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「鉄のまち」支えた歴史を知る 釜石鉱山坑道見学 電動カートで冒険、鉱石探し

かまいし情報ポータルサイト〜縁とらんす


 「鉄のまち」の歴史を知ってもらおうと夏季に行われている釜石鉱山(釜石市甲子町大橋)の坑道見学が今年も企画され、7月31日から8月2日の3日間で市内外から計約40人が参加した。製鉄業繁栄を支えた鉄鉱山に残る鉱石採掘跡などを見て回って往時を想像したり、夏の日差しから逃れる冷涼な別世界での探検を楽しんだ。

 江戸時代に始まり、明治・大正・昭和と日本の製鉄の発展とともに歩んできた釜石鉱山。良質な鉄鉱石を産出し鉄のまち釜石を支えたが、1993(平成5)年に大規模な採掘は終了した。現在は地下水力発電所での発電や坑道から湧き出てくるナチュラルミネラルウォーター「仙人秘水」の製造販売を主力にする。

 8月1日に実施された見学には岩手県内の家族連れら13人が参加。同社総務課の千葉慎吾課長代理(41)の案内を受け、電動カートに乗り込んで標高550メートルの坑口から入った。最初の目的地は坑口から約3000メートル入った地点にある「仙人秘水」の採水地。移動時間は20分ほどで、その間、カートに取り付けられたモニターに映し出された鉱山の歴史を伝える動画で知識を深めた。

左上写真がスタート地点の坑口。(時計回りに)電動カートに乗って坑内へ


車載モニターに表示される動画を見て釜石鉱山の歴史に触れながら移動


 採水地は大峰山(標高1147メートル)の地下約600メートルに位置する。参加者は源水を試飲したり、千葉さんから坑道の概要を聞いたりした。秘水は当初、坑道内にある工場で製造していたが、2009年からは送水管を使って地上で製品化する。

「仙人秘水」の採水地で千葉慎吾さん(右)の解説を聞く参加者


長い期間じっくりと岩盤をつたってくる湧き水の味わいを確かめる


 鉱石採掘場は、同社保安施設課の新田秀祐課長(52)が案内。当時使われていた削岩機や鉱石運搬車などを示しながら、トンネルの掘削や鉱石の採掘方法を説明した。坑道の総延長は1000キロに及ぶといい、「1回の発破で進めるのは1メートルほど。かなりの年月をかけて(採掘場所を)探ったと思う」と想像。多い時で約3000人が交代しながら作業に携わっており、先人たちの働きぶりに頭を下げた。

鉄鉱石の採掘跡は新田秀祐さんが案内。鉱石を効率よく搬出するため鉱石を投下したタテ坑なども見て回った


鉄鉱石、石灰石、トルマリンなどが採掘されていたといい、鉱石探しも体験した


 花こう岩でできた音響実験室「グラニットホール」を見学し、スタート地点に戻った。この日も気温25度を超える夏日だったが、坑内は気温約10度の別世界。参加者はいっときの涼を体感した。

 平泉町の千葉敏明さん(76)、ローズマリーさん(75)夫妻は地域の歴史に関心があり、奥州藤原氏の繁栄を支えた金(砂金)をきっかけに県内外の金山、鉱山などを訪ね歩くのが楽しみだという。今回は「坑内に入れるなんて…逃がせない」と来釜。アリの巣のように伸びた坑道での“冒険”を満喫した一方、「昔の人たちは暗くて、危ない環境の中で働いていた。すごく大変だったろう」と思いをはせた。そうした歴史を伝えるものが残され、保全されることで“観光”ができると感謝。これからも「歴史にちなんだ旅を続けよう」と笑顔を重ねた。

グラニットホールも見学。坑内の気温は10度で涼しさを感じる


 坑道見学は、観光地域づくり会社かまいしDMCが展開する「Meetup Kamaishi 2024」のプログラム。海、鉄、山の切り口から地域の宝物、各分野の専門家“鉄人”と触れ合える釜石ならではの体験(漁業体験、漁船クルーズ、シュノーケリング、シーカヤックなど)を用意している。

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