アジ科の中では知名度が低いけど美味な「オキアジ」 ブリとサワラの中間みたいな味?
大型アジ科魚の中ではかなりマイナーなオキアジ。しかしその味はこの仲間で一番との評価もあります。
とても多彩な「アジ科」の魚たち
突然ですが、アジの仲間(アジ科)で最も人気の高い魚は何かご存知でしょうか。
アジの仲間なのだからアジに決まっているだろう、と思った人も多いと思いますが、正解は「ブリ」です。ブリの一人当たり平均年間消費量は1.7kgほどで、アジ(マアジ)の1.5倍ほどとなっています。
そもそもブリがアジ科に含まれるということ自体、知らないという人も少なくないかもしれません。ほかにもカンパチ、ヒラマサなど「アジとつかないアジ科の魚」が存在します。
これらを含め、アジ科には約150種もの魚が含まれています。意外と大所帯なグループなのです。
ヒラアジでもシマアジでもない「オキアジ」
さて、そんなアジ科のなかでも比較的マイナーなものの一つに「オキアジ」という魚がいます。
オキアジは一見するとロウニンアジやギンガメアジといった、釣りで人気の「ヒラアジ類」の一つに見えますが、これらと比べるとややずんぐりむっくりとしています。またこれらのアジが1mほどに成長するのに比べ、オキアジは40cmを超えるとかなりの大物といえます。
オキアジの外見的な最大の特徴は「口の中が白い」こと。英語でも「ホワイトマウス・ジャック(口の白いアジ)」と呼ばれています。
アジの仲間で一番美味いという評価も
このオキアジ、そもそも漁獲量があまり多くないということもあって知名度は皆無といえます。地方名も多く、なかには「モクアジ」「ドロアジ」といった食欲の湧かない名前もたくさんあります。
しかし、実は流通の世界においては今非常に評価を上げている魚でもあります。その理由はもちろん美味しいから。
オキアジの身はやや白濁しており、ブリとサワラの中間的な見た目をしています。味もまさにその両種の良いとこどりといった感じで、強い旨みにとろける脂の甘みが重なり非常に美味です。
「アジ科の魚の中で一番美味しい」と評価する人もいるほどなので、見かけたらぜひ購入して試してみてください。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>