【「佐伯喜三郎遺作展」】ビニールハウス群を抽象化
静岡新聞教育文化部が200字でお届けする「県内アートさんぽ」。今回は、静岡市駿河区の静岡県立美術館県民ギャラリーで6月30日まで開催中の「佐伯喜三郎遺作展」。日展会友、静岡県美術家連盟理事だった佐伯さんの作品112点。
光、構図、彩色、筆致。1枚1枚に少なからぬ創意を込めた風景画群の圧倒的なエネルギー。久能山裾とおぼしきビニールハウスを繰り返し描いているが、相貌の変化が感動的。1983年「梅雨入り」以降、1990年代は写実性を重視。1991年「遠い日」は砂地のふかふかした手触りすら伝わる。2000年代は抽象化が進行。2001年「晩夏」は俯瞰で捉えたハウス群の横のラインを強調する。面全体で光を受け止めているようだ。(は)