永谷園が「天下一品コラボふりかけ」を新発売したので、「天一」ファンが食べてみた正直な感想
2025年9月8日、永谷園から新商品「天下一品 こってりスープふりかけ」が発売された。ラーメンチェーン「天下一品」の「こってりスープ」の味わいを、同店監修のもと、ふりかけで再現したものだという。
「天一」と言えば、つい先日9月1日に日清とのコラボ商品が発売されたばかりある。世の中「盆と正月が一緒に来る」ことがあるとは伝え聞いているが、「天一と天一が一緒に来る」とは知らされていない。
ともあれ、熱烈な「天一」ファンからすると、この類を見ないコラボ攻勢は喜ばしい限りだ。早速そのふりかけを実食したのだが──正直に書くと、僭越ながら少々物申したくなる仕上がりだったのである。
筆者とて、この勢いにわざわざ水を差すような真似はしたくない。しかし「天一」ファンだからこそ立ち上がらねばならない時もある。座り込んで「こってりスープ」に吸いつくばかりが能ではない。
少なくとも、実食する前の筆者の胸は高鳴っていた。日ごろ永谷園のふりかけにも大いに世話になっていたゆえに、期待とともに「こってりスープふりかけ」を購入した。ちなみに希望小売価格は税抜220円だった。
パッケージを開封し、中身を白米にまぶす。かなり粒子が荒く、ふりかけというより細かなフレークに近い。
何なら粒を数えられそうなほどある。白米の上できらめくこれらの一つ一つが小さな「天一」であったなら大層ロマンチックだったのだが、しかし人類にそのロマンは未だ遠いと言わざるを得ない。
口に入れると、一瞬ほのかに「天一っぽさ」が味覚をかすめるものの、すぐに強い塩分に意識を持って行かれる。同店の味を一言で表すなら鶏白湯かと思うが、このふりかけのそれは醤油ラーメンのようでさえある。鶏ガラや野菜の旨味を深く感じ取ることも難しかった。
率直に言って、商品名を知らずにこのふりかけを口にした場合、「天一」の名前にたどりつけるかどうか自信はない。だが一方で、永谷園の名前はすぐに閃くだろう。何故なら「一つのふりかけ」としては文句なく美味しいからである。
前述の荒い形状のおかげか、ザクザクとしたフレークがもたらす味わいにはパンチがあふれている。ふんだんに含まれた胡麻の風味も手伝い、絶え間なく箸が進む。このふりかけと相対しているあいだ、難しい顔をしながら白米をみるみる平らげる人間が見事に顕現していた。
筆者の心中には、これまでに何度か経験した、ある「ふりかけにまつわる感情」が去来していた。そもそもふりかけ自体が好きなので、地域ごとの名品を再現したふりかけを食べたりするのだが、そんな時にしばしば芽生える感情である。
大変美味しい。美味しいのだが、「あの名品の味とは違うのではないか」と。「あの素材を使ってこの味になるのは、少し不思議ではないか」と。微妙なしこりのような、わずかなシミのような感情である。
「最高の素材を使ったふりかけは、必ず最高のふりかけとなる」──この論理的誤りを、筆者は個人的に「ふりかけの誤謬(ごびゅう)」と呼んでいる。必ずそうなるとは限らないのである。そして残念ながら、筆者の感覚においては、本商品もそうはならなかった。
ふりかけとしては優れていても、「こってりスープふりかけ」としては疑問が残る。それがこのたびの結論である。しかしだからといって、「天一」にも永谷園にも失望などしていないし、両者の限界を決めつけてもいない。
今回実食に臨んだ筆者のように、毎度期待してしまうのが人間というものだ。きっと今度は、有無を言わせぬ仕上がりのコラボふりかけを味わえるに違いない。次にこの「天一」ファンが立ち上がる時は、そのクオリティに歓喜する時であろう。
参考リンク:永谷園 公式サイト
執筆:西本大紀
Photo:RocketNews24.