日本に帰って活動することにしました。

――YouTubeは現在も頻繁に投稿されていますが、投稿を始められたきっかけは何でしたか?

コロナが大きかったです。流行したのは大学1年生すぐの時で、イギリスはロックダウンが騒がれるほどでした。学校も通えず、一時期日本に戻って、時差のある中でオンライン授業を受けたりしていましたが、その中ですと、学生ながらの演奏活動っていうのは途絶えてしまって、色々習っているのに発表する場がない状態でしたので、YouTubeを始めてみようと思いました。
元々機械音痴なので、全く分からず、これで良いのかどうかも分からないままで、空き時間に上げていたら、同じようにリモートでの通勤通学をされていた方たちなどに聴いていただけたのか、良い反応を沢山いただけました。おかげ様で大きなモチベーションにもなりましたし、自分の演奏を知ってもらう一つのきっかけになったと強く思っています。動画投稿があったからこそ、今、継続的に活動を頑張れています。

メンデルスゾーンヴァイオリン協奏曲第1楽章 Mendelssohn Violin Concerto 1st movement

――今回のリサイタルは帰国されて1年、初めての大型リサイタルですが、今回のプログラムについてお聞かせいただけますか?

色んなバイオリンの音色や技巧、幅広い年代の曲を入れた、本当に盛りだくさんのプログラムになっています。

まず最初に、パガニーニのカプリース24番を演奏します。皆さんよくご存知のこの曲、私は初めて舞台で弾くのですが、プログラムの最初に弾くというのは、全ヴァイオリニストにとって勇気のいることをしたと感じています。それでも名曲を演奏することができるのはすごい嬉しいことですし、楽しみです。
またその後、バッハのパルティータ第2番とともに、サン=サーンスの『序奏とロンド・カプリチオーソ』を演奏します。この曲は、高校2年生の時にロンドンのウィグモア・ホールで演奏し、またロンドン・シティ・フィルとも共演させていただいた大切な曲なので、今回日本で演奏するのが楽しみです。

そしてメインのR. シュトラウスのヴァイオリンソナタは、初出しなんですけれど、本当に私の大好きな曲で、華やかでキラキラとした、後期ロマン派らしい豊かな和声と濃厚な表現が魅力的な曲です。またピアノが凄く難しい曲としても有名ですが、今回、日本に帰る前から、一方的に凄く尊敬していた黒岩航紀さんと共演できることがとても楽しみで、ぜひピアノとのアンサンブルも楽しんでいただけたらと思います。

――コンサートへの思いをお聞かせください。

10年のイギリス留学を終えて、日本に帰ってきて一年というタイミングで立つ初めての大舞台で、私が大好きで思い入れのある名曲をたくさん演奏することがすごく楽しみです。
本当に心を込めて演奏させていただきますので、YouTubeで知っていただいた方にも、生のヴァイオリンの響きを味わいに、会場に来ていただきたいと思います。

――最後に将来の目標をお聞かせいただけますか?

コンサート活動はもちろんですが、私がバイオリンを始めるきっかけになった、アウトリーチの活動も何かやっていきたいと思います。小さい子達の前で演奏して、ヴァイオリンっていうものがあるんだ、と、ちょっと憧れを持ってもらえたら嬉しいことです。
音楽があったからイギリスで馴染むことができたりと、音楽に助けられてきたので、そういうものを小さい子にも渡してゆけたらいいなと思ってます。

――ありがとうございました。

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