創業60年“おばちゃんの味”を受け継いだ『タコピィ』で明石焼き風たこ焼きを味わう 姫路市
2013年に駅が新しくなり、美しく生まれ変わった姫路駅。センスの良いお洒落なカフェが立ち並ぶ中、以前と変わらないどこか昭和の雰囲気の漂うお店があります。
お店の名前は『タコピィ』。姫路駅が生まれ変わる前、フェスタと呼ばれる駅の地下に店を構えていた同店は、かつて“タコピア”という名で親しまれた有名店です。
店の入り口の看板に映るのは、同店で長年腕を振るわれていた松本さんの姿。松本さんの引退を機に、“タコピア”の伝統の味を引き継いだのが、現在『タコピィ』を運営する“まねき食品株式会社”だったのだそう。
新しいながらも少しレトロ感を醸し出す店内は、昔の“タコピア”を思い出させるようなフードコートになっており、他のお客さんと相席になるのも変わらないスタイル。取材当日も平日の15時だというのに多くの人で賑わっており、その人気ぶりを伺わせます。
訪れる多くの人が明石焼き風たこ焼きを注文していたので、いったい1日いくらぐらい販売されているのか気になった筆者。
取材に同行して頂いた“まねき食品販売部リーダー”の雲丹亀(うにがめ)さんに質問してみると「平日は1日800食、土日では1200食ほどの売り上げになりますね。繁忙期なんかは更に多くて、店の外にまで行列が出来るんですよ」との回答が。
購入方法は現金のみで、券売機で食券を購入し注文口で渡すシステムは、今も昔も変わりません。
「35年ほど前、僕たちが高校生の頃には200円だったんですよ。高校の帰り道、姫路駅には、ここの”たこ焼き”とか”えきそば”とか”、坦々麺とかそんなものしか無くてね…えきそばも当時は150円ぐらいだったんだから」そう目を細めながら、懐かしそうに語るのは、同じく取材に同行して頂いた”執行役員兼店舗販売部部長”の国本さん。
時代の移り変わりを感じる事が出来たそのエピソードに、古き良き時代を感じます。
食券を購入後は、すぐそばにある注文口に並び、スタッフさんに食券を渡します。番号が書かれた”赤い札”と交換してもらえるので、番号が呼ばれるまで席で待ってくださいね。
目の前のカウンターで腕を振るうのはで3人目の登場人物、“店舗販売部リーダー兼店長”の宮里さん。その手捌きはまさに職人技で、多い時には12食分を一人で担当されることもあるのだとか。
一人前に焼けるようになるには最低3か月。片手で焼いており、指は曲がらなくなったり、時には腱鞘炎になることも。「最初の頃はお客様が上手に焼けるようになることをずっと見守ってくれていた。当時のお客様には本当に申し訳なかったが、本当にありがたい」と語ります。
気付くと、出来立てアツアツが焼き上がり、おぼんごと受け取ります。
久しぶりの明石焼き風たこ焼きを目にして学生時代を思い出し、嬉しさが込み上げてきた筆者。すぐにソースを塗りたい気持ちを押さえ「まずは出汁から味わってみて」勧められた通り、ほんの一口出汁を啜ります。
いわし節・宗田節・かつお節・鯖の煮干しの4種の出汁で取られたお出汁は、雑味の無いすっきりとした味わい。
次は、そのまま、出汁に付けてシンプルに味わいます。お出汁につけると、とろっとした味わいに変化。大和芋が入っているので少しもちっとした弾力もありますが、出汁の中ですぐにほろほろっと崩れてしまうのでご注意を。柔らかい生地に、タコの食感も良いアクセントになっています。
そして待ちに待ったソースの出番。
一つずつ丁寧にソースを塗り…。
出汁に浸していただきます!
そうそう!思い出しました!懐かしいこの味です。甘辛いソースの味わいと出汁の味わいの絶妙なバランスは、自然と体が覚えていたもの。アツアツをハフハフと言わせながら食べるのが醍醐味ですので、ぜひ出来立てすぐをお召し上がりください。
もちろん、ソースはたっぷりがおすすめです!
ちなみに持ち帰り用の際、昔はビニール袋にお汁が入っていましたが、現在は、手のひらサイズの蓋つきのボトルに入っています。テイクアウトの際は、ソースも中に塗ってもらった状態で持ち帰りできますよ。
ちなみに、なぜ『タコピィ』の明石焼き風たこ焼きはソースとお出汁で食べるのか不思議な方も多いと思うはず。発売当初はソースで食べるか出汁で食べるかどちらか選べたそうですが、ある時からソースを塗ってから出汁に付けて食べるお客さんが現れはじめ、それがいつの間にか自然に定着していったのだそう。これが『タコピィ』の“明石焼き風たこ焼き”のルーツなんだとか。
ソースと出汁で味わうの『タコピィ』の明石焼き風たこ焼き。ぜひ味わってみてください♪
場所
タコピィ
(姫路市駅前町188番地1)
営業時間
10:00~20:00
定休日
無休
※元旦のグランフェスタの休館日のみ
駐車場
提携駐車場あり