懐かしの115系や進化する大阪駅がデジタル空間に出現! 幕張メッセの「シーテック」でJR東日本とJR西日本が競演(千葉県千葉市)
国内最大規模のIT・デンタル展示会「CEATEC」(シーテック=Combined Exhibition of Advanced Technologies)が、2024年10月15日から千葉市の幕張メッセで開幕した。きょう18日まで。主催は電子情報技術産業協会(JEITA)で、迎えて25回目。国内外の企業・団体808社(者)が出展し、AI(人工知能)が変える未来社会を提示する。
四半世紀の節目を迎えたシーテックで話題は、「AIロボットがわずか0.5秒でルービックキューブ完成」、「感情を音楽で表現する生成AI」といった、遊び心満点のニュースで取り上げられそうなキャッチーな技術だ。
そうした視点は、鉄道業界から参加したJR東日本、JR西日本、そしてJR東日本コンサルタンツにも共通する。鉄道ファンにも刺さりそうなデジタル技術は……。
JR東日本
JR東日本ブースからピックアップしたのは、VR(仮想空間)上に出現した「鉄道車両VR」。ソニー系のスタートアップ(ベンチャー)・SoVeC(ソベック)と共同で開発した。
引退することになった名車を、3次元のスキャナーでアーカイブ化。データはもちろん平面画像としても見てもOKだが、VRゴーグルをかければ今はない車両が眼前に迫りくる。
シーテック会場でお披露目されたのは、ご覧のように湘南色の115系電車。一昔前はJR宇都宮線、高崎線などでいやというほど目にしたが、211系などを経て現在はE231系・E233電車に置き換わった。
会場でのJR東日本の説明によると、鉄道博物館や各地の鉄道イベントでの〝VR車両走行〟が考えられるそう。ベテランファンからは、「今後はSLもアーカイブ化して」の声も上がりそうだ。
JR西日本
JR西日本の一押しは、「バーチャル大阪駅」。VR空間に展開される大阪駅で、2022年8月にスマートフォン向けコンテンツとして公開された(JR西日本は「開業」と表現)。
2024年3月には第3弾に当たる「バーチャル大阪駅3.0」が公開され、9月末までの約半年間に延べ2000万人が来場(閲覧)したそうだ。
日本国内のほか、アジア太平洋、北米からの来場者が多く、日本の鉄道PRに貢献。JR西日本は、シーテックで企業プロモーションやインバウンド観光客誘致へのバーチャル大阪駅の活用を呼び掛けた。
JR東日本コンサルタンツ
JR東日本コンサルタンツは、「鉄道DX推進ソリューション」のタイトルで、鉄道から生まれたデジタル技術を売り込んだ。
代表例の「Gunsyu(群衆)」は、行きかう人から車いすや視覚障がい者を自動的に見つけ出す。スムーズな案内につなげることでバリアフリー社会を推進する技術だ。
2022年に部外提供を始めた「TRANCITY(トランシティ)」は、例えばドローンで撮影した画像から、即座に三次元地図を作製できる。JR東日本コンサルは、インフラ管理分野などへの技術展開に力を入れる。
記事:上里夏生