「ツキノワグマが出た」想定し対応訓練 名張市で初実施 県や警察など合同
三重県内でツキノワグマの出没件数が急増する中、県と県警は7月18日、名張市内で合同対応訓練を実施した。同市内での実施は、今回が初めて。〈YouTubeで動画(https://youtu.be/F78crP251Ic)〉
県内のツキノワグマの出没件数は昨年度、初めて40件に達した。今年度は7月17日現在で既に49件の目撃情報が県に寄せられており、過去最多を更新している。伊賀地域では、名張市は0件だが伊賀市では2件の情報がある。
この状況を受け、県は注意喚起のために県のホームページ上で「ツキノワグマの出没情報マップ」を6月から公開した他、更なる啓発強化のため「クマアラート」の7月中の運用開始を予定している。
併せて、県内8か所の農林事務所管内ごとに関係機関との合同対応訓練を秋までに実施することを決めた。名張市での実施は、7月11日の大台町に続いて2か所目。
名張市赤目町丈六の赤目市民センターであった訓練には、県農林水産部や名張署、市など関係者ら約50人が参加。出没状況や関係法令などを座学で学んだ後、今年3月に市が策定した対応マニュアルに沿って関係機関の間の連絡手順を確認。場所をセンター前の駐車場に移した後、実地訓練に臨んだ。
実地訓練は、ツキノワグマが集落に現れ、人にけがを負わせて逃走したと想定。着ぐるみを身に着けた熊役の署員が、唸り声を上げながら倉庫内を物色するなどした。
自治会からの通報を受けてパトカーで駆けつけた署員は、現場に規制線を張るなどして警戒。関係機関が情報を交換しながら箱型のわなを仕掛け、最終的には市から委託を受けた伊賀市の業者が猟銃を撃つしぐさをし、熊役が動かなくなったのを確認した。
県農林水産部の担当者は「熊が出た時の関係者の顔が分かり、手順を確認できた。これからもっと連携を深めていきたい」と話した。
名張市内では、2022年6月に同市青蓮寺の香落渓でツキノワグマがドライブレコーダーに記録され、同年12月には同市赤目町一ノ井で足跡が見つかった。
県によると、ツキノワグマによる人身被害は昨年、7月に尾鷲市であった。山中を歩いていた人が足をかまれ、負傷したという。
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