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温暖化で秋は消えた?【80年代アイドル秋うたベスト10】南野陽子 中森明菜 菊池桃子…

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1985年09月26日 菊池桃子のシングル「もう逢えないかもしれない」発売日

アイドルヒットソングの “秋うた” は、センチメンタルな佳曲がたくさん!


アイドルソングには季節感がつきもの。四季折々がテーマにされた曲のコンセプトはアイドルの歌に最も顕著かもしれない。新人のデビューシーズンであり卒業に因んだ曲も多い春、眩しい太陽の下で思いきり弾ける夏、そしてその後に訪れる秋には、誰もが感傷的な気分に浸るような、センチメンタルな佳曲がたくさん。思いつくままに挙げていくと、すぐに20曲ほどになってしまい、そこから絞っていくとどうしてもメジャーな曲が中心となる…。

マニアックな掘り出し物は別の機会に譲るとして、80年代アイドルのヒットソングによる秋うたベスト10。原則1人につき1曲としたので “それじゃない、こっちだろ!” というご意見も多々あることだろうが、そこはひとつお赦しのほど。

第10位:ごめんねDarling / 岩崎良美


1981年9月5日リリース

1980年2月に「赤と黒」でデビューし、新たなアイドル時代の幕開けに貢献した岩崎良美7枚目のシングル。松田聖子や田原俊彦らの精鋭が顔を揃えた80年デビュー組きっての実力派であった。この曲は特に秋の描写はないものの、快活なメロディと歌唱を聴いていると、ようやく涼しくなった爽やかな秋の光景が思い浮かぶ。とにかく歌の巧さが際立つ作品。以降も多くのアイドルに楽曲を書き下ろしてゆくシンガーソングライター・尾崎亜美の初期の提供作のひとつだった。

第9位:ひとり街角 / 小泉今日子


1982年9月21日リリース

作詞:三浦徳子、作曲:馬飼野康二、編曲:竜崎孝路。シングル3作目にして、待ち望まれた初のオリジナルソングが登場。デビュー曲「私の16才」を踏襲するようなリズミカルな曲調で、揺れ動く少女の心情が歌われている。当初のタイトルは「揺れる街角」の予定であったという。この曲でノミネートされ、銀座音楽祭、新宿音楽祭の金賞、日本歌謡大賞の放送音楽新人賞、FNS歌謡祭の優秀新人賞と、各大会で新人賞を受賞した。その後の脱アイドル路線も素敵だが、いかにもアイドル然とした初期型キョンキョンもなんともいえない魅力がある。

第8位:花梨 / 柏原芳恵


1982年10月1日リリース

前年の秋に出された「ハロー・グッバイ」のカバーヒットでトップアイドルとなり、少し後輩になる82年組と並ぶ活躍を見せた。デビュー3年目となるこの年、細野晴臣が作曲した企画盤「しあわせ音頭」、Kとブルンネンのカバー「あの場所から」に続いて出された12枚目のシングルだった。山口百恵に「いい日旅立ち」を提供した谷村新司の作詞・作曲によるしっとりしたナンバーで、アイドルから大人の歌手へのアプローチが見受けられる。それまでの芸名 “柏原よしえ” が、本作のリリースを機に “柏原芳恵” に改められた。

第7位:ラッキィ・リップス / 早見優


1983年9月21日リリース

デビュー曲以来の資生堂『バスボン ヘアコロンシャンプー/リンス』CMソング。「夏色のナンシー」から3作連続で筒美京平が作曲を担当し、すべてベストテン入りを果たした。第9回『あなたが選ぶ全日本歌謡音楽祭』金賞受賞のほか、第14回『日本歌謡大賞』放送音楽賞にもノミネートされた。スローな導入部から次第に活気を呈してゆく大村雅朗のアレンジは、当時事務所の先輩だった松田聖子の楽曲を彷彿させる。夏から秋へと移ろいゆく季節感が存分に織り込まれた佳曲だ。

第6位:夕暮れ気分 / 堀ちえみ


1983年10月5日リリース

デビュー2年目の秋に放たれたセンチメンタルな佳曲。「夏色のダイアリー」「青い夏のエピローグ」とストレートな夏うたが続いた後、秋を迎えて出された通算8枚目のシングル。NSP(ニュー・サディスティック・ピンク)のリーダー兼ヴォーカルとして活躍した天野滋が作曲を手がけている。清水信之の名アレンジもあり、ファンの間でも人気の高い1曲である。第25回『日本レコード大賞』でゴールデン・アイドル賞を受賞した時の対象曲であった。最近ではオアシズの大久保さんがまるで自分の持ち歌のようにたびたび披露している(笑)。

第5位:瞳はダイアモンド / 松田聖子


1983年10月28日リリース

デビューの年は「風は秋色」、2年目は「風立ちぬ」、3年目には「野ばらのエチュード」と、松田聖子は明確に秋うたを発表していた。そして4年目の秋、優しく情緒に満ちた傑作が誕生した。作曲したユーミン自身も2003年のアルバム『FACES』でセルフカバーしている。カップリングの「蒼いフォトグラフ」もドラマ『青が散る』の主題歌として人気を呼び、レコードは途中から両A面扱いとなった。既にアイドルの枠組みには収まりきれない実力と存在感に圧倒させられる。錚々たるソングライター陣に支えられたアルバムにも名曲がいっぱい。

第4位:涙の茉莉花LOVE / 河合その子


1985年9月1日リリース

おニャン子クラブからいち早くソロデビューした彼女の最初のシングル。メンバーの中では “すこしお姉さん” であったこと、夏の終わりのデビューということもあっての曲調であったろう。出だしからしばらく抑えめに歌われた後、サビで一気に張りを利かせた歌声に惹かれる。美少女は声も美しい。作詞の "T2" は、ディレクターだった稲葉竜文と作曲もした後藤次利の共同ペンネームだった。

第3位:もう逢えないかもしれない / 菊池桃子


1985年9月26日リリース

菊池桃子の歌は完全に林哲司の曲とセットになっていて、それ以外は考えづらいほど。繊細で洗練された林のメロディと、なんとも儚い菊池の歌声の相性が抜群過ぎるのだ。夏のうたでさえ “せつなさ全開” なのだから、秋はなおさら。この曲も控えめな菊池のキャラクターと相まって胸が締めつけられる。彼女のシングル曲で康珍化が作詞を担当したのはこれが唯一というのは意外である。江崎グリコ「ポッキー」のCMに使用され、廃線された駅跡に佇む姿が印象的。

第2位:SOLITUDE / 中森明菜


1985年10月9日リリース

「SAND BEIGE -砂漠へ-」に続いてリリースされたシングル。堂々の歌いっぷりで、1作ごとに円熟味と存在感を深めていた。アルバム『D404ME』にそれぞれ作品を提供していた湯川れい子とタケカワユキヒデが、彼女に向けた作品では初のタッグを組んだ作品は詞も曲も極めて都会的。クールで大人っぽい秋うたの傑作が生まれた。

第1位:秋のIndication / 南野陽子


1987年9月23日リリース

秋の定番、本人も出演した江崎グリコ「セシルチョコレート」のCMソングに起用されて本人も出演した。通算9枚目のシングルで、「楽園のDoor」から続いて4曲連続のチャート1位を達成している。起伏の激しいメロディを繰り返した後、2番でようやくサビに辿り着く曲の構成は南野自身のアイディアであったという。デビューからずっとアレンジを担当してきた萩田光雄が作曲も手がけており、かつて日本でのカンツォーネ・ブームを牽引した曲のひとつ、ウィルマ・ゴイクの「花のささやき(In un fiore)」をイメージして作られたそうだ。

秋の夜長にアイドルポップスを


―― 季節感に満ちたレパートリーが多い松田聖子などは、1人だけで充分に四季それぞれのベスト10が組めてしまいそう。実際にそういったコンピレーションアルバムも出されているわけで。

季節を感じさせてくれる歌は、情緒を重んずる日本人にとって大切なアイテムである。中でも、普段は笑顔のイメージが強いアイドルが、愁いのある表情を見せてくれるのが “秋うた”。芸術の秋に聴く音楽はジャズやクラシックも良いけれど、アイドルもまたいい。秋の夜長にアイドルポップスを。

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