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【最新定番】RICE処置はもう古い? Jクラブドクターが教える最新の応急処置

サカイク

サッカーにつきもののケガやアクシデント。受傷後の応急処置について、サポートする保護者としては正しい知識をしっかり身につけておきたいものですね。

医療情報は年々新しくなるので、最新情報も知っておきたいところです。

いざ応急処置をすることになったときに慌てないよう、日本サッカー協会のスポーツ医学委員でJクラブのドクターも務める大塚一寛先生(あげお愛友の里施設長)にお話を伺いました。
(取材・文:小林博子)

 

写真は少年サッカーのイメージ

 

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■RICE処置はもう古い? 局所冷却療法はアイシングではなく「クーリング」が主流 

患部を冷やすのは大事ですが、アイシングではなく「クーリング」の温度で行うこと

 

有名な「RICE処置」(RICEは、Rest〈安静〉・Ice〈冷却〉・Compression〈圧迫〉・Elevation〈挙上〉の頭文字)ですが、このうちIce、つまりアイシングは現在は古いとされていると大塚先生は説明してくれました。

アイシングを1978年に提唱したドクターが、現在はその説を自ら否定する論文を発表しています。

アメリカではアイシングは廃れた方法になっていて、メジャーリーグやNBAなどではアイシングをしている選手をここ数年で見ることはなくなったはずです。

アイシングに変わって行われている処置が「クーリング」。アイシングが氷を使って0度以下に冷やすのに対し、クーリングは6~20度以下に冷やすことです。

 

 

■「冷やしすぎ」に注意。回復を遅らせる恐れが 

人間の体は炎症するから治るようになっているもの。ところが過度の冷却は炎症活動を低下させる(=治癒力を下げている)にもかかわらず、痛みだけ取ってしまうため良くなっていると身体に勘違いさせてしまいます。

また、アイシングで冷やしすぎてしまうと、神経を傷つけてしまう恐れもあり、結果的に回復が遅くなる可能性があるそうです。

大塚先生によると、アイシングをした群としなかった群のその後の回復を調べた実験結果では、「した」群のほうがその後の強度やスピードが低下していたことがわかっているそう。

 

■「正しいアイシング」であればOK

ただし、アイシング自体がすべて否定されているものでもありません。

やり方次第では、今も有効な応急処置とされていて、それが受傷後6時間以内の短時間スパンのアイシングです。

10〜15分アイシングをし、20〜30分のレスティングをすることを、ケガをしてから6時間繰り返すというものです。

 

■タオルを1枚間に入れて冷やせば簡単にクーリングに近い温度に

アンダーラップはテーピングの下に巻く保護テープ 写真のオレンジのもの

 

NBAやメジャーリーグで行われているクーリングは専用の機械を使って温度管理された水を流し続けるというものです。

当然ながら少年サッカーの現場でその機械を持っているチームはないため、NBAやメジャーリーグのように適切な温度とされる6〜20度を保ちながらクーリングを行うのは現実的ではないはず。

そこでおすすめなのが「アンダーラップ」を使うこと。アンダーラップとは、テーピングの糊から皮膚のかぶれを防ぐために巻くテープです。

ケガをした部位をアンダーラップで覆い、その上から氷嚢を当てる方法です。直接肌に触れないので0度以下になることはありません。

「アンダーラップがなければタオル1枚でもOK」と大塚先生はアドバイスをくれました。

 

■ケガから2日過ぎたらクーリングも意味なし

受傷から48時間経った後は、冷やしても意味がないことも知っておきましょう。それ以降は冷やすことよりも温める温熱療法に切り替えるほうが治癒力は高まるそうです。

現場での応急処置はチーム帯同者や保護者の皆さんが行うことが多いでしょう。

これまでケガの応急処置といえば「RICE処置」とされてきましたが、日々研究が進み、現在はICEではなく冷やしすぎない「クーリング」になっていることは、まだ多くの方に知られていません。

子どもたちが安全な環境でサッカーを楽しむためにも、大人たちが情報をアップデートすることは大事なことです。

今回ご紹介した「クーリング」であると便利なアンダーラップは、薬局やドラッグストアで簡単に手に入るので、チームの救急箱に入れておきましょう。

 

大塚一寛(おおつか・かずひろ)
医師、あげお友愛の里施設長。
1996年からはJクラブのドクターとしてチームとともに帯同を続けている。現在はVプレミアリーグの上尾メディックス(女子)のチームドクターも兼任。そのほか、『日本サッカー協会スポーツ医学委員』を務め、全カテゴリーの選手の健康管理(脳震盪・ヘディング・熱中症・整形外科的外傷など)に携わっている。多数の講演にも出演し、現場のノウハウや選手のケガ、障害予防などの啓発活動も積極的に行っている。

  

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