【藤枝・初亀醸造】刺身に合うスパークリング日本酒「習作」 静岡最古の酒蔵の挑戦
静岡・藤枝市の東海道21番目の宿場町・岡部宿周辺を散策していると、「宿場酒」と書かれた店頭幕を発見。静岡県内で最も古い歴史を持つ初亀醸造で、世界が認めた挑戦の一本、スパークリング日本酒に出会いました。
【画像】記事中に掲載していない画像も! この記事のギャラリーページへいつも見慣れた街並みも裏道を巡れば、そこはまるで別世界。静岡県民も必見の裏スポットをお散歩します。今回は藤枝市、古きよき街並みの岡部宿周辺を散策しています。
16代目が守る静岡県内最古の酒蔵
「秋酒」に誘われてやってきたのは、岡部宿本陣跡から歩いて3分の初亀醸造。1636年創業で、県内に27ある酒蔵のなかで静岡最古の歴史をもつといいます。
初亀醸造 16代目・橋本謹嗣さん:
2026年で390年です。県内では1番古いですね
創業は静岡市の葵区中町。1876年(明治9年)にこの岡部町に移転しました。
料理を引き立てる黒子的なお酒
初亀の日本酒の特徴について、橋本さんはこう語ります。
初亀醸造 16代目・橋本謹嗣さん:
静岡県は駿河湾があり、海の幸、山の幸、本当に新鮮な食材があります。静岡県の食材に合うお酒、一歩後ろに下がった黒子的な飲み物で料理が引き立つお酒。そのようなクラシックなお酒を目指しています
初亀醸造が目指しているのは静岡県の食材に合う食中酒です。
初亀醸造・橋本謹嗣さん:
「まず一杯 思わず一杯 もう一杯」という言葉があって、飲む度に味が変わっていくんです。よく宴会で「宴もたけなわ」といいますが、「たけなわ」は「酣」、酒が甘くなると書くんです
飲み続けていくなかで、おいしくなっていくお酒を橋本さんは目指しています。
売り切れ御免! 「ひやおろし」「習作」
今回、橋本さんが紹介してくれた「ひやおろし」と「習作」は、記事公開時には手に入れるのが難しいかもしれない限定品です。
秋の限定酒「ひやおろし」
秋になり、日本酒がおいしくなってくる季節に登場したのが「初亀 特別純米 ひやおろし(720ml・1760円)」。
秋は夏を越して少しずつ丸くなってきたお酒が飲み頃を迎えます。
静岡県産の米「誉富士(ほまれふじ)」で醸造した特別純米のひやおろし。透明というよりは若干色がついています。
初亀醸造・橋本謹嗣さん:
うちのお酒は、あまりろかしないで絞ったら絞ったままの状態です。お米のよさを楽しんでもらいたいので、多少の色があります
飲み口はキリッとしていますが、口のなかに入ってからは甘さを感じるお酒でした。
スパークリング日本酒「習作」
いままでなかったような日本酒を研究開発したのが、「初亀 習作02 瓶内二次発酵清酒(720ml・4180円)」というスパークリング日本酒です。
初亀醸造・橋本謹嗣さん:
瓶内二次発酵といいます。この瓶の中で300日以上かけて発酵させているんです
グラスに注ぐと、細かい泡が美しく立ち上りました。日本酒の味が強くしっかりしていて、お米の味が全く消えていません。
初亀醸造・橋本謹嗣さん:
お米の究極の泡を作りたいので、シャンパンみたいな味になったら意味がないと思っています。刺身などに合うお酒を追求しているんです
「初亀の習作」を作り出すのに約5年かかりました。瓶内二次発酵期間も長く、毎年毎年少しずつ変化させ目指す酒質に近づけるべく研究を重ねてきました。
2025年、ついに目指す酒質に近づいてきたため、フランスで行われている日本酒の品評会「Kura Master 2025」に出品。「サケ スパークリング部門」で見事金賞を獲得しました。
390年目に向けて歩む初亀
静岡最古の酒蔵が守り続けてきた伝統の味と、新しい挑戦から生まれた革新的な日本酒。どちらも地元の食材を引き立てる黒子として、愛され続けていくことでしょう。
初亀醸造・橋本則継さん:
390年続けてこられたのは、やはり消費者のみなさんのご愛顧があり、楽しんで初亀を飲んでいただいたおかげです。本当にありがたいです
宿場町の風情とともに、390年の歴史が紡ぐ日本酒の味わいを堪能できる貴重な場所でした。
■店名 初亀醸造
■住所 静岡県藤枝市岡部町岡部744
■営業時間 10:00~17:00
■定休 不定休 ※インスタグラム参照
■問合せ 054-667-2222
■駐車場 あり