トランプショックで資産が値下がり!「NISAの預かり」は売却すべき?【お金の専門家に聞く】
アメリカのトランプ大統領が行う政策等により、世界経済が揺れています。日本の株価や投資信託の価格も乱高下しており、NISAで資産運用を行っている人は、不安に感じているかもしれません。今回は、市場が乱高下している場合、NISA利用者がどうするべきか、一緒に考えていきましょう。
NISAの現状とおさらい
お金をコツコツ増やすために、NISAで資産運用を行っている人が増えています。金融庁の「NISA口座の利用状況に関する調査結果の公表について」によると、2024年末で、NISA口座数が2560万以上となっています。つまり、日本の国民の5人に1人は、NISA口座を保有していることになります。
NISAの仕組みを簡単におさらいしましょう。一般的に、資産運用を行い利益がでると、利益には約20%の税金がかかります。しかし、NISAでは、資産運用でもうかった利益にかかる税金がゼロ円です。普通に資産運用を行うよりも、税金分お得に資産運用ができます。
また、つみたて投資枠(コツコツと積立投資を行う枠)を利用する場合、証券会社で積立投資の設定を行えば、その後は自動で毎月商品を買い付けてくれます。2024年には、NISA制度で投資ができる金額が大幅にアップし、運用期間も無期限になりました。NISAで行う資産運用は、利用者が分かりやすく、手軽に始めることができるという特徴があります。
トランプショック・株価が乱高下した時はどうする?
アメリカでトランプ大統領が就任して以来、世界経済が揺れています。他国からの輸入品に高い関税をかけるなどの政策を行い、アメリカや多くの国の株価が乱高下しています。NISAで資産運用を行っている人は、自分が保有している商品の価格が下がり、不安に感じている人もいるかもしれません。
たしかに、資産運用には「絶対にもうかる」というルールはありません。長期投資を続けていれば、リーマンショックのような経済危機や、今回のトランプショックのような、市場の乱高下の影響を受け、持っている資産の価値が下がってしまうこともあります。
しかし、将来のためのお金をNISAでコツコツ積立投資しているような方は、今回の乱高下でも決して慌てる必要はありません。引き続き、NISAのつみたて投資枠で、資産運用を継続するのがおすすめです。その理由は大きく2つあります。
1.長期投資では、短期的な乱高下は無視してOK
NISAのつみたて投資枠は、そもそも将来必要となるお金をコツコツと貯めて増やしていくために、長期投資をする目的で作られた制度です。短期的に株価が乱高下していても、10年後20年後に資産が増えていれば問題ありません。
2.普通預金もリスクが高い
資産運用をやめて、銀行に預金としてお金を保有しても、将来お金の価値が下がる可能性があります。現在、日本の物価は上がっています。普通預金ではお金は増えず、物価高に対応できません。資産運用を行い市場の価格を反映させた方が、将来的に物価高に対応できる可能性があります。
慌てないでコツコツ積立投資を
2024年に資産運用を始めた方の場合、現在資産がマイナスとなっている方もいるかもしれません。たしかに不安になりますが、長期投資では、短期的な利益を気にする必要はありません。むしろ、投資を辞めてしまう方が、将来の資産価値が下がってしまう可能性があります。毎日の株価は気にせず、どっしりと構えて、コツコツお金を増やしていきましょう。
下中英恵/1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者