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世界とつながる釜石 フランス派遣のアマラグビーチーム、中学生 成果を報告

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 フランスで9月に開催されたラグビーワールドカップ(W杯)に合わせ、同国で初開催されたアマチュア世界大会に特設チーム「いわて釜石ラグビーフットボールクラブ(RFC)」が出場。同時期に、海外体験学習として釜石の中学生も同国を訪れた。2つのチームに与えられたミッションは▽東日本大震災復興支援への感謝の発信▽W杯日本大会のレガシー(遺産)継承▽スポーツを通じた国際交流-。10月28日に釜石市大町の市民ホールTETTOで報告会を開き、市民ら約60人に現地での活動を伝えた。

スポーツ交流 いわて釜石RFC選手ら「刺激に」


活動報告するいわて釜石RFCの選手たち


 いわて釜石RFCが参加したのは、「ワールドアマチュアラグビーフェスティバル」。9月23~30日に仏南部のプロバンス地方で開かれた。W杯参加国を中心に16カ国が出場。日本からは、開催地の一つディーニュ・レ・バン市と姉妹都市提携を結ぶ釜石市に出場の打診があったことから、岩手や釜石にゆかりある選手30人を選抜してチームを派遣した。

 報告会には選手10人が参加した。ヘッドコーチも務めた市スポーツ推進課の佐伯悠さん(38)によると、他国は既存のクラブチームが出場。いわて釜石RFCは予選リーグでイングランド、アルゼンチン、チリのチームと対戦し全敗。ジョージア、ベルギーとの順位決定戦にも競り負け、最下位の16位に終わった。そんな中、12-19と競り合ったアルゼンチン戦では三田唯力選手(25)=県警=がマン・オブ・ザ・マッチに選出。佐伯さんは「全試合、ホームゲームのような応援の中で戦えた。各選手が活躍し、順位以上にいろんなものを得ることができた」と充実した日々を振り返った。

チームの戦いぶりを振り返る佐伯さん


 釜石シーウェイブスOBらも多く、「またガチなラグビーができ、いい思い出になった」「刺激的な日々。やっぱりラグビーは楽しい」などと感想を伝えた。木村優太選手(30)もそんな一人で、「全敗は悔しいが、選ばれた仲間と戦えたことは誇り。選手を引退したわけではないので、この経験を今後に生かしたい」と言葉に熱を込めた。

「ありがとうを伝えに」。現地の新聞で紹介された


 アマ大会は、ラグビーが大好きなディーニュ市の若者が実現させた夢の形。小さなまち釜石が被災から立ち上がり、W杯日本大会の開催地になったストーリーに触発された挑戦だったといい、選手たちは釜石開催のレガシーが着実につながっていることを肌で感じてきた。ラグビー普及コーディネーター(市地域おこし協力隊)の竹中伸明選手(34)は多くの歓迎に感激。「受け取ったパスを広く釜石市民に届け、交流というパスを交換し続けるようにしたい」と前を向いた。
 
 野田武則市長は「復興支援への感謝を世界に伝え、国際交流の振興に貢献してくれた」とねぎらい、派遣事業を進めた実行委の小泉嘉明会長は「若い人の交流が進めば、いい関係が続く。平和にもつながる。ラグビー県、ラグビーのまち釜石を前に進めていこう」と期待を込めた。
 

異文化体験 生徒ら視野広げ「地域のために」

 

海外体験事業でフランスを訪れた中学生

 
 中学生海外体験事業で渡仏した生徒は6人で、期間は9月24日~10月1日まで。ディーニュ市などの学校で同年代の子と交流し、ホームステイ先では現地の文化に触れた。姉妹都市提携のきっかけとなったジオパーク資産・アンモナイト化石群も見学。復興支援に尽力した化粧品メーカー「ロクシタン社」を訪ね、感謝を伝えた。いわて釜石RFCの応援、W杯の日本代表・サモア戦も楽しんだ。

スライドを使って体験活動の様子を紹介する生徒


 6人はいずれも、多くの出会いと発見がある貴重な体験をさせてもらったことへの感謝を口にした。初めての海外という緊張感や語学に対する不安も共通だったが、現地では不慣れなフランス語や英語を駆使する生徒らに理解を示し、親切に接してもらったと声をそろえた。

 ラグビー経験のある前川航紳さん(釜石中3年)は世界の舞台で戦う選手たちのプレーに感動。次に続こうと闘志を燃やした。外国人との交流では語学力だけでなく、自分たちが暮らす地域を知って伝えることが大事だと実感。「さまざまなことにチャレンジし、身につけて釜石の国際交流に貢献したい」と背筋を伸ばした。

生徒たちの交流の様子も現地の紙面で伝えられた


 来年4月にはディーニュ市との姉妹都市提携30周年を迎える。聴講した人から「どんな釜石を紹介したい?」と質問されると、生徒たちは鉄の歴史やスタジアムを挙げたり、「フランスで印象に残ったのは街歩き。通りを見ることでも異国の雰囲気を感じられる」とアイデアを出した。釜石で暮らす外国人との交流を求める声もあり、6人は自分たちの可能性を信じながら「得た経験を地域に生かす」との思いを強めた。

国際交流の継続を期待する選手や中学生ら

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