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バレーボールSVリーグの東レアローズ静岡がホーム開幕戦(vs東京グレートベアーズ)で手にした収穫と課題

アットエス


バレーボールの新リーグ・SVリーグ男子の東レアローズ静岡は10月19、20日、草薙このはなアリーナで東京グレートベアーズ(GB)とのホーム開幕カードを戦い、両日とも1−3で敗れました。2日間で計5109人の観客が来場し、盛り上がりを見せましたが、残念ながら今季地元初勝利を届けることはできませんでした。

初日は第1セットを新人のアウトサイドヒッター山田大貴選手(函南町出身、清水桜が丘高出)の7得点の活躍などで25−16と圧倒したものの、第2セット以降はサーブレシーブが乱れて攻撃がかみ合わず、その後の3セットを連続で失いました。

リベロの山口拓海選手は「2セット目以降は(東京GBのサーブが)コースを狙うサーブで嫌なところに打たれて崩れた。もう少し、自分が動いたり、他の人を動かしたり、ポジショニングなどを工夫したら改善できたかなと思う」と話します。

さらに「ハイブリッド(ジャンプサーブとジャンプフローターサーブを打ち分ける)を打つ選手がほとんどなので、速いサーブを打たれると難しくなるので動きづらい面があった」と迷いが生じてしまったようです。

サーブレシーブが安定しないことで、セッター新貴裕選手は持ち味の中央を使った攻撃を封じられ「アラン(ソウザ)に頼ってしまった。もう少しまんべんなく使えたら良かった」と反省。出だしは良かった山田選手も徐々に決定力が下がり、「2段トスの精度が落ちた時に自分の攻撃のチョイスが甘くなった。リスクを背負い過ぎて大きくアウトになると雰囲気が変わってしまうので。ただ、リスクを負わなかったせいでレシーブされてしまった」と悔やみます。「自分は思考するタイプでなく勢いでやるタイプ。だからこそ、チームが下がった時にチーム全体をプッシュすることが自分の役割だなと思いました」

函南町出身のルーキー山田の評価

阿部裕太監督は開幕スタメンに抜てきしたルーキーについて「見ていただければ分かると思うが出す理由のある選手。力は付いてきている。反作用的に(守備面での)リスクも出るが、彼に限らず選手には強みもあれば弱みもある」と、山田選手に寄せる期待の高さに変わりはないようです。

ただ「毎試合、目の前の相手に対してアジャストできるメンバーで臨むことを考えていて、今出ているメンバーが固定ではない」と話すように、地元2戦目では山田選手に替わってスタメンに守備力のある藤中優斗選手を起用して、流れを変えようとしました。

「やろうとしていることは間違っていない」

2日目は、前日に比べるとサーブレシーブやブロックフォローという点でかなり改善されたものの、東京GBの大竹壱青選手の強力サーブに押し込まれたり、スピードに乗った後藤陸翔選手のスパイクに対応が遅れる場面がありました。

藤中選手は「レセプション(サーブレシーブ)の乱れから難しい展開になり、自分の力不足を痛感した。自分の役割、監督から任されている部分は理解しているつもり。チームが円滑に回るような1本目の精度だったり、2本目の2段トスの精度だったり。(攻撃では)難しいボールはリバウンドを狙ったり、上がってきたトスをコンスタントに決められるように、というのが自分の役目だと思っている」。

ミドルブロッカー西本圭吾選手は「メンタル的にも疲労する展開になってしまった。(東京GBは)速さはもちろんスパイカーそれぞれにテクニックがある。速さに対して追いかけていって、ブロックタッチで失点してしまう部分があった。そこは修正していかないと」と課題を見据えます。

攻守にかみ合わない場面が多かった2日間でしたが、西本選手は「あらゆることを信じられなくなるのが一番怖いこと。やってきたことを否定しないこと。やろうとしていることは間違っていない。精度の問題」とマイナス思考に陥らないように、チームを鼓舞します。

藤中選手も「リーグ戦は長い。44分の4が終わっただけ。できなかった部分は改善して、できる部分はもっと伸ばしていく」と気持ちを切り替えます。2日間で46得点したオポジットのアラン・ソウザ選手も「相手のサーブが非常に良くて苦しんだが、オポジットというポジションとして、パワーのある攻撃を期待されている。BパスでもCパスでも自分が決めるつもりで臨んでいる」と力強く語ってくれました。

僅差の勝負をいかに制すか

阿部監督は地元2戦目の第2セット途中で上條レイモンド選手に替えてサーブ、ブロックのいい難波尭弘選手を投入し、第4セット途中からフランチェスコ・レチネ選手を下げて攻撃力、サーブ力のある小澤宙輝選手を入れるなど、試合中も積極的に動きました。「守備を上げれば攻撃が落ちてくる。それはそのままでいいのか、対戦相手によって違うのか、そこは控えにもいい選手がいるので考えながらやる必要がある。今日は難波、小澤にいいところが出た」

SVリーグは始まったばかりですが、第2節までの戦いで見えてきたのは男子10チーム間に力の差はあまりないということ。Vリーグ時代から東レは圧倒的な攻撃力ではなく、緻密な戦術に基づくプレーをよりどころとしてきました。

阿部監督は「キックオフの6月からずっと言ってきたのは、勝つ時もおそらく僅差になるし、負ける時も僅差になる。それがここ4試合で顕著に出ていて、細かいプレーで、ミスもいいプレーも目立つ。そこはチームで微修正をかけながらやっていきたい」と総括しました。

(編集局ニュースセンター・結城啓子)

【記者会見こぼれ話】2日間で計5千人を超える観客が訪れ、盛り上がりを見せた地元開幕カード。1点を争う攻防で、バレーボールの面白さを伝える試合となりましたが、西本選手は「(連敗で)暗い表情をしているファンの方もいたので、そこはプレーで盛り上げていけるようにしなければ」と肝に銘じ、「運営面でもまだ穴はたくさんあると思うので、より良くしていくために、何回もリピートして来てもらえるように、ファンの皆さんの声が必要だと思う」と“ファン目線”をより一層、大切に感じた様子でした。

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